異類婚姻譚が好きな方なら是非手に取って欲しい。もちろん、そうでない方にも。
もう、私の胸はいっぱいで、これ以上ない感動がありました。
寒寒しい贄と神様から始まる物語。
しかし、時が経ち、仮初ながらも夫婦として歩み、生活していくうちに変わる二人。
人として、神様として、女として、男として、子供として、大人として……
それ以外にも様々な人の角度から捉えた贄物語でもある。
決して単純な恋物語だけではない。
二人が少しずつ寄り添って、恋をして、愛を育んでいく。そうして迎える結末を、見届けて欲しい。
感情とストーリーが合わさって、読者に殴りかかってくるような……最高の満足感が味わえるでしょう。
オススメです。
村の神『幻神』の贄、伴侶に選ばれた明里ですが、彼女には忘れられない人がいます。『幻神』の姿は性質によりに明里の忘れられない人になっておりますが、その人の『本人』ではありません。
村の恵みをもたらすためには、明里は『幻神』の妻にならなくてはいけません。ですが、明里は『幻神』の妻になることを望んでいません──
これは、特定の姿を持たない『幻神』と伴侶となった明里の和風恋愛ファンタジー。
関係性の進展は本当にたまりません。前途多難ではありますが、彼らが思いを交わす場面を見るたびに、教会の鐘を108回感謝の正拳突きをしたいぐらいです。
あらすじにもある通り、じれじれ、つかず離れず、胸キュン、こじれあい、ヒロインに冷たいヒーロー、溺愛。これらが好きな人にはたまらない物語。
一読してはいかがでしょうか?
土地の安寧のため、人間が神様の贄になる。日本の昔話では時々あるお話ですが、贄に選ばれた人間と神様はどのように関係を結ぶのか? そこに焦点を当てたのがこちらの作品です。
主人公の女性、明里はどこにでもいる平凡な村娘。彼女は恋人であった男性、千冬と死別して哀しみに暮れていました。そんな折、千冬と全く同じ姿形をした男性が明里の前に現れます。彼の名は『幻神』。村に宿る水の神様である彼は、明里を自分の贄とすることを決め、彼女の望む姿となって天界から下りてきたのでした。
村の安寧のため、村の人間から幻神の贄、つまり伴侶になることを求められる明里ですが、千冬を想い続ける彼女はなかなか幻神を受け入れようとはしません。しかし、明里が贄にならなければ村はいずれ厄災に見舞われる。村を滅ぼしたくはないけれど、千冬のことも忘れたくはない。果たして明里の選択は……というのが物語の大枠です。
この作品の素晴らしい点は、何よりも巧みな心理描写です。明里の喪失の哀しみ、自分本来を見てもらえない幻神の苦しみ、そうした心境が胸を打つ文体で描かれ、自然と登場人物に感情移入することができます。誰もが懸命に生きているだけなのに、どうしてか互いを傷つけてしまう。そんな交錯する心理模様が切なく、序盤はしっとりとした哀しみに包まれています。
だけど哀しみは長くは続かず、中盤から少しずつ物語は明るくなっていきます。痛みを乗り越え、少しずつ歩み寄りを見せる明里と幻神。二人の関係が変化する中で、恋愛小説らしいあまーい描写も出てきます。中にはのろけとしか思えない描写も……。ドキドキ、じれじれ、胸キュンもたくさん味わえます。
人間と神様という立場の違いもあり、最後まで二人の関係がどうなるかはわかりません。神様が相手の恋は「まぼろし」に終わってしまうのか、それとも。結末はぜひご自身の目でご覧になってみてください。神話好き、和風ファンタジー好き、恋愛好き、その他幅広い方にお勧めの一作です!
どこから話せばいいでしょう
このとある村の神様とその贄の娘が夫婦になるまでの物語を。
神様は、贄の娘の想い人であり夫となるはずだった人の姿で現れます。
亡き人が戻ってきた――のは「姿」だけで、冒涜のようにも感じられ、贄の娘、明里さんは受け入れられずにいます。でも「贄」であって村の弱い立場でもあり、とても苦しい状況に置かれます。
初めは、人の心の欠如した神様に「えこの人がヒーローであってる……?」までありましたが、でも贄への向き合い方これまでの過去、村で人を知り「明里さん」を知り心を通わせていく過程がとても丁寧に描かれて読み進める内すっかり二人の応援団と化していきました。
昔ながらの閉鎖的な村の在り方が「敵」なのかと思えば、それも光の当て方次第であり、はじめと最後でまるで見方が変わりました。
暗がりの中一面一面光をあてていき、朧な灯りから影が見えそして次第に強い明かりとなって気付けば全て照らされ温かい日の下にいる。確かにここに、これからが在る。そんな幸福な読後感。
「ヒーロー」「ヒロイン」の二人ともが初めから理想像としての型通りではありません。だからこそ、出会いが互いを変え――かたちにし、強く結ばれていく過程に惹きつけられました。
まぼろしの恋のゆくえを、ぜひ追っていただきたいです。
祝言をあげる予定だった幼なじみが川で死んで、一年。
前触れもなく、神様がその幼なじみに生き写しの姿で現れて、「おまえを贄に選んだ」とヒロインに告げる……。
じれじれ恋愛、と書きましたが、前半は、じれじれどころの話ではありません。ヒロインは神様を(ほぼ)見ようとしません。
大好きだった幼なじみ。声、姿、まるっきり同じでも、あなたはわたしの幼なじみじゃない───。
どうしても受け入れられない。
昔の田舎の農村なので、村人からの、神様を受け入れろ、との圧力が半端ありません。
それでも、ヒロインは頑なです。
でもね、読んでるうちに、
「そうか……、それは気持ちがわかるなあ。」
となります。
心理描写が、とても丁寧にしてあるからです。
そして、「山場」を越えたあとの、じれじれキュンキュンぶりが、たまりません。
うんうん、あの前半部分があったからこそ、ここまで、あまあまなのが、尊く感じるのです。
ヒロインの気持ちも、神様の気持ちも、死んだ幼なじみの気持ちも、良くわかります。
ところで、私は今、最新話まで読んで、めっちゃ落ち着かないのです。
神様、神様、大丈夫かなあ……。
この、いじらしい神様を、見守らずにはいられません。
面白いですよ。
ぜひ、ご一読を!
最初はせつなくてシリアス展開だったのですが
途中からニヤニヤが止まりません
じれきゅんもだもだラブストーリーを紹介します。
主人公の明里は村の人と相談の上
神様の花嫁になることを承知します。
その神様は幻神様
明里の許婚だった。けれど死んでしまった千冬そっくりの姿で
幻神様は明里の前に現れます。
見た目は想い人そっくり。なのに千冬ではない。
神の伴侶とならなければならないのに、明里は幻神を拒みます。
カタチをもたない幻神なのに
少しずつ、形となった時……。
まだまだ二人の関係はこじれています。
でも、徐々に近づいている気がします( *´艸`)❀
どこか昔の日本のような美しい情景描写が浮かびます。
和風ファンタジー好きな方、オススメします☆(*´▽`*)
婚約者の千冬を失った明里が、『幻神』なる神様に嫁ぐ物語。
『幻神』は千冬そっくりの姿に変わって明里に近づこうと試みますが、明里、幻神、千冬、三者の思いが少しずつずれた形ですれ違って、胸が切なくなります。
最初はヒロインの明里にスポットが当たっていますが、そのうちに幻神や千冬の心情が少しずつ分かってくると、ページをめくる手が止まらなくなります。
物語の根底を流れる日本の宗教や文化が美しいですし、情景描写も綺麗で映像が心に浮かんで来るようでした。
和風ファンタジーが好きな人におすすめしたい一作です。
お正月にふさわしい、素晴らしい物語を有難うございます。
続きを楽しみにしております!
ひと月後に祝言をあげるはずだった幼馴染を亡くした明里。その一年後、明里の前に亡くなったはずの幼馴染、千冬が現れた。
十二柱の神様。贄。伴侶。──六月の幻神。
月が本来の位置に戻る頃、その生まれ月の若者が神の贄に選ばれる。贄は天界に迎えられ、神の伴侶となる。
千冬の姿をしたその幻神は、明里に、
「さあ、明里。迎えにきた。俺と一緒になろう。俺と添い遂げよう。俺と、一緒に──カミの国に来てくれ」
と、おぞましい愛の言葉を紡ぐのだった。
日本古来の生贄信仰を題材にしているかと思いきや、ふたりの関係は喰う者と喰われる者という関係ではない。
明里は自分が愛した幼馴染とは全く違う、見た目が同じだけの幻神に対して完全拒否をし、幻神は幻神で人の心が解らず無神経なことを言う始末。
ふたりの関係はこじれるばかり。そんなふたりは果たして最後に結ばれるのか・・・それとも最悪の事態となるのか。
更新が楽しみです ♪
和風ファンタジー好きな方におススメの作品です!
また、話数がまだそこまで多くはないので、ジャンル開拓したい方、ぜひとも読んでみてください!