ヴィーンでの勉強と苦難の日々16

 大衆の心理は中途半端なものに対しては鈍いものだ。


 女性のようなものだった。彼女らの精神は抽象的な理性よりも、むしろ足りない何かを補ってくれる力に対する、定義しがたい感情的なあこがれによって決まる。


 だから弱いものを支配するよりも、強いものに支配されることを好むのだ。


 大衆もまた哀願するものよりも支配するものをいっそう好み、そして自由主義的な自由を是認するよりも、他の教説の併存を許容しないことによって、内心をいっそう満足させるのである。


 彼らはまた、たいていそれをどう扱うべきか知らないし、しかも容易に見捨てられると感じるものなのである。


 彼らは破廉恥な精神的テロや、自由を癪に障るほど虐待されていることにも気づいていない。彼らは教説のうちに潜む狂気に気づいていないのである。


 そのようにして、彼らは目的のはっきりしている傍若無人な力や残虐さを見て、いつも屈服しているのだ。


 もしも社会民主党に対して、もっと真実に満ちた、しかも同じように残忍な実行力を持った教説が対立すれば、たとえ非常に苦しい闘争の後であるにせよ、後者が勝つに違いない。

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