ヨゾラとひとつの空ゆけば

作者 帆多 丁

110

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★★★ Excellent!!!

 魔法使いの青年と、しゃべる黒猫の出会いは、ささやかな運命の福音。

 何故か、河沿いで倒れていた青年、アルルはしゃべる黒猫と出会う。黒猫にヨゾラと名付けた彼は、気を取り直して仕事にとある街を向かう――ヨゾラと、共に。
 その街は祭りを目前に控え、楽しく和気藹々としていて、出会う人々は優しく楽しく接してくれる。ヨゾラも気を良くしながら、アルルと行動に共にする。
 その先々で耳にする不穏な噂。そして、知り合った青年が突然、暴漢に襲われ。
 祭りまでの滞在予定だったアルルは、ヨゾラと共に不気味な騒動へ巻き込まれていく――。

 彼らが自由気ままに旅する中で、出会う不思議の数々。
 ふんわりと柔らかく、だけど時に切なく、苦しく、寂しい真実。
 その物語の中で、彼らは何を見て歩くのだろうか?

 黒猫ならではの視点やキャラクター性。それに付き合う、お人好しなアルル。
 二人を取り巻く世界は、いつも優しく、そして謎を含んでおり、それを丸ごと包み込むような優しい文体で書き起こされていく。

 魔法使いと黒猫。二人と共に、不思議な世界を旅しよう。

★★★ Excellent!!!

異世界ファンタジーに求めるもの。それはやはり魅力的な世界を読者に見せてくれることではないでしょうか。
そう言った視点で言えば、色彩豊かなどこか懐かしい世界観や、現実の人間がそのまま小説に入り込んだような人々の機微。そして、それに触れる主人公たちの感情豊かな描写はまさしく“異世界ファンタジー”の面白さを存分に魅せてくれる、ファンタジーの一つの極致であるのではないか。そう感じさせられました。

また物語で描かれる事象は善悪では割り切れない、語りつくせない。
当然だと思う出来事が、視点を変えれば強烈な違和感となるような。
僕らの、心に訴えるとても儚く、優しく、恐ろしいエピソードはきっと、
真に純粋だったあの頃の僕たちの記憶に、情動にと訴えかけてきます。

そしてなんといっても、主人公の一人であるヨゾラ。
彼女の可愛さは、この小説にさらなる色付けを施しています。


独自の視点でつづられた極上の異世界ファンタジー。
読めば必ず彼らの見る情景が、眼前に広がること請け合いです。

★★★ Excellent!!!

魔法使いの青年アルルが目覚めると、目の前にはしゃべる黒猫がいた。
しゃべる猫なんてそう珍しくもないけれど、その黒猫はやけにしつこく名付けを要求してくる。
仕方なしに黒猫に「ヨゾラ」と名付けたアルル。
よく分からない奇妙なことは多いけれど、出会った1人と一匹はなんとなく寄り添って、一緒に歩き始めることにした。


一人と一匹の二人旅。
このワードだけで惹かれる人はいるのではないでしょうか。
私もその一人です。
人間と不思議な存在の組み合わせは王道ともいえるでしょう。
それにも関わらず惹かれてしまうのは何故でしょう。

しかしながら、このお話。王道と一言で片づけるには勿体ない。そういう他ありません。

アルルとヨゾラが旅する世界には魔法が存在します。
一部の人にしか見えない不思議な存在たちも一緒に暮らしています。
しかしながら詳しい説明はされません。それでも何となく分かります。
アルルやヨゾラの視点にたって、こういうものなのだ。そう想像することができ、2人の旅を後ろからついて歩いているような気持ちになります。

旅にはいろんな感情がつきものです。
驚いたり、喜んだり、笑ったり。どうしようもなく悲しい事があったり。
そんな様々な出来事の積み重ねが2人の旅を彩ります。

当たり前のように寄り添う謎も世界観を引き立て、この先2人の旅がどういった結末を迎えるのか。楽しみで仕方ありません。

★★★ Excellent!!!

異文化。異国情緒。そういったものを感じさせる街の名前、発音。それさえも想像力をかきたてます。

読者に想像を委ねるバランスが心地よいです。
すべてを説明的に済ませない。読み進めていく上で知らないワードもたくさん出てくる。
でも、すべてを理解できなくてもストレスなく読める。だけではなく、「この言葉はこういう意味を持つのかしら?」と読者に想像できる範疇のワードもある。

絶妙。絶妙です。
アルルとヨゾラを通して世界を見聞きしているみたい。とても美しくて楽しくて不穏で、それが非常に心を揺さぶります。

★★★ Excellent!!!

まずこの作品の数話を読んで抱いた印象は、まさに表題に書いたとおり、静かにえぐってくる、というものでした。筆致は抑制されていて、たまにヨゾラ視点になったりもするけれど基本的にはとても客観的な視点で描かれていて、取り乱すことがない。でも中身を読んでいくと、そんな中にバンバン絶望や痛みや苦しみを詰め込んでくる。と同時に、希望も優しさも悦びも同じ筆致で描かれる。この安定した語り部がいるからこそ、作品中の雰囲気がシックでかつ同時にビビッドであり、善意にも悪意にも説得力が芽生え、時には人の命を脅かすような存在にさえ共感させられる、そういった絶妙なバランスが生まれるのだろうと思いました。
使い魔をはじめとした愛すべきキャラも、悪意を持ったキャラも、ストーリーの都合に合わせられるのではなく、個々の意志を以て動いていると納得させられ、より大きな共感に繋がったと思います。とにかく、この作品のタイトルにもなっているヨゾラのキャラクターが楽しい。もう片一方の主人公であるアルルも、普段はクールぶっていつつもまだ未成熟な部分を抱えた人間くささが見え隠れして、この二人(?)の掛け合いと物語を引っ張る力に、ついついページを手繰る手が急かされてしまいます。
これで第一部完とのことですが、これからも彼らの旅は続いていくのでしょう。続きが読める日を楽しみに待っていたいと思います。

★★★ Excellent!!!

 子供の頃に読んだ、不思議な冒険譚。
 ゲド戦記、ナルニア物語、精霊の守り人……………古き良きファンタジーを読んでいたあの頃を思い出します。
 今、これだけファンタジーがあふれているというのに、ここまでドキドキわくわくする物語は、久しぶりです。同じ作家として、自分はこういうのを目指していたんだと、改めて思わせてくれますね。

 ぜひ、皆様にお勧めしたい。
 お子様への読み聞かせにももってこいですよ!

★★★ Excellent!!!

 レビューを書きたいと思って筆をとったのに、何を書けばいいのかまるでわからない。
 言いたいことがいっぱいあるのに、文章にしてみるとどれも違うんです。ちがうそうじゃない、ってなる。結局「いいから読んでみて!」ってやりたくなる、そういう単純には言い換えのきかない面白さ。どう言えばいいのだろう。以下、レビューのふりした一読者のなにかひどく迷走したなにかです。

 例えば、登場人物のひとりであるヨゾラさん。この子がとてもかわいいのです。間違いなくかわいいのだけれど、でも違う。単純に「かわいい」という形容だと、言いたいことの一割も言えていない。そんな感覚。だって「かわいい」っていろいろあるもんね、と、もうそんな次元ではないのです。
 彼女の言葉や、振る舞い。どれをとってもものすごく自然で、とても生き生きしていて、生々しい。作られたキャラクターではなく、一個の実在としての魅力を感じる。と、説明するとしたらたぶんそんな感じになって、でもこういうの長々言うこと自体がもうなんか違う、それくらい自然でつまり「もういいから読め」ってなります。
 そしてその人物の自然さは、なにもヨゾラさんに限った話でなく。全員がしっかりとした存在感を持っていて、当然キャラ立ちはしているのだけれどでも「キャラ立ち」って言葉だとなんかニュアンスが違う、そうじゃなくてもっとこうああもういいから読んで、という、もはやレビューの体をなしていませんがでも自分のせいじゃありません。この作品が悪い。面白いのがいけない。

 もうどうにもならないのでざっくり紹介するとすれば、異世界ファンタジー作品です。がっつりどっぷり浸れるファンタジー。魔法とかのわくわくする設定がいっぱいで、それが結構なテンポでもりもり出てくるのに、全部自然にもりもり楽しめてしまう。するりと物語世界に乗っけてくれる。自然で優しい文章と、そして五感に訴えかけて… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

 レビューつっても、最終的に「いいから読め」としか言えないんですよね。
 そのことについては先に謝ります。
 ごめんね。

 とにかく、プロローグだけでも読んでください。
 言ってる意味がわかると思います。
 嘘、ごめん。
 やっぱ最後まで読まんと損するわ。

 この作品、語るべき魅力は本当に沢山あって、綿密に築き上げたであろう世界観の設定だったり、キャラクターたちの生き生きとした豊かな個性だったり、本当に語り続けるとレビュー終わらないんです(まあ、その辺は他の人がすでに書いてるから、そちらが参考になると思います)。

 個人的に一番震えたのは、作中二回あった太鼓のシーンですね。
 というのも、ぼくたちは基本的に『視覚』で小説を読みます。
 目で受け取った文字を、脳に送り込んで情景を想像し、物語を楽しむわけです。

 けど、この太鼓のシーンがすごかった。
 音がリアルに聞こえてくるんですよ。

 視覚で読み取った文字列が、一度『聴覚』を経由して脳に届くんです。
 一応ぼくの脳は正常だと思いたいので言い切っちゃいますが、作者の書く文章からは、《《音が聞こえます》》。(カクヨム記法)
 そのくらい臨場感のある描写なんです。

「アホ抜かせ」とお思いでしょうが、騙されたと思って読んでみてください。
 ぜひあなたの目で、そして耳で、その衝撃を確かめてください。

★★★ Excellent!!!

表現が面白い。
猫が顔をのぞき込んでいる事を、猫の形に切り取られてるという表現。
冒頭のその一言で一気にのめり込みました。

時々、交えるジョークの入れ方が上手くて何度クスッとしたことか。
魔法のメカニズムがなんともユニーク(塩不足とか)
登場する独特な単語も読んでいく内にくせになる(特に曜日が好き)

第二部、期待してます!
ヨゾラちゃんの謎な部分が解き明かされるのかわくわくします。

★★★ Excellent!!!

 とにもかくにも、お話の運び方が丁寧です。読んでいて好感が持てます。
 それ以上に、世界観がいい。ジャンルの括りはファンタジーなのかもしれませんが、私の中ではスチームパンクに近いです。
 読んでいてワクワク——そんな感情が久し振りに沸き立ちました。

★★★ Excellent!!!

 ――物語は夜を往く列車の中から始まる。
 父親と母親とまだ幼い子供。その時、車内の乗客をある異変が襲う。
 一夜にして、ひとつの国が滅んだ事件がすべての始まりとして描写されていく。
 ダークファンタジーの導入として、非常に心が躍る展開です。
 それから物語は謎の少年アルルと人語を解するネコ、少年によってヨゾラと名付けられた一人と一匹の旅の様子が語られていきます。
 進んでいくごとに深まる謎と、摩訶不思議な展開が読み手を誘っていきます。