更木絹

　さびしい少年は別離を恐れ、香神木は瞳で愛しみ、桜は禁忌をささやいた。 　――「絶対に、あれを侵すことは許さない」。 　　　◇ 　山の社の老神官に拾われた、忌み子…

これは、カクヨムコン８に応募している和風平安ファンタジー「錦濤宮物語　女武人ノ宮仕ヘ或ハ近衛大将ノ大詐術」を、登場人物の近衛大将・佳卓が紹介している文章です。https://ka…

舞台は広大な草原。宿星に導かれた数多の好漢たちが、亡族の遺児インジャと出逢い、これを助けて草原を制覇していく架空の歴史物語。 下記のうち、どれかひとつでもお好きなら、ぜひご一読…

さびしい少年は別離を恐れ、 香神木は瞳で愛しみ、 桜は禁忌をささやいた。 ――「絶対に、あれを侵すことは許さない」。

烏翠国の都にも、遅めの春がやってきた。 ラゴ族の姫君で今は王族の邸で暮らすレツィンは、 友人の敏や承徳とともに凧を揚げ、将来を占う。 すでに籠の鳥たる運命が決まっている彼女は、 …

　山岳のラゴ族を率いる青年サウレリは、盟約相手の烏翠（うすい）まで人質となる妹を送ってきた。 　妹を預ける先は、烏翠の王族で旧知の弦朗君（げんろうくん）。味方であり味方でなし、敵…

北方の少数民族・ラゴ族を率いるサウレリは、烏翠国（うすいこく）との紛争のさなか、烏翠の王族かつ使者である弦朗君（げんろうくん）に出会う。互いに敵対する立場であり、対照的な外貌と性…

涼国の公主である宝余（ほうよ）は、ある秘密を抱えたまま隣国の烏翠（うすい）の王・顕錬（けんれん）に嫁ぐ。だが、華やかな婚儀は凶兆をはらみ、そして「紫瞳の国君」は新床で花嫁に対し、…

　ある辺境国にて、王の三女である恵玲公主（けいれいこうしゅ）は、実は両親の悩みの種。出生時に占い師から「その運命を読むことができない」と宣告されたばかりか、幼い頃から不可思議な能…

長編中華風ファンタジー『翠浪の白馬、蒼穹の真珠』外伝。『翠浪』終盤を別の角度から描く。 レツィンと趙敏（ちょうびん）がその運命を引き受けたとき、彼等の主君であった弦朗君（げんろう…

大切な宝珠を失くした姉姫の罪をかぶって処刑される代わりに、姉姫の身代わりとして、ある男の守り人になることを命じられた少女、セイレン。 仕えることになった男は、淡海と海の水運を司る…

休止中の創作ブログの代わりに、独り言を書きます。 文章も構成もシンプルが好きなので、時折、内容を整理したり、削除したりもします。 「おや、よくここを見つけたね？　案内なんか出…

カクヨムを始めて、あれ、なんかイメージと違う。もっとこうしたほうがいいのかな。もっとこうすれば多くの読者に読んでもらえるのかな。そう思ったこと、ないですか？　門外不出、秘伝のタレ…

落日の日、巫女として生まれた少女は復讐に取り憑かれた夜叉へと堕ちた—— 里に代々伝わる予言のせいで“忌み子”として恐れられてきた神々廻千鶴は（ししばちづる）は、ある日を境に時…

それは、激しい雨が降り続いているが、それすらどうでもよくなる朝のことだった。 月裳（つくも）の幼馴染みである須原（すわら）は御上（おかみ）に見初められ、嫁にいく。 月裳は須原の嫁…

東の果て、山女が棲まう遥野郷安是の里では、女は恋をすると光る。だが、かすみは十八になっても光らず、〝かすのみ〟扱いをされていた。 今日も今日とてかすみは黒ヒョウビの実を採りに神域…

神静まらぬ古代、代々退龍を担う王家の末姫として生まれたユメ。やむなく迎えた御贄の儀で、龍の待つ『おとびら』はユメを迎え入れなかった。 国を救う退龍の鍵を握るのは、水鏡に映った美丈…

【第一部】 　現代の日本で妖は知識として残され、娯楽商品としての進化も遂げている。 　しかし、妖も人間の文明と共に進化し、人に姿は見えずとも、紛れるように暮らしていた。 　そして…

憧れの仕事で挫折をし、逃げるように実家に帰ってきた葵佐和子。ある日バスで偶然出会った老婦人に、「五十代、実家暮らしの物書き、結婚歴なし」だという彼女の息子との見合いを強引に約束さ…

古事記（イザナキとイザナミ）×大鏡（藤原頼通の時代）をベースにした神話ファンタジー。 ツクヨミとヨモツ（イザナミ）の間に生まれた女神――ナオクスヒメ 藤原道長の長男――頼通 …

元は令嬢だったあやめは、現在、女中としてある作家の家で働いていた。 紡ぐ文章は美しく、されど生活能力皆無な締め切り破りの問題児である玄鳥。 手のかかる雇い主の元の面倒見ながら忙し…

平家全盛の平安末期。 女童として清盛の妻に仕える玉虫は、七つ年上の教経にはじめての恋をする。 平清盛の甥である教経は、幼少時に厳島の海で市寸島比売命（イチキシマヒメノミコト）と…

平安王朝時代が舞台ですが、政争、剣戟、拗らせエリートの愛憎、身分差の恋が絡みます！ 2024大河ドラマ「光る君へ」が好きな方にはお楽しみいただけるかと……。 ＊＊＊＊＊＊ （あ…

　大陸の果て、島国・嘉元(かげん)。 　その国には、《飢神(きじん)》と呼ばれる人食いの異形が存在していた。 　人々は山野に潜む化け物を恐れる一方で、《狩司衆(かりつかしゅう)》…

・真面目なあらすじ 日ノ国に遺る神器の一つを密かに継承する須佐一族は、国家安寧のため祈祷を続けていた。 しかしある時、その力を欲した勢力の襲撃により、隠れ里は崩壊してしまう。 …

池の底はまったくの静寂だった。 水面から届く陽の光も、鱗を煌めかせながら泳ぐ魚も、彼の心を動かしはしなかった。 そこにあるのは、永遠の静謐──の、はずだった。 その日、少女が降っ…

贄の望む姿になるカタチを持たない神様が、贄の死んだ想い人の姿で妻問いに来てしまった話。 和風ファンタジー異類婚姻譚です。もしくは、誰でもない誰かが、誰かになる話。 一章『神様の…

あやかしの国「阿の国」。北の領を統治する鬼伯（鬼の王）の息子である碧霧は、ある日、紫月という名の女の子と出会う。二つ鬼と一つ鬼、それぞれ訳ありな二人は、お互いの素性を隠したまま、…

　寺に身を寄せていた没落貴族の娘「斎（セイ）」は、そこで年上の「入道の宮」と出会う。彼は親王でありながら、政から遠ざけられやむなく出家した不遇の人だった。 　しかし流行り病で帝や…

　新人賞で受賞したくありませんか――!? 「新人賞で選出され、受賞作でデビュー」……それが作家になるための王道！ 　インターネット上で無限にも思えるほど小説が書かれるようになった…

『九尾の花嫁』の番外編ですが、登場人物が人外だっていうくらいの事前情報だけで読める小話です。 ちょっと作者が書きたくて書いただけの話。 『九尾の花嫁』本編のネタバレ要素もあります…

郡司の娘、九々流は久しぶりに会った大好きな許婚に「婚約なんて子どもの頃の口約束にすぎない」と振られた矢先、賊に襲われ非業の死を遂げる。 ――それから、およそ九十年後。 小作人の娘…

公式のレビューをいただきまして、特集に載せていただきました！ 「救われるだけのシンデレラじゃない！　運命を自ら最高にする結婚小説」４選 https://kakuyomu.jp/…

五歳のときに生贄として川にささげられた少女アカルは、古の巫女によって水底から助けられ、岩の里で十五歳までを過ごす。 神の声は聞けても、巫女としては未熟なアカルに、老巫女は隣国の姫…

どこにでもある田舎・伏見谷で普通の高校生として暮らす平凡(？)な妖狐・壬は、ある日、格も次元も違う鬼の女の子・伊万里と出会う。 彼女は、三百年前に妖狐の谷・伏見谷をつくり世を去っ…

　ある地方都市で暮らす女子高校生・御角　倫（みかど　りん）。 　彼女の家には、なぜか織田信長を筆頭に、週に一度さまざまな武将が訪れてくる。 　織田信長と伊達政宗との出会い。 …

龍が駆け、鳳凰が舞う空の下での物語。 辺境の北方部族の姫君レツィンは、活発で武芸に秀でた娘。 彼女は部族と「烏翠（うすい）」国との盟約により、国都の瑞慶府（ずいけいふ）に送られる…

　謌によって森羅万象を操る「うたよみ」。日夜、皇都を怪異から護る彼らの力は、国の政に影響を及ぼすほど。 　ここに、皇帝への輿入れを蹴ってうたよみを目指す一人の奇矯な女がいる。 　…

「人の心を食い潰され、般若のように辛苦を抱いているのなら、決して泣き寝入りするな。目には目を。俺に任せな。赤は縁起がいいだろう？　仇の血を噴き出させて、あんたらを笑顔にしてやるよ…

大正時代のほの暗い闇の中を〝文魔〟と呼ばれる怪物が跋扈していた。 文魔は、誰もが知っている有名な物語から生まれる。彼等は、物語に秘められた想いや物語を読んだ大勢の人間の願い・恐れ…

一年後に嫁入りを控えながら、雪花は普段と変わらず妓楼での務めを続けていた。 そんな中、帰国するグレンが雪花を訪ねてくる。 玻璃までの道中、護衛してほしいと言うのだ。それも、一人の…

異世界に転生した八重は、化け物に襲われ、かつて神だったという金虎・亜雷を解き放つ。俺様な彼に振り回され弟捜しを手伝うが、見つけた弟・栖伊は異形と化す病に冒されており、なぜか八重が…

　あやかしの国「阿の国」。北の領を統べるのは「月夜（つくよ）」と呼ばれる鬼の一族。一族の王、鬼伯の娘・藤花、その姉・深芳、そして深芳の友人にして博学子の娘・千紫、運命に翻弄されな…

仮想敵国の王子に恋する王女コトリは、望まぬ縁談を避けるために、身分を隠して楽師団へ入団。楽器演奏の力を武器に周囲を巻き込みながら、王の悪政でボロボロになった自国を軍事大国の『帝国…