とか思うでしょ?
ちがいますよ。
これはそんな軽いノリで作られたお話ではないのです。
作者は本気です。本気でこの世界を作っています。
魔法が本当にあるのなら、どういう使われ方をするのか。
使える人はどんな人か。
人でないのはどんなものか。
そこに住む人々の歴史と文化と民俗。
お金の測り方や距離の単位、言葉の仕組み。
すべてが考えぬかれ、納得できるものばかり。すごい!
でもね、小難しい話じゃないのです。
ていうかキャラがかわいすぎなのですよ。
ヨゾラかわいいよ〜猫(?)のヨゾラがかわいい。のに!
ふとした瞬間におそろしげなものがかいま見えて、こわいのにやっぱりかわいい……なにこれ新感覚!!!
そして魔法使いのアルル!
ぜんぜんイケメンキャラじゃないのに(ぺたんこ鼻!)かっこいいってどういうことなの?!
ああ、もう、好き!!!
過去、高度に発達した文明があり、現在はそれらの知識は失われつつも人びとが暮らしている、、という世界観は宮﨑駿を彷彿とさせます。
しかしこの世界は完全なるオリジナリティにあふれています!
ゆったり進むシリーズもの。
けれどきちんときりのよいところまで書いてくださる作者さまは、とても誠実なお方なんだなあと思います。その誠実さは、キャラクターたちにもよくあらわれています。
ぜひご一読を。
きっと楽しめると思います。
【注意:序盤のネタバレあり】
初話、訳も分からないまま危急の事態に見舞われる展開になんとも言えない不気味さを感じながら拝読しました。
前半、クロソラとイサリの睦まじい様子が丁寧に書かれていただけに、二人が消えた時にはなんとも言えない物悲しさがありましたが、物語への導入として十分に心を動かされる展開でした。
次話、冒頭の青年が事件で生き残った本人、あるいはその関連の人物であることを、夢を通じて説明されていているのは上手いなあと思いました。
薄っすらと頭の片隅に残っている記憶が、今後どのように物語りに影響していくのか楽しみです。
そして、謎の喋る猫との出会い。
ここも、今後の展開に十分興味を惹かれる展開で、思わずページを捲りたくなります。
列車や魔力線などというガシェットから、ある程度進んだ文明と魔法が混在しているような世界観ということが分かります。
このあたりも、よくある中世風異世界とは違った感じで新鮮でした。
表現力、構文力、世界観、すべてしっかりされていてとても読み応えのある作品だと感じました。
引き続き拝読させて頂きたいと思います!
第137歩まで読了です。ヨゾラ、君は何者なんだ!? という疑問を解決したくてどんどん読み進めました。今のところ、答えは出ていません。が、すごく面白いです!大きな盛り上がりと、のんびりほのぼのした展開が波のように私を襲う! これぞエンターテイメント!! ってヤツだ!!! と歓喜しております☆
ほのぼの展開のシーンも全然飽きさせないんですよ。ヨゾラが可愛いから(悶絶)!! ヨゾラ可愛いな~、ヨゾラ可愛いな~って思いながら読んでたら、いつの間にか事件が始まる(笑)で、事件自体も興味深い展開ばかりで早く続きを読まなきゃと思わせてくれる。
ヨゾラがアルルとシェマの仲に嫉妬するシーンも微笑ましかったですね。淑女の時とはえらい違いで。ヨゾラの心の変化も感じられて良いシーンだったと思います。
使い魔や魔法の設定などの世界観自体もとっても好みですし、状況描写も巧みです。ネコやクモの使い魔もすごく好感が持てるキャラクタで大好き。ヨゾラが船から見た海や空を見て思ったことを語るシーンとか、とてもステキな表現で印象に残っています。
あと、ヨゾラがファー夫人に捕まらないことを願ってやみません!
まだまだアルルとヨゾラの冒険が続いて行くことを強く希望します。続きが楽しみです☆
幻想的で美しくて、ちょっと切ない一人と一匹の旅路を記した物語です。
魔法使いの青年アルルは、言葉を話す黒猫と出会う。
アルルはなぜか倒れていたようで、服には血もついているが、何が起こったか覚えていない。
眼前の猫はひたすら自分に名前をつけるように要求する。
名前をつけた後ならば、何が起こったか教えてくれると言うので、アルルは名前を考え出す……。
そんなところから始まる、青年アルルと名付けられた猫ヨゾラの旅の物語です。
この物語の醍醐味は、なんと言っても情景の美しさ。
アルルとヨゾラの旅する先は、輝かしい風景でいっぱい。
そんな情景が、事細かに説明されるのではなく、読んでいるうちに読み手の頭の中に自然と浮かんでくるのです。
人々の生き生きした会話も情景のひとつ。
メインキャラクターから名前のないキャラクターまで、生命力溢れる人々が魅力的です。
また、魔法や「見える人にしか見えない不思議なモノ」の描写も独創的でファンタジック。
ヨゾラはいったい何者なのか? をはじめとする、ちりばめられた謎も、物語を飾る神秘の一つです。
お祭りの夜に、この世界とくっついている「向こうの世界」に紛れ込んでしまうような、浮遊感を楽しめる物語です。
他では決して見られない、綺麗な世界観にうっとりと酔いしれてください。
魔法使いの青年と、しゃべる黒猫の出会いは、ささやかな運命の福音。
何故か、河沿いで倒れていた青年、アルルはしゃべる黒猫と出会う。黒猫にヨゾラと名付けた彼は、気を取り直して仕事にとある街を向かう――ヨゾラと、共に。
その街は祭りを目前に控え、楽しく和気藹々としていて、出会う人々は優しく楽しく接してくれる。ヨゾラも気を良くしながら、アルルと行動に共にする。
その先々で耳にする不穏な噂。そして、知り合った青年が突然、暴漢に襲われ。
祭りまでの滞在予定だったアルルは、ヨゾラと共に不気味な騒動へ巻き込まれていく――。
彼らが自由気ままに旅する中で、出会う不思議の数々。
ふんわりと柔らかく、だけど時に切なく、苦しく、寂しい真実。
その物語の中で、彼らは何を見て歩くのだろうか?
黒猫ならではの視点やキャラクター性。それに付き合う、お人好しなアルル。
二人を取り巻く世界は、いつも優しく、そして謎を含んでおり、それを丸ごと包み込むような優しい文体で書き起こされていく。
魔法使いと黒猫。二人と共に、不思議な世界を旅しよう。
異世界ファンタジーに求めるもの。それはやはり魅力的な世界を読者に見せてくれることではないでしょうか。
そう言った視点で言えば、色彩豊かなどこか懐かしい世界観や、現実の人間がそのまま小説に入り込んだような人々の機微。そして、それに触れる主人公たちの感情豊かな描写はまさしく“異世界ファンタジー”の面白さを存分に魅せてくれる、ファンタジーの一つの極致であるのではないか。そう感じさせられました。
また物語で描かれる事象は善悪では割り切れない、語りつくせない。
当然だと思う出来事が、視点を変えれば強烈な違和感となるような。
僕らの、心に訴えるとても儚く、優しく、恐ろしいエピソードはきっと、
真に純粋だったあの頃の僕たちの記憶に、情動にと訴えかけてきます。
そしてなんといっても、主人公の一人であるヨゾラ。
彼女の可愛さは、この小説にさらなる色付けを施しています。
独自の視点でつづられた極上の異世界ファンタジー。
読めば必ず彼らの見る情景が、眼前に広がること請け合いです。
魔法使いの青年アルルが目覚めると、目の前にはしゃべる黒猫がいた。
しゃべる猫なんてそう珍しくもないけれど、その黒猫はやけにしつこく名付けを要求してくる。
仕方なしに黒猫に「ヨゾラ」と名付けたアルル。
よく分からない奇妙なことは多いけれど、出会った1人と一匹はなんとなく寄り添って、一緒に歩き始めることにした。
一人と一匹の二人旅。
このワードだけで惹かれる人はいるのではないでしょうか。
私もその一人です。
人間と不思議な存在の組み合わせは王道ともいえるでしょう。
それにも関わらず惹かれてしまうのは何故でしょう。
しかしながら、このお話。王道と一言で片づけるには勿体ない。そういう他ありません。
アルルとヨゾラが旅する世界には魔法が存在します。
一部の人にしか見えない不思議な存在たちも一緒に暮らしています。
しかしながら詳しい説明はされません。それでも何となく分かります。
アルルやヨゾラの視点にたって、こういうものなのだ。そう想像することができ、2人の旅を後ろからついて歩いているような気持ちになります。
旅にはいろんな感情がつきものです。
驚いたり、喜んだり、笑ったり。どうしようもなく悲しい事があったり。
そんな様々な出来事の積み重ねが2人の旅を彩ります。
当たり前のように寄り添う謎も世界観を引き立て、この先2人の旅がどういった結末を迎えるのか。楽しみで仕方ありません。
まずこの作品の数話を読んで抱いた印象は、まさに表題に書いたとおり、静かにえぐってくる、というものでした。筆致は抑制されていて、たまにヨゾラ視点になったりもするけれど基本的にはとても客観的な視点で描かれていて、取り乱すことがない。でも中身を読んでいくと、そんな中にバンバン絶望や痛みや苦しみを詰め込んでくる。と同時に、希望も優しさも悦びも同じ筆致で描かれる。この安定した語り部がいるからこそ、作品中の雰囲気がシックでかつ同時にビビッドであり、善意にも悪意にも説得力が芽生え、時には人の命を脅かすような存在にさえ共感させられる、そういった絶妙なバランスが生まれるのだろうと思いました。
使い魔をはじめとした愛すべきキャラも、悪意を持ったキャラも、ストーリーの都合に合わせられるのではなく、個々の意志を以て動いていると納得させられ、より大きな共感に繋がったと思います。とにかく、この作品のタイトルにもなっているヨゾラのキャラクターが楽しい。もう片一方の主人公であるアルルも、普段はクールぶっていつつもまだ未成熟な部分を抱えた人間くささが見え隠れして、この二人(?)の掛け合いと物語を引っ張る力に、ついついページを手繰る手が急かされてしまいます。
これで第一部完とのことですが、これからも彼らの旅は続いていくのでしょう。続きが読める日を楽しみに待っていたいと思います。
レビューを書きたいと思って筆をとったのに、何を書けばいいのかまるでわからない。
言いたいことがいっぱいあるのに、文章にしてみるとどれも違うんです。ちがうそうじゃない、ってなる。結局「いいから読んでみて!」ってやりたくなる、そういう単純には言い換えのきかない面白さ。どう言えばいいのだろう。以下、レビューのふりした一読者のなにかひどく迷走したなにかです。
例えば、登場人物のひとりであるヨゾラさん。この子がとてもかわいいのです。間違いなくかわいいのだけれど、でも違う。単純に「かわいい」という形容だと、言いたいことの一割も言えていない。そんな感覚。だって「かわいい」っていろいろあるもんね、と、もうそんな次元ではないのです。
彼女の言葉や、振る舞い。どれをとってもものすごく自然で、とても生き生きしていて、生々しい。作られたキャラクターではなく、一個の実在としての魅力を感じる。と、説明するとしたらたぶんそんな感じになって、でもこういうの長々言うこと自体がもうなんか違う、それくらい自然でつまり「もういいから読め」ってなります。
そしてその人物の自然さは、なにもヨゾラさんに限った話でなく。全員がしっかりとした存在感を持っていて、当然キャラ立ちはしているのだけれどでも「キャラ立ち」って言葉だとなんかニュアンスが違う、そうじゃなくてもっとこうああもういいから読んで、という、もはやレビューの体をなしていませんがでも自分のせいじゃありません。この作品が悪い。面白いのがいけない。
もうどうにもならないのでざっくり紹介するとすれば、異世界ファンタジー作品です。がっつりどっぷり浸れるファンタジー。魔法とかのわくわくする設定がいっぱいで、それが結構なテンポでもりもり出てくるのに、全部自然にもりもり楽しめてしまう。するりと物語世界に乗っけてくれる。自然で優しい文章と、そして五感に訴えかけてくる描写の鮮やかさ。
ストーリーに関してはあえて触れませんが、保証します。読みたいもの、きっと我々がファンタジーに求めているもの。しっかりきっちり詰まってます。事実、第一部のクライマックス付近、のめり込みながら一気に読み進めました。
ここまで書いたんですがなんかもうやっぱり全部違います。うん違うそうじゃない言いたいこと全然言えてない。そうじゃなくてあの、もっと、こう、自然で、優しくて、こう、いい。とてもいい。本当、どうやったら「この感じ」が伝わるのか、自分にはまるでわかりません。わからないので開き直るのですけれど、こんなの説明できなくて当然です。
別の言葉で説明なんかできない、そういう面白さこそきっと『小説の面白さ』なんだろうなあと。
この作品を読んで、そんなことをぼんやり考えました。だから読もう。読んで。ぜひ。
レビューつっても、最終的に「いいから読め」としか言えないんですよね。
そのことについては先に謝ります。
ごめんね。
とにかく、プロローグだけでも読んでください。
言ってる意味がわかると思います。
嘘、ごめん。
やっぱ最後まで読まんと損するわ。
この作品、語るべき魅力は本当に沢山あって、綿密に築き上げたであろう世界観の設定だったり、キャラクターたちの生き生きとした豊かな個性だったり、本当に語り続けるとレビュー終わらないんです(まあ、その辺は他の人がすでに書いてるから、そちらが参考になると思います)。
個人的に一番震えたのは、作中二回あった太鼓のシーンですね。
というのも、ぼくたちは基本的に『視覚』で小説を読みます。
目で受け取った文字を、脳に送り込んで情景を想像し、物語を楽しむわけです。
けど、この太鼓のシーンがすごかった。
音がリアルに聞こえてくるんですよ。
視覚で読み取った文字列が、一度『聴覚』を経由して脳に届くんです。
一応ぼくの脳は正常だと思いたいので言い切っちゃいますが、作者の書く文章からは、《《音が聞こえます》》。(カクヨム記法)
そのくらい臨場感のある描写なんです。
「アホ抜かせ」とお思いでしょうが、騙されたと思って読んでみてください。
ぜひあなたの目で、そして耳で、その衝撃を確かめてください。