わがヴィーン時代の一般的政治考察6
だが、こうしたことは同一民族から成り立っていない、同じ血によるよりもむしろ同じ拳で維持されている国の場合は違ってくる。
ここでは支配のすべての弱点は国家の冬眠を意味するのでなく、有力な意思が支配している時代には広がることができず、血の中に存在していた個々の本能を目覚めされるための誘因となるのだ。
数世紀にもわたる共通の教育、伝統、利害関係等によってのみ、この危険が緩和しうる。だからこそそういう国家組織は、国家が若ければ若いほどますます指導力の強さにかかってくるのである。
実際に優れた権力者や才知に富む英雄によってつくられたものであっても、一人の偉大な建設者の死後、すぐに崩壊することは往々にしてあるものだ。
しかもなお数世紀を経たのちでもこの危険が克服されたとは言えない。危険はまどろんでいるだけであり、共通の支配の弱点や教育の力、伝統の崇高さが種族の独自の生命衝動が飛躍するのをもはや克服することができなくなり、突然危険だけが目覚めることがあるのだ。
これを理解しなかったのはハプスブルク王家の悲劇的な罪であろう。
ハプスブルク王家のある優れた一人に、運命は今一度彼の国土の未来について炬火をかかげさせたが、それも永遠に消えてしまった。
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