概要
大幅に改稿、また『王妃さまのご衣裳係 路傍の花は後宮に咲く』と改題のうえ、
2021年8月24日に角川文庫さまより刊行されました。
また、2022年4月に同レーベルより
『王妃さまのご衣裳係2 友愛の花は後宮に輝く』が発売されました。
そちらもご一読を賜れば幸甚です。
[あらすじ]
涼国の没落貴族の娘・鄭鈴玉(てい・りんぎょく)は、貧窮にあえぐ家門を再興させようと大志を抱き、女官見習いとして後宮に入る。
しかし生来の真っすぐな気性が災いし、何をやっても失敗ばかりで不出来な女官と烙印を押されてしまう。
そんな彼女がよりによって、「路傍の花のごとき」つつましやかな王妃さまの御殿づきに?
そして、ひょんなことから彼女の持っていたスタイリストとしての
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!熱く美しく清々しい一陣のつむじ風が、読者の心にも吹き抜けていく
ほんと、清々しい。
読了後の第一声はそれにつきますね。
まるで、素敵な青春映画を一本見た後のよう。
このお話の深さというか、魅力は、みなさんがレビュに大いに熱く語っておられるので、そっちを参照してくださいね。笑
俺は作者さんのお話で、中華もんに初めて触れたくらいで、本当に薄っぺらい感想しか述べられませんので。
えーと 俺はですね。
レビュにみなさん語っておられるような読み方出来なかったです。
というのも
難しげな漢字や単語が並ぶと、とたんに目が拒否してしまう厄介な病気にかかっているからです。笑
頭の構造的に無理っぽいです。
複雑な設定とか伏線とか名前とか交錯して来ちゃうと。
だから、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!堅苦しくない、痛快なストーリー
中華風後宮ものというのは陰のあるところが面白いところなのかなあと漠然と思っていた。
なので美貌の少女、母は死亡とくると、やっぱりそうか薄幸の子が悲惨な目に合う話かと考えていたんだが、なんか読みだしてみたらそうではない。
この先入観がくるっとひっくり返って、あれあれどうなるのかと思ったときにはもう引き込まれていた。
とにかく鈴玉のキャラクターがいい。失敗しながらも前向きで好奇心が強く、話をドライブしていくタイプのヒロインだ。
最近の話は傍観者的な立ち位置の主人公が多いが、これは主人公の自我が明確で、そして成長していく話である。
物語の前半部分は、そのかなりの部分がいわくつきの「薄い本」につ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!だから今夜も、彼ら(チーム鴛鴦殿!)に逢いたくなる…
<そして今夜も、彼ら(桂舜・劉星衛)に逢いたくなる…>状態で、本作の外伝『流れる星は暁に抱かれ』を読み終わり、その余韻が覚めるのがあまりにも惜しくて、読み始めたこの『涼国賢妃伝~路傍の花でも、花は花~』。「桂舜と劉星衛の武勇伝の続きかな?」と思いきや、私の予想は軽く打ち破られ、これは少女・鈴玉の宮中での奮闘劇。…ということで、私は再び、<だから今夜も、彼ら(チーム鴛鴦殿!)に逢いたくなる…>状態になってしまった。
作者の、登場人物に向けた眼差しが温かくて、爽やかで…。
これは、読後感に通じるものがあって、読者に中毒症状をもたらします。それで、もしかしたら、私は、<結城かおるワールド>…続きを読む - ★★★ Excellent!!!※このレビューは本作の特定の一面を推す偏った内容です。
中華後宮ものはあまり読んでいないのですが、初めは怠惰で横柄、型破りな小娘が、王妃の側仕えに大抜擢され――というストーリーは中々王道のものかと思います。本作はそれを、確かな知識と軽やかな筆致、生き生きとした登場人物で彩り、綿密に構成された上質な作品。
とはいえ、本作の概要については他のお方のレビューにゆずり、私はこの作品の推しポイントについて語らせて頂きます。
本作には湯秋烟、謝朗朗という若き「宦官」が登場します。後宮物にはつきもののあれですね、彼ら以外にもモブ宦官とかいます。この二人はいわゆる〝官能小説〟を合作で書いて発行している剛の者。
本来、後宮にこの手のモノを持ち込むことは…続きを読む - ★★★ Excellent!!!この風を感じてほしい。
あぁ……ああぁぁ……読み終わってしまった……!!
と、たったいま読了した私は嘆き悲しんでおります。が、しかし。この心に吹き渡る一陣の風はなんと爽やかなのか……!!
そして一箇所、パッと明かりが灯るかのように、小さくはあるけれど美しく、たくましく、気高く咲く……これは、花……?
私の心にも花が咲いた……??
あぁぁあああありがとうございますッ!!!!素敵なプレゼントをありがとうございますッ!!!!
……えーと、すみません、ちょっと興奮しすぎてうまくレビューが書けないのですが、でもこの気持ちを伝えたい!!伝わってほしい!!
生意気で不真面目で勝気なところは素敵だけどちょっとあんまりいいところは…続きを読む - ★★★ Excellent!!!読みやすい中華ファンタジー
中華ファンタジーというと難解な専門用語、見慣れない人物名、取っ付きにくい王宮の政治・階級の制度などなど、先に想像して食わず嫌いになってしまう方もいるかもしれません。というより私がそうなのですが、この涼国賢妃伝 はそんなことはありません。
作者様が配慮されているという点はありますが、人物像、役柄、関係性が分かりやすく、そして心情も理解しやすいです。
現代日本の世の中の仕組みとは違い、食べる事も仕事をするという概念も異なる時代で懸命に真っすぐに生きた鈴玉さん。
思った事に真っすぐで、それがこの場所には合って無いと言われつつも、その姿勢が愛され好かれて人と触れ合う機会が増えていきます。良くも悪く…続きを読む - ★★★ Excellent!!!煌びやかな後宮と蠢く陰謀、恋も友情も全部入って絶対に外さない少女小説!
期待した通りの、予想を全く裏切らない素敵な物語でした。
負けん気の強い女の子を主人公に据えて、主人となった心優しい王妃さまへの奉公を通じての成長譚と成功譚を主軸に、王妃さまの失脚を目論む後宮の暗部との戦い、口うるさい優等生や宦官の少年たち、似た境遇の同期などの友人たちとの友情、さらには不器用な武官との淡い恋物語や王の寵愛に到るまで、すべてをしっかりと描きつくした歴史風少女小説です。
傍若無人だったヒロインの鈴玉さんが王妃さまとの出会いを通じて成長して、やがて大きな陰謀に巻き込まれて危機に陥り、そして……、という王道の展開に、個性豊かな登場人物たちが鮮やかな色合いを添えていました。
窮地にも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!袖のひと振りで色が香ってくるような物語。
まだ序盤なのですが、世界に魅せられているので、ここにてレビュを。
主人公の鈴玉ちゃんは、現代っ子のように自分に正直。
真面目にコツコツではなく、きらめき直感タイプの女子なのです。
華麗な衣装が出てきますが、鈴玉コーディネートを想像してわくわく。
女はただごてごて着飾ればいいわけじゃなく
たった一つの襟の色で変わってみえたりする。
このマジックがいいのです。お洒落だなぁ。
中国では睦言が「雲雨」と表されること。
草や花にたとえられる色を持っている。
秘め事はみんなの関心事。艶本によだれ垂らしちゃうとこもかわいい。笑
最終話まで全て四文字の話タイトルも凄いなぁ。 - ★★★ Excellent!!!主君への忠誠は男の専売特許じゃない!
異世界ファンタジー、あるいは歴史小説などにおいて、ある葛藤があると思います。
あまりにその世界観や時代観に入り込みすぎると、現代人である読者が共感しにくい。
かといって、過度に現代的になると、異世界である意味、歴史を舞台とする意味が無くなってしまいます。
私が涼国賢妃伝、そして烏翠シリーズが好きなのは、そのバランスの取り方が絶妙だからです。
中国史の知識、あるいは滲み出る教養を感じさせる文体、これは中国史小説と言っても通用する水準だと思います。
しかし、中国史、に限らず、後宮を扱った創作(小説もドラマも含む)に対する私なりの不満は、
「後宮の女は男の寵愛を巡って争うもの」というステレオタ…続きを読む