涼国賢妃伝 ~路傍の花でも、花は花~

作者 結城かおる

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★★★ Excellent!!!

貧乏貴族の娘、鈴玉。
食事も着る物も儘ならない日々の果てに、母を亡くした彼女は、『貧乏脱却』を胸に後宮に飛び込みます。
武器は、己が美貌と強運のみ。

……と思いきや。
あらゆる意味で嘘がつけない彼女は、周りを呆れられるのと同じくらいに、周囲の人を引き寄せていくのです。
それはやがて、国を揺るがす一大事へも繋がっていって――


「フグ」だのなんだの、およそ美少女らしくない称号ばかり手に入れる鈴玉だけど、読み手へと伝わってくるのは愛おしさばかり。
気に入らない上官には舌を出し、嫌味を言う宦官には嫌味を返し。信用を寄せてくれる主人には敬愛を、友情には優しさをもって応える。人として、真っ直ぐだから、本当に愛おしい。ひたすら味方して、応援し続けたくなります。

こんなヒロインと、一緒に怒ったり泣いたりしたい方。
いらっしゃい、いらっしゃい!

★★★ Excellent!!!

 中世の中国を舞台にした、大陸文化の香る中華ロマンスが登場です!主人公は夢と態度ばかり大きいけど、ポジティブで前向きな少女、鈴玉。彼女は立身出世を目指し、大いなる野望を秘めて女官になりますが…!?はてさて、おてんばな彼女にはどのような生活が待っているのでしょうか。作者様の中国文化に精通した知識、そしてそれを上手く物語に編み込む筆力にも注目です。オススメ!

★★★ Excellent!!!

 病気の母を医者に診せることもできず失い、頼みの父も諦めムード。
 そんな名前だけ貴族の貧乏な家柄に生まれ育った美少女、鈴玉は、お家再興のため後宮を目指します。

 ところが天然過ぎる性格が後宮に合うはずもなく、たちまち悪評ばかりの怠業女官になって、やる気がだだ下がり。
 お仕事を怠けて池の鯉相手に遊んでいるシーンから物語は始まります。

 初めて読まれた方は、きっと、「このやる気ゼロのヒロイン、なんじゃこれ」と呆れるでしょう。


 でも、待ってくださいね。
 この物語、確かな中国史関係の知識のうえに、計算され尽くされ、伏線をきっちり織り込んだ精巧な絹織物のような構造になっています。美しく流麗な文章の真ん中に、場違いなほどに天然な鈴玉がいるのです。そこがポイントです。


 このゼロどころか、マイナススタートの第1話は、このあと、鈴玉が巻き起こす快進撃の予兆にすぎません。
 
 そんな鈴玉、どういう訳か王妃さまに抜擢され、その御殿、鴛鴦殿に配属されます。とうぜん失敗ばかり、お皿割りまくり……

 それが、持ち前の好奇心や行動力で他の女官や宦官たちと関わるうちに…… 

 鈴玉の態度が悪いのは実家がウルトラ貧乏だったせいなのです。本当は鈴玉は容姿だけでなく心も綺麗で素直過ぎる美少女でした。
 突っ込みは厳しいけど、意外と優しい鴛鴦殿の人々に囲まれているうちに、強気を装った意地っ張りな態度が消えていきます。

 それに、鈴玉には後宮を震撼させるほどの才能が眠っていたのでした。
 鈴玉が発揮した才能が、後宮の妃たちの危うい力関係の天秤を揺さぶることになります。気づけば鈴玉は、政争渦巻く後宮で台風の目になっているのでした。
 
 ここから先は、ぜひ、読んで確かめることをお勧めします。


 敬愛する王妃さまのため、仲間を守るため、あるいは友達のため、鈴玉は自身が傷つくとこもいと…続きを読む

★★★ Excellent!!!

美貌の少女は貴族とは名ばかりの貧しい家に生まれ、
病を得た母を医者に診せることもできずに亡くした。
斯くして少女には後宮に入り、女官となる道を選ぶ。
父では成し得ない家門の再興を己が成さんと志して。

――という筋書きだけ見れば、儚く健気なヒロインが
数々のいじめにも耐え抜きながらやがて幸せになる、
なんていう王道のおとぎ話が思い描かれるのだけれど。
彼女、おとなしく枠に嵌まるタマではない。全く以て。

ヒロインの鈴玉は、美貌と面の皮の厚さが取り柄の、
落第すれすれ問題児として後宮に名を馳せてしまう。
ひどい言われように腹を立てこそすれ、そこは鈴玉、
傷付くでも落ち込むでもなく、逞しく我が道を行く。

中国史に造詣の深い筆者の後宮ロマンス作品群の1篇。
確かな知識をベースとした舞台設定が成されており、
建造物や服飾、庭園の様子、女官や宦官の日常など、
さりげないところまで気配りが行き届き、色鮮やかだ。

同じ「烏翠国物語」シリーズの他の作品と比較すると、
鈴玉の性格のためもあって、本作はライトでキュート。
ころころと表情を変える登場人物たちがとても身近で、
読者は先へ先へと頁を繰る手が止まらなくなるだろう。

友でもライバルでも同僚でもある個性的な女官たち、
後宮で人気の「薄い本」を書くイケメン宦官コンビ、
路傍の花のように慎ましい王妃、野心をいだく側室、
取り入る相手を見定める佞臣勢、そして、若き国王。

鈴玉はさまざまな人たちの中で、怒ったりふくれたり
サボったり頑張ったりしながら、少しずつ成長する。
この先どんな事件が起こり、どんな未来が訪れるのか。
型破りの鈴玉だから、楽しませてくれるに違いない。

★★★ Excellent!!!

思わず1話から29話まで、一気読みしてしまいました。
読みやすく、主人公の怖い物知らずの性格は何だかかっこよく思えました。面白いです。これからどうなっていくのかが、楽しみです。

★★★ Excellent!!!


 取り柄と言えば、怖い物知らずな性格と幼い頃から褒められてきた容姿。後宮でのし上がることを夢見ているが、女官見習いとしての成績も思わしくなく、後宮にあがれそうもない主人公。

 そんな主人公鈴玉(りんぎょく)が、王妃の目に止まり御殿付きとなる。
 落ち着かない性格が災いし、せっかくあがった御殿でも失敗してばかり。

 あるとき、王妃を花で彩り評価され、鈴玉は衣服を扱う部署へ配属となった。
 ここから鈴玉がのし上がれるのか?

 本作品は、各登場人物の性格も明らかになり、主人公の将来にもチラッと光りが見えたところ。
 今からいよいよ話が動き出すに違いない場面に入ってきました。
 いつもながら素晴らしい描写で、登場人物の個性も、ストーリー展開も判りやすい。

 中華風ファンタジーがお好きな方はもちろん、なかなか手にとらない方にもお勧めできる作品です。

★★★ Excellent!!!

書き手同士が作品を読んで尊敬をする、もしくは、楽しめるものはいくつかあります。

自分と同ジャンルで素晴らしい作品を書く作者。
自分が書けないジャンルを書く作者。
そして、自分が書けないジャンルで素晴らしい作品を書く作者。

この三番目と出会えた時に最も喜びを感じます。

第一話、鈴玉が退屈な気持ちをつぶやきながら鯉に話しかけるという、ゆったりとした始まりが実に良く、その一方で、これからの波乱の物語も予感させる導入部となっています。

用語解説が入っているものもありますが、難しい漢字や言葉が出てきます。しかし、意味を調べながら読み進める気持ちになります。それは、キャラクターの性格や台詞が魅力的なためです。

確かな知識によって構築された世界で、親しみを持てるキャラクターが動きます。単純な言葉ですが、鈴玉面白い!

本文も美しい文章ですが、サブタイトルが四文字で統一されている点も美しい。中華の雰囲気作りの大切な要素となっています。