『音』が聞こえてくる小説

 レビューつっても、最終的に「いいから読め」としか言えないんですよね。
 そのことについては先に謝ります。
 ごめんね。

 とにかく、プロローグだけでも読んでください。
 言ってる意味がわかると思います。
 嘘、ごめん。
 やっぱ最後まで読まんと損するわ。

 この作品、語るべき魅力は本当に沢山あって、綿密に築き上げたであろう世界観の設定だったり、キャラクターたちの生き生きとした豊かな個性だったり、本当に語り続けるとレビュー終わらないんです(まあ、その辺は他の人がすでに書いてるから、そちらが参考になると思います)。

 個人的に一番震えたのは、作中二回あった太鼓のシーンですね。
 というのも、ぼくたちは基本的に『視覚』で小説を読みます。
 目で受け取った文字を、脳に送り込んで情景を想像し、物語を楽しむわけです。

 けど、この太鼓のシーンがすごかった。
 音がリアルに聞こえてくるんですよ。

 視覚で読み取った文字列が、一度『聴覚』を経由して脳に届くんです。
 一応ぼくの脳は正常だと思いたいので言い切っちゃいますが、作者の書く文章からは、《《音が聞こえます》》。(カクヨム記法)
 そのくらい臨場感のある描写なんです。

「アホ抜かせ」とお思いでしょうが、騙されたと思って読んでみてください。
 ぜひあなたの目で、そして耳で、その衝撃を確かめてください。

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