概要
『翠浪の白馬、蒼穹の真珠』と同じ世界観で登場人物も一部重複していますが、この作品だけでも独立して読めます。
〔注記〕「小説家になろう」との重複掲載です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「ありがとうございました」と言うしかない
偶然、同じ企画の仲間として、結城かおるさんの作品を読む機会に恵まれた。そして、1つの作品を読んだら、「もう、止めようがない!」という状態で、次々と彼女の作品を読破していった。
この『手のひらの中の日輪』で、最後となった。
登場人物がそれぞれの物語りと被っていて、彼らがそれぞれの物語りで、主役となり脇役となって登場する。脇役で登場してきた時は、「まあ、お久しぶりです。お元気そうで何よりです!」って、思わず脳内会話してしまった。
昔々の伝説の色も濃い中国に住んで、彼らとともに自分もその物語のどこかにいるかのよう。それも、結城かおるさんの確かな筆力に魅せられた結果。ああ、また彼らに逢い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!最強ヒロインは独りじゃない!
何かの折りに、(主に商業出版において)「強いヒロインは可愛げが無い」とダメ出しを喰らうというような話を聞きました。そういう見方がどの程度一般的なのかはよくわかりませんが、そのような人に対して、「強いヒロインの物語は面白いし、何よりその強さがまた可愛いんだよ!」と、私は結城かおるさんの烏翠シリーズを挙げて力説したくなるのです。
おそらく、「強いヒロイン」に対して否定的な方の言い分としてあるのは、「その強さゆえに他人を必要としなくなる」という、物語としての面白くなさにつながるからでしょう。
しかし、本作の宝余はどうでしょう。
彼女は強いです。烏翠シリーズの他の強いヒロインも見てきましたが、恐…続きを読む - ★★★ Excellent!!!交錯する陰謀と、運命の行方
宝余(ほうよ)は、涼国の公主として、隣国・烏翠(うすい)の王・顕錬(けんれん)のもとへ降嫁することになった。顕錬は、烏翠では国を滅ぼすと噂される「紫瞳の国主」だった。国同士の政略とはいえ、宝余を迎える烏翠王宮の対応は冷たい。極めつけに、夫である顕錬には、新床で刀を突きつけられてしまう。それは、宝余の抱える秘密を、見破られたせいなのだがーー
すれ違う宝余と顕錬の心。やがて謀叛を疑われた宝余は、王妃としての地位を奪われ、幽閉されてしまう。心理的に追い詰められるが、なお自己を保とうとする彼女に、さらに過酷な運命が襲いかかる。
中華風異世界FTは、文化的な描写や用語が難しいと感じる方も多いでしょ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!天は一つ、生きる道も一つ。転んでも突き落とされても、進んでいく。
主人公の宝余は、強いひとだ。
別に、クマを倒せるとか一日で千里を走るとか、そういうことではなくて。
平穏な暮らしを終わらせられても、嫁いだ先で理不尽な仕打ちを受けても、必ず前を向き直る。
そんな、心の強いひと。
だからこそ、危機は必ず何とかなると信じてーーあるいは、もっとひどい目に遭うのではないかとハラハラしてーー読み進んでいける。
王宮の一番奥から、虎が住まっていそうな山奥まで。物語は国中を巡る。
そして最後は、王宮の奥で幕を下ろす。
大きな大きな流れの中のほんの一部にしか過ぎない、宝余が生きる場所に真っ直ぐ立つまでの物語。
目の前に広がる風景と人の顔、続いてきた営み、情の数々。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!王妃の物語は、婚姻に始まり婚姻に終わる。初めは偽りの、次は真実の。
17歳の宝余が海辺の涼国から隣国烏翠の若き国君のもとへ
公主として降嫁するところから、運命の物語の序幕が上がる。
それはただ後宮を舞台にした恋物語や陰謀劇にはとどまらず、
烏翠の国を挙げた擾乱を引き起こさんとし、なおも続いていく。
宝余の秘密を見破った国君の顕錬は、新妻に剣を突き付ける。
此度の2人の婚姻には、初めから情など存在していないのだ。
数年前に両国間に軍事衝突が起こり、破れた烏翠は今だ弱く、
強国から輿入れした宝余に向けられるのは冷たい対応ばかり。
冷たい対応はまた、即位から間もない顕錬にも向けられている。
否、彼への冷遇は幼少のころ、その瞳が紫色に変じた日からだ。
烏翠の伝説…続きを読む - ★★★ Excellent!!!満足しているのに次が待ち遠しい
作者である結城さんの作品を読むと、素晴らしい描写な点が当たり前すぎて、こうしてレビュー書こうとする際で毎回触れる私は馬鹿なのかと思う。
だが、結城さんの作品に初見の読者も居るので、やはり触れるべきと考えている。独特の世界観を、少ない説明と豊富な語彙、そして世界観に沿った台詞で読者へ印象深く伝える力を、この作品で味わっていただきたい。
次に、この作品で綴られる世界観でシリーズ化されるらしいと考えたとき、十二国記の「月の影 影の海」を思い出しました。内容が似通ってるということではなく、男性作家なら本編の前振り段階にして、さあ、これからだという部分を一つの作品とする「潔さ」に同じものを感…続きを読む