家庭の中の両親5

 しかし、父は喧嘩好きな自分の息子に演説の才能があっても将来の役に立たないだろうと思い、私の考えに理解を示そうとしなかった。父は私のことを心配しながらも監視していたのだ。


 実際には、司祭への憧れはすぐに消えてしまった。もっと私に合った職業をあるように思えたのだ。


 父の蔵書をくまなく探しているとき、私は様々な軍事関連の本を見つけたが、その中に1870-71年に起こった普仏戦争についての本があった。それはイラスト入りの二巻であり、私の愛読書となった。次第にその偉大で英雄的な戦いは、私の中でもっとも大きな経験となった。


 それから私は戦争に関することや、兵士のことにさらに熱中した。しかし、これは別の観点からしても、私にとって重要な意味を持つようになった。


 まだ漠然とではあるが、戦争に参加するドイツ人と、戦争に参加しないドイツ人とに違いはあるのだろうか、という疑問を持ったのだ。


 なぜオーストリアは戦争に参加しなかったのだろうか。なぜ父や他の人々は戦わなかったのだろうか。我々もまた同じドイツ人ではないか! 我々は一緒にいてはいけないのか!?


 はじめ、この問題は私の小さな脳を混乱させた。


 私は慎重な質問をした。そして、全てのドイツ人がビスマルク国家に所属していないからだ、という答えを得た。私はこれ以上の答えを持てなかった。

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