ファンアートの自主企画から知り、描かれていたイラストが美しかったので小説も読んでみたところ、地の文の透き通った美しさと柔らかさ、スラスラ解けるジグソーパズルのような気持ちの良い文章についつい引き込まれてしまいました。
あやかしとオンラインニュースサイトという相容れない存在を、時に面白おかしく、時に真面目に、とても上手くマッチさせ、本当に存在するかのように感じさせてくれました。
読中時に、前半はよく冷えた美味しい水まる餅、後半は中身が濃厚な羊羹を食べているような小説だなと思っていたら、途中にういろうというワードが出てきてドキリとしました。惜しかったでした。
昨今は働き方改革という言葉が浸透し始めて、凡ゆる業種で変革の嵐と存じます。
いつも「日本人って働き過ぎだよ〜!」と思います。もちろん、働かなければ金銭も社会的立場も得られない厳しい現実ではあります。
ブラック企業と呼ばれるものは、今現在も無くなった訳ではなく、社会の中に溶け込み、外側からは見え難くなっているのが現状なのかも知れません。
本作は、そんな社会の歯車として消耗し切った方へ贈りたい物語です。
働き方については千差万別の答えがあるでしょう。けれど、本作に込められているのは、きっと「頑張らなくて良いんだよ、貴方はゆっくりと着実に前へ進んでいるからね」という温かなメッセージと思います。
こんな上司がほしかった!!!
……と心の底から思いました★
読了して一番に思ったことは「読んで良かった」です。沢山の元気と胸キュンをもらいました。
人間世界で仕事につまずき、元気を失くしていたヒロイン・佐和子は、ひょんなことから「あやかし瓦版オンライン」編集部で働くことになります。個性豊かなあやかしたちと触れ合う中で「自分らしい働き方」に目覚めていきます。自分を取り戻した彼女は、人間社会での「実績」にならない今の仕事を続けるべきか悩むようになります。そして、彼女の出した答えは……。
佐和子には、真面目一徹であるがゆえに空回りしてしまうところがあります。作者様は、佐和子のような人たちが「もう少し肩の荷を降ろしたっていいんだ」「自分を大事にしていいんだ」と思えるよう、作品に願いを込められたそうです。その思いの通り、佐和子に共感を感じる私は、読みながら心を洗われたようでした。
特筆すべきは、編集長・笹野屋永徳さんの魅力です。一見、優しそうだけど飄々として何を考えているか分からないキャラクターです。しかし、回を重ねるにつれ、彼の信念や気配り、愛情深さなどが見えてきます。ダラけているようで、実はそれは社員に圧を感じさせないため。しっかり社員を観察していて、いざと言うときには的確に指示を出す、理想の上司です。誰もが振り返るようなイケメンという設定も、彼の魅力を押し上げています。
ひとりで仕事を抱え込んでいっぱいいっぱいになっている佐和子を永徳さんが諭すシーンは、本作の名シーンの一つです。永徳さんと佐和子の二人がどうなっていくのか予想することも、この物語を追う醍醐味のひとつです。
自己肯定感を上げてくれる、読後感の非常に良い作品でした。
とてもクウォリティの高い、ヒューマンドラマならぬ「あやかし」ドラマ。
仕事で挫折した主人公の佐和子があやかしたちが働く編集部に迷い込む(?)ところから始まり、少しずつ仲間(あやかし)たちとの絆を深め、自分が本当にしたい「仕事」について答えを導き出していく。
個性豊かなあやかしたちは、どこか人間以上に人間味に溢れている。そして何より、永徳さんの包容力。まさに人間離れした優しさに虜になりそう。
あやかしたちが働いている「あやかし瓦版編集部」はやけにリアリティが感じられ、非現実的な現象とのバランスが絶妙。しっかりした土台の上で成り立っているビジネスストーリー。
ほのぼのしているようで、出会った仲間たちとの熱い展開もあり、ポロッと涙をさそわれた。
書籍化の可能性が非常に高そうに思える素晴らしい作品。
あなたもぜひ「あやかし瓦版編集部」へいらしてみては?
過重労働で体を壊し、仕事を辞めて三ヶ月が経った主人公・葵佐和子。佐和子は、たまたま同じバスに乗っていたご婦人・笹野屋富士子から「うちの息子とお見合いしない?」と急に声を掛けられる。
そして、その息子・永徳に会いに行くと今度は「うちの家業の手伝いをしないか」と言われ、連れていかれたのは、あやかしが働く職場だった…!?
とっても面白かったです!テンポ良く進むので、スラスラ読めてしまいます。
あやかしと人間の価値観の違いに戸惑いながらも、少しずつ仕事をこなしていく佐和子。読むときっと彼女を応援したくなります。頑張っている姿ってほんとにかっこいいですよね。
ですが、無理をすることが染み付いてしまっている佐和子は、仕事を任せてもらえるようになっても焦りを募らせていきます。「認められたい」「誰かに必要とされたい」そんな彼女の想いが伝わってきてしんどくなる場面もありました。
「働く上でのやりがい」「自分は何をしたいのか」悩みや葛藤に心揺さぶられるはず。明るい気持ちになれる、素敵な作品です!ぜひ読んでみてください。
最初の話で「あ〜〜〜これ絶対に面倒臭いおばあちゃんじゃないですか〜〜〜ヤダ〜〜😭」とか思ってたら、全然そんなことはなくて、「え!?どゆこと!?」とか驚きの展開の連続で戸惑ってる間にいつの間にか引き込まれていました✨ もう展開が分かりやすくて神😇✨💕
そして何やかんやで働くことになった編集部の編集長がなかなかに悪い妖怪です…( ꒪ͧд꒪ͧ)
ヒロインを嫁候補として迎え入れてるつもりは無さそうに見えてちゃっかり嫁扱いな雰囲気あるし、仕事という大義名分でデート連れて行くし、無職なヒロインを高めの給料で職場に縫い止めちゃうしで、読者の心を掻き乱すめちゃくちゃ酷い妖怪でした😭
というわけで面白かったです!