ここには確かに “異世界” が存在している。

異世界ファンタジーに求めるもの。それはやはり魅力的な世界を読者に見せてくれることではないでしょうか。
そう言った視点で言えば、色彩豊かなどこか懐かしい世界観や、現実の人間がそのまま小説に入り込んだような人々の機微。そして、それに触れる主人公たちの感情豊かな描写はまさしく“異世界ファンタジー”の面白さを存分に魅せてくれる、ファンタジーの一つの極致であるのではないか。そう感じさせられました。

また物語で描かれる事象は善悪では割り切れない、語りつくせない。
当然だと思う出来事が、視点を変えれば強烈な違和感となるような。
僕らの、心に訴えるとても儚く、優しく、恐ろしいエピソードはきっと、
真に純粋だったあの頃の僕たちの記憶に、情動にと訴えかけてきます。

そしてなんといっても、主人公の一人であるヨゾラ。
彼女の可愛さは、この小説にさらなる色付けを施しています。


独自の視点でつづられた極上の異世界ファンタジー。
読めば必ず彼らの見る情景が、眼前に広がること請け合いです。

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