わがヴィーン時代の一般的政治考察13
私たちが常に「世論」と言っているものは自分で得た経験や個人の認識に基づくものはごく一部だけで、大部分は往々にして際限なく、徹底的に、そして継続的に「啓蒙」という種類のものによって呼び起こされたものである。
信仰上の態度とは教育の結果であり、宗教上の要求がただ人間の内にまどろんでいるに過ぎないのと同様に、大衆の政治的意見もまた往々にしてまったく信じられないほど強靭で徹底的な加工を心と理性に施した結果であるにすぎない。
この場合、戦前という言葉が非常に合っているが、政治「教育」に強く関与しているものは新聞であろう。新聞は第一にこの「啓蒙活動」を考え、それによっておとなに対する一種の学校をなしている。
ただこの学校の授業は国家の手にはなく、一部は最も下劣な勢力の手中にある。私は若くしてヴィーンでこの大衆教育機関の所有者や精神的な製造者を正しく知る絶好の機会を持った。
私ははじめ、国家の中にいるこの不快な大勢力が一般人が抱いている願望や観念を作り替えようとするときにどうしてそんな短期間で一定の意見を作り出せるのかと驚いた。数日にして笑うべきことから意味深長な国家的行為を作り上げ、同時に生活の重要な問題は忘却され、もっと言えば大衆の記憶と回想の中から簡単に盗み出されてしまうのである。
そのようにして二、三週間経つうちに魔法のように何もないところから名前がつくりだされ、その名前に公衆の信じられないほどの希望が結び付けられ、さらに実際に優れた人物でもしばしば彼の全生涯においても与えられないような人気を作ろうとするのである。
その際、一か月前には誰も聞いたことがないような名前で、一方では同時に国家生活やその他の公的生活で古くから定評ある人々が最も健全でありながら簡単にその時代の社会から抹殺されてしまう、あるいは彼らの名前がやがてまったくはっきりと下劣で無頼なシンボルになるように脅迫する悲惨な誹謗を浴びせかけられるのだった。
このゴロツキ新聞の危険性を正しく評価するためには、立派な人間を一度で呪文にかけたように同時に何百という方向から清潔な衣服に下劣な誹謗と名誉棄損の汚物を投げかける卑しいユダヤ人のやり方を研究しなければならない。
こういう精神的な盗賊には卑しい目的を達するために合わないものは何もない。
彼はその際、家族のもっとも秘密にしていることを嗅ぎつけ、不幸な犠牲者にとどめを刺すような憐れむべきことを、キノコを探すような本能で止めないのだ。
しかし公的な生活にも、私的な生活にさえもまったく何も嗅ぎだすものがないと何度取り消しても、それだけをとってみると何かが引っかかるだけでなく、彼の遊び仲間によって誹謗を見つけ、何百回となく繰り返した結果、たいていの場合はそれに対する犠牲者の闘争がまったくできなくなるのだという不動の確信をもって彼は簡単に誹謗するのである。
その際、こういうゴロツキたちは他の人間には信じられないほどの、あるいは理解さえもできないような動機から何か企てていた。
神よ守りたまえ! そういうようにルンペンは愛すべき同時代の人々を最も無頼な方法で攻撃しながら、このイカは実直さとかもったいぶった文句とかをうまいことらしく黒雲の中に隠し、「ジャーナリストの義務」や、それに似た虚偽のくだらないことをしゃべり、しかもその上増長し、会議とか会合とか、またこういう疫病がたくさん集まる機会には特殊な、すなわちジャーナリストの「名誉」について無駄口を叩き、おまけに集まってきた無頼漢どもは互いに重々しく確かめ合うのだった。
だが、このゲスどもがいわゆる「世論」の三分の二を製造して、その泡から議会主義という愛の神が発生したのだ。
このやり方を正確に描き、そのまったくの嘘に満ちた不誠実さを述べるためには数巻を要するであろう。しかしまたこれを度外視して、そしてその活動とともに結果だけでも観察するならば、正しく信じる気持ちを持つものならば、この制度の客観的に見た狂気を想像するためにはこれで十分であるように思う。
この常軌を逸した危険な人間の錯乱は、民主主義的議会主義を真のゲルマン的民主主義と比較することで、最も早く容易に理解できるのである。
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