信じるものは己の身一つ。輝かしい日々に向けて、ふくれっ面女官は進む。

貧乏貴族の娘、鈴玉。
食事も着る物も儘ならない日々の果てに、母を亡くした彼女は、『貧乏脱却』を胸に後宮に飛び込みます。
武器は、己が美貌と強運のみ。

……と思いきや。
あらゆる意味で嘘がつけない彼女は、周りを呆れられるのと同じくらいに、周囲の人を引き寄せていくのです。
それはやがて、国を揺るがす一大事へも繋がっていって――


「フグ」だのなんだの、およそ美少女らしくない称号ばかり手に入れる鈴玉だけど、読み手へと伝わってくるのは愛おしさばかり。
気に入らない上官には舌を出し、嫌味を言う宦官には嫌味を返し。信用を寄せてくれる主人には敬愛を、友情には優しさをもって応える。人として、真っ直ぐだから、本当に愛おしい。ひたすら味方して、応援し続けたくなります。

こんなヒロインと、一緒に怒ったり泣いたりしたい方。
いらっしゃい、いらっしゃい!

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