ヴィーンでの勉強と苦難の日々10
社会問題に関心が出てきて間もなく、私はこの問題を根本に研究を始めた。それは私に開かれた、今まで知らなかった世界であった。
一九〇九年から一九一〇年にかけて、私はもはや補助労働者として毎日パンを稼ぐ必要はなくなっていた。私自身の状況もいくらか変化していたのだ。
当時、私はすでに小さな図工兼水彩画家として生活していた。これは稼げなかったが、しかし私の選んだ職業としてはよかった。
今までの私は夕方仕事場から帰ってくると、死んだように疲れ果て、本を読むとすぐに居眠りをしてしまうほどだった。
この仕事はもちろん将来の仕事につながっていた。
また、今までの時間を自分のものとして、以前よりもずっと有効に使えることができた。
私は生きるために描き、喜びのために学んだ。そのようにして、私は社会問題についての直感と理論を獲得したのである。
すべての分野について本で得ることのできるものは研究し、その上で自分の考えを深めた。
そのころ、周囲の人間は私のことを変人と考えていたことだろう。同時に私は燃えるような熱意で建築学へ自分の愛情を捧げていた。
建築とは音楽と並んで芸術の女王である。
こう思えるからこそ、今の仕事は「仕事」ではなく、最高の幸福だった。
私は夜遅くまで読んだり描いたりすることができ、あきることはなかった。
こうして、私の美しい未来の夢は、長い年月はかかるかもしれないが、必ず実現するだろうという信念を強めた。私は建築家として、将来名を残すだろうと確信したのだ。
それと並んで政治にも興味を持ったが、これは私にはたいして重要ではなかった。これは私から見れば理性がある人間ならば自明の理であるからだ。
政治に対して何の理解も示していないものは、批判することも、苦情を言うこともできないのである。
これについてもまた、私は多くの書物を読み、そして学んだ。
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