概要
立ち寄った町で、故郷の村で、港へ続く街道で、色も形も大きさも違う二人が不思議を見かけ、通り過ぎ、時々ふれる物語。
「ねぇアルル」
「どうした、ヨゾラ」
出会って、別れて、家に帰って、別れを経たら、旅が始まる。
────────────────
各章紹介
<第一部>
昔、魔法の国が消えた日のこと。
(第1歩)
猫がしゃべるのはいい。名前をくれというのも、まあいい。けれどなんで俺は血まみれなんだ。
「ひとつめ。アルルは黒猫みたいなのと出会う」
(第2歩 - 第7歩)
河と火薬の町に隠された殺人事件。遠く銃声の聞こえる山から、祭太鼓の音を目指して闇のヌシが降りてくる。
「ふたつめ。河と火薬のエレスク・ルー」
(第8歩 - 第60歩)
<
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!猫と魔法使いの旅なんて面白いにきまってる
とか思うでしょ?
ちがいますよ。
これはそんな軽いノリで作られたお話ではないのです。
作者は本気です。本気でこの世界を作っています。
魔法が本当にあるのなら、どういう使われ方をするのか。
使える人はどんな人か。
人でないのはどんなものか。
そこに住む人々の歴史と文化と民俗。
お金の測り方や距離の単位、言葉の仕組み。
すべてが考えぬかれ、納得できるものばかり。すごい!
でもね、小難しい話じゃないのです。
ていうかキャラがかわいすぎなのですよ。
ヨゾラかわいいよ〜猫(?)のヨゾラがかわいい。のに!
ふとした瞬間におそろしげなものがかいま見えて、こわいのにやっぱりかわいい……なにこれ新感覚…続きを読む - ★★ Very Good!!魔法の国はなぜ消えた?不条理な悲劇が読者を一気に異世界に引き込む
【注意:序盤のネタバレあり】
初話、訳も分からないまま危急の事態に見舞われる展開になんとも言えない不気味さを感じながら拝読しました。
前半、クロソラとイサリの睦まじい様子が丁寧に書かれていただけに、二人が消えた時にはなんとも言えない物悲しさがありましたが、物語への導入として十分に心を動かされる展開でした。
次話、冒頭の青年が事件で生き残った本人、あるいはその関連の人物であることを、夢を通じて説明されていているのは上手いなあと思いました。
薄っすらと頭の片隅に残っている記憶が、今後どのように物語りに影響していくのか楽しみです。
そして、謎の喋る猫との出会い。
ここも、今後の展開に十分興味を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ヨゾラが可愛すぎて悶え死ぬ!!!
第137歩まで読了です。ヨゾラ、君は何者なんだ!? という疑問を解決したくてどんどん読み進めました。今のところ、答えは出ていません。が、すごく面白いです!大きな盛り上がりと、のんびりほのぼのした展開が波のように私を襲う! これぞエンターテイメント!! ってヤツだ!!! と歓喜しております☆
ほのぼの展開のシーンも全然飽きさせないんですよ。ヨゾラが可愛いから(悶絶)!! ヨゾラ可愛いな~、ヨゾラ可愛いな~って思いながら読んでたら、いつの間にか事件が始まる(笑)で、事件自体も興味深い展開ばかりで早く続きを読まなきゃと思わせてくれる。
ヨゾラがアルルとシェマの仲に嫉妬するシーンも微笑ましかったで…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心が洗われるようなファンタジー
幻想的で美しくて、ちょっと切ない一人と一匹の旅路を記した物語です。
魔法使いの青年アルルは、言葉を話す黒猫と出会う。
アルルはなぜか倒れていたようで、服には血もついているが、何が起こったか覚えていない。
眼前の猫はひたすら自分に名前をつけるように要求する。
名前をつけた後ならば、何が起こったか教えてくれると言うので、アルルは名前を考え出す……。
そんなところから始まる、青年アルルと名付けられた猫ヨゾラの旅の物語です。
この物語の醍醐味は、なんと言っても情景の美しさ。
アルルとヨゾラの旅する先は、輝かしい風景でいっぱい。
そんな情景が、事細かに説明されるのではなく、読んでいるうちに読み手の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!青年と黒猫の、自由気ままな魔法の旅
魔法使いの青年と、しゃべる黒猫の出会いは、ささやかな運命の福音。
何故か、河沿いで倒れていた青年、アルルはしゃべる黒猫と出会う。黒猫にヨゾラと名付けた彼は、気を取り直して仕事にとある街を向かう――ヨゾラと、共に。
その街は祭りを目前に控え、楽しく和気藹々としていて、出会う人々は優しく楽しく接してくれる。ヨゾラも気を良くしながら、アルルと行動に共にする。
その先々で耳にする不穏な噂。そして、知り合った青年が突然、暴漢に襲われ。
祭りまでの滞在予定だったアルルは、ヨゾラと共に不気味な騒動へ巻き込まれていく――。
彼らが自由気ままに旅する中で、出会う不思議の数々。
ふんわりと柔ら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ここには確かに “異世界” が存在している。
異世界ファンタジーに求めるもの。それはやはり魅力的な世界を読者に見せてくれることではないでしょうか。
そう言った視点で言えば、色彩豊かなどこか懐かしい世界観や、現実の人間がそのまま小説に入り込んだような人々の機微。そして、それに触れる主人公たちの感情豊かな描写はまさしく“異世界ファンタジー”の面白さを存分に魅せてくれる、ファンタジーの一つの極致であるのではないか。そう感じさせられました。
また物語で描かれる事象は善悪では割り切れない、語りつくせない。
当然だと思う出来事が、視点を変えれば強烈な違和感となるような。
僕らの、心に訴えるとても儚く、優しく、恐ろしいエピソードはきっと、
真に純粋…続きを読む