家庭の中の両親6
私は高校に行くべきだと思った。父は私の気質などを見て、人文科よりも実技学校が適していると思ったようだ。特に父は私に絵の才能を見て取った。オーストリアのギムナジウムでは、絵画が軽視されていると思ったのだ。父の目には自身の経験から人文科の勉強が取るに足らないものにも見えた。
しかし、それでも父は、私は公務員になるだろうと、そうしなければならない、という考えを持っていた。父は青年時代が辛かったために、鉄のような勤勉さと努力の結果として手に入れた地位がよりいっそう大きく見えたのは自然なことだった。
成り上がりによって手に入れたプライドが、私も同じような、できればもっと高い地位について欲しいという考えに至らせたのだ。父は自分の努力によって、私が容易に高い地位を手に入れる環境にしたのだから、なおさらのことであった。自分の全てだったものが拒絶されることは、父にとって考えられないことだった。
その結果、父がくだした結論は、単純で明快ではっきりしており、父の眼から見れば当たり前のことであった。つまり、一生の間つらい戦いを行ってきた父は、こういう事柄について、私に最終決定を任せるのが耐えがたかった。それは、私が父の目から見れば経験も浅く、また同時に無責任な少年に見えたからであった。
だが、当時十一歳であった私は生まれて初めて、父に反抗した。父は頑固にも自分の考えを私に押し付けようとしたが、私も父に負けず頑固で反抗的だったのだ。
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