ほんと、清々しい。
読了後の第一声はそれにつきますね。
まるで、素敵な青春映画を一本見た後のよう。
このお話の深さというか、魅力は、みなさんがレビュに大いに熱く語っておられるので、そっちを参照してくださいね。笑
俺は作者さんのお話で、中華もんに初めて触れたくらいで、本当に薄っぺらい感想しか述べられませんので。
えーと 俺はですね。
レビュにみなさん語っておられるような読み方出来なかったです。
というのも
難しげな漢字や単語が並ぶと、とたんに目が拒否してしまう厄介な病気にかかっているからです。笑
頭の構造的に無理っぽいです。
複雑な設定とか伏線とか名前とか交錯して来ちゃうと。
だから、いつも読み始めの最初はすっごく苦労してしまうんですね。名前とか関係性とか覚えられなくって。
作者さんの書いたタイトルとかサブタイトルとか紹介文がすべて作者さんの書きたいことで、それらに沿って物語は進んでいくのだと。
そんな感じの、俺の中の、いわばステレオタイプと戦いながら読み進めてくんですけど、あら不思議。
すーらすら読めちゃう
ざくざく頭に入っちゃう
なんじゃこりゃ(←結城作品2回目
あのね、このお話
そんなステレオタイプ持って読んでたら損します。
よくもまぁこんなに複雑な宮中の出来事を、ここまですんなり読ませられるなぁ
感心します。
というか、感服ですかね。
敵わねーや ははは。
俺は
幼い頃からジュブナイル小説やラヴストーリィやラヴコメディで育って来た、いわゆる生粋のラノベフリークスです。
宮中だとか後宮だとか知らないし、そんなの氷室冴子先生のジャパネスクくらいしか知んねーよ。
でもね、何?このすんなり入ってくる感じ
で、すっごくすっごく考えたんですよ
んで、さっきラスト読み返しててやっと分かった。
このお話
すっごいきれいなジュブナイルなんですよね。
俺たちみんなが通って来たような
真剣に、真っ直ぐに、バカばっかやってた頃のような
汚れても、傷ついても、決して離さなかった、自分たちの夢の行き先。
そこに交錯してく、友情、恋愛、成長、青春群像
複雑な設定とか伏線だとか中華もんだとか解んないし知んないです。笑
これは、間違いのない、俺たちの青春ジュブナイル小説です。
願わくば
愛すべきこの一陣のつむじ風のお話が
いつかまた読めますように
Love finfen ♪
中華風後宮ものというのは陰のあるところが面白いところなのかなあと漠然と思っていた。
なので美貌の少女、母は死亡とくると、やっぱりそうか薄幸の子が悲惨な目に合う話かと考えていたんだが、なんか読みだしてみたらそうではない。
この先入観がくるっとひっくり返って、あれあれどうなるのかと思ったときにはもう引き込まれていた。
とにかく鈴玉のキャラクターがいい。失敗しながらも前向きで好奇心が強く、話をドライブしていくタイプのヒロインだ。
最近の話は傍観者的な立ち位置の主人公が多いが、これは主人公の自我が明確で、そして成長していく話である。
物語の前半部分は、そのかなりの部分がいわくつきの「薄い本」についてのストーリーでしめられている。
その本、その内容も後々いろいろと展開に響いていくのだが、ここで描かれるのは「ルール上はダメ。事実上容認」という文化への挑戦だ。
こういうイジメやハブのために利用されがちな形骸化したルールに対して鈴玉が挑み、乗り越えていくところが面白い。
周囲の仲間や悪役、意外な接点が出てくる人々などとのかかわりを経て、堅苦しくなく、自然に展開していく。
そしてこのステージが過ぎた次のあたりに入ると、もう鈴玉がいっぱしになって自分でどんどん話を進めていく。
そこからの怒涛の展開もまた見事なんだが、後半になると悲劇や別離もクローズアップされていき、さらに重層的な伏線回収が始まっていくのがいい。
中編連作のような感じかと思っていたが、これは最後まで読み切ってこその作品だ。
いったん手に取ったら、是非全部通しで読んでほしいと思う。
舞台や登場人物の造形はいわゆる中国的な作品に準じているのだろうが、それほど難解ではい。
本作はキャラクターと構成で読ませる純粋なドラマだ。
痛快で軽快で、読んでよかった。
このジャンルが好きな人にも、そうでない人にも勧められると思う。
<そして今夜も、彼ら(桂舜・劉星衛)に逢いたくなる…>状態で、本作の外伝『流れる星は暁に抱かれ』を読み終わり、その余韻が覚めるのがあまりにも惜しくて、読み始めたこの『涼国賢妃伝~路傍の花でも、花は花~』。「桂舜と劉星衛の武勇伝の続きかな?」と思いきや、私の予想は軽く打ち破られ、これは少女・鈴玉の宮中での奮闘劇。…ということで、私は再び、<だから今夜も、彼ら(チーム鴛鴦殿!)に逢いたくなる…>状態になってしまった。
作者の、登場人物に向けた眼差しが温かくて、爽やかで…。
これは、読後感に通じるものがあって、読者に中毒症状をもたらします。それで、もしかしたら、私は、<結城かおるワールド>の虜になってしまったかもしれない。本作を読んだ後、次は何を読ませてもらおうかと、ワクワクしているから。
そして、私も小説を書く者という立場で言うと、『流れる星は暁に抱かれ』で、その確かな知識と文章力に舌を巻き、そして本作『涼国賢妃伝~路傍の花でも、花は花~』では、物語の初めから終わりまでちらちらと出てくる艶本の扱い方のうまさに、<感嘆>の二文字しかなかったです。
中華後宮ものはあまり読んでいないのですが、初めは怠惰で横柄、型破りな小娘が、王妃の側仕えに大抜擢され――というストーリーは中々王道のものかと思います。本作はそれを、確かな知識と軽やかな筆致、生き生きとした登場人物で彩り、綿密に構成された上質な作品。
とはいえ、本作の概要については他のお方のレビューにゆずり、私はこの作品の推しポイントについて語らせて頂きます。
本作には湯秋烟、謝朗朗という若き「宦官」が登場します。後宮物にはつきもののあれですね、彼ら以外にもモブ宦官とかいます。この二人はいわゆる〝官能小説〟を合作で書いて発行している剛の者。
本来、後宮にこの手のモノを持ち込むことは禁止されているのですが、みんな公然の秘密としてこっそり回し読みして人気を博しているのでした。
官能小説とは言いますが、時代背景が時代背景なので、作中に抜粋されてくる本文も「えっちなことしているのは分かるけど……」みたいな、まあかなり婉曲な表現なのでご安心。
宦官コンビが書くこの小説は、とても重い覚悟を持って書かれたものでした。彼らがなぜそれを始めようと思い至ったのか、そこは作中では書かれておりませんが、私もカクヨムで創作する身、書かずにはいられない気持ちというものがあったのでしょう。
やがて二人の小説がある事件につながり……作中の様々な場面で関わってきます。常に影から影響を及ぼす存在感は、「作中作」のお手本のような使い方ではないでしょうか。
様々な人が彼らの作品からそれぞれ違うものを読み取り、現実の出来事を反映して誌面は移ろい、秋烟と朗朗は体を張って創作活動を行った……それら一連の出来事に、すごく勇気をもらいました。
「お話」を書くのも読むのも大きな代償を覚悟しなければならない世界で、二人の宦官はこんなにがんばっていて。一方で読者たる私たちは、書くことも読むことも誰に抑えつけられることもない。それは、なんて幸福なことでしょう。
本作の主人公・鈴玉は初期からどんどん成長し、その才覚や心性を発揮していきます。上記の二人の宦官のエピソードに加え、彼女の真っ直ぐな活躍もまた、みずみずしく、眩しく、とても元気が出てきます。
他のキャラクターももう素敵で、憎たらしい宿敵の彼も、最後の最後までふてぶてしい態度を取りながら、言葉の端々に「彼にも彼の思いがあるのだな」と感じられ、誰も彼も「生きてる」と思わせられました。
この世界観でのお話は他にもあるとのことですので、いつになるかは分かりませんが、一つ一つその世界を探検させていただこうと思います。
素敵な物語を、ありがとうございました!
あぁ……ああぁぁ……読み終わってしまった……!!
と、たったいま読了した私は嘆き悲しんでおります。が、しかし。この心に吹き渡る一陣の風はなんと爽やかなのか……!!
そして一箇所、パッと明かりが灯るかのように、小さくはあるけれど美しく、たくましく、気高く咲く……これは、花……?
私の心にも花が咲いた……??
あぁぁあああありがとうございますッ!!!!素敵なプレゼントをありがとうございますッ!!!!
……えーと、すみません、ちょっと興奮しすぎてうまくレビューが書けないのですが、でもこの気持ちを伝えたい!!伝わってほしい!!
生意気で不真面目で勝気なところは素敵だけどちょっとあんまりいいところはないかな……って感じの見習い女官・鈴玉ちゃんが、控えめでおやさしいけどあんまり目立たないな……って感じの王妃様に出会うことから始まる後宮絵巻。
それは笑い、涙、陰謀、友情、そして溢れる愛と感動によって彩られる華々しくもつつましやかな人々の物語。
この……っ、このラストを見届けた日にゃぁアナタ……!!涙が!!風に乗って!!キラキラと輝きますよ!!??
あーーーー!!!!もーーーーー!!!!素敵だよみんなーーーーー!!!!
はい、というわけでね。
こんなレビュー読んでも何が何だかさっぱりわからないと思いますので。
気になったならおとなしくこの作品を読みましょうね!!今すぐ読みましょうね!!
そして心に花を……咲かせようぜ……ッ!!!!
中華ファンタジーというと難解な専門用語、見慣れない人物名、取っ付きにくい王宮の政治・階級の制度などなど、先に想像して食わず嫌いになってしまう方もいるかもしれません。というより私がそうなのですが、この涼国賢妃伝 はそんなことはありません。
作者様が配慮されているという点はありますが、人物像、役柄、関係性が分かりやすく、そして心情も理解しやすいです。
現代日本の世の中の仕組みとは違い、食べる事も仕事をするという概念も異なる時代で懸命に真っすぐに生きた鈴玉さん。
思った事に真っすぐで、それがこの場所には合って無いと言われつつも、その姿勢が愛され好かれて人と触れ合う機会が増えていきます。良くも悪くも自ら機会を作っているところはあるかもしれませんが、その出会いも一期一会というのでしょうか、持ち前の明るさが一役買ってます。
個人的には同僚の香菱さんがお気に入り。要所要所で支えてくれる大切な友人です。
あ、一部電車の中で読むと「びくっ!」と周りを気にする瞬間があるかもしれませんのでご注意を(笑
期待した通りの、予想を全く裏切らない素敵な物語でした。
負けん気の強い女の子を主人公に据えて、主人となった心優しい王妃さまへの奉公を通じての成長譚と成功譚を主軸に、王妃さまの失脚を目論む後宮の暗部との戦い、口うるさい優等生や宦官の少年たち、似た境遇の同期などの友人たちとの友情、さらには不器用な武官との淡い恋物語や王の寵愛に到るまで、すべてをしっかりと描きつくした歴史風少女小説です。
傍若無人だったヒロインの鈴玉さんが王妃さまとの出会いを通じて成長して、やがて大きな陰謀に巻き込まれて危機に陥り、そして……、という王道の展開に、個性豊かな登場人物たちが鮮やかな色合いを添えていました。
窮地にも挫けない鈴玉さんや思わぬ強さや美しさを見せる王妃の林氏さん、そして口うるさい香菱さんの優しさだけでなく、悲しい運命を背負った鸚哥さんが示した友情や、最後まで分かり合えない宿敵の伯仁さんの揺るがぬ意志に到るまで、どの登場人物も愛おしいです。
絶対に外さない全部入り歴史風少女小説。少女小説がお好きな方は是非是非読んでみてくださいませ。最後のシーンを読み終えたとき、一陣の風を感じるはずです。
まだ序盤なのですが、世界に魅せられているので、ここにてレビュを。
主人公の鈴玉ちゃんは、現代っ子のように自分に正直。
真面目にコツコツではなく、きらめき直感タイプの女子なのです。
華麗な衣装が出てきますが、鈴玉コーディネートを想像してわくわく。
女はただごてごて着飾ればいいわけじゃなく
たった一つの襟の色で変わってみえたりする。
このマジックがいいのです。お洒落だなぁ。
中国では睦言が「雲雨」と表されること。
草や花にたとえられる色を持っている。
秘め事はみんなの関心事。艶本によだれ垂らしちゃうとこもかわいい。笑
最終話まで全て四文字の話タイトルも凄いなぁ。
異世界ファンタジー、あるいは歴史小説などにおいて、ある葛藤があると思います。
あまりにその世界観や時代観に入り込みすぎると、現代人である読者が共感しにくい。
かといって、過度に現代的になると、異世界である意味、歴史を舞台とする意味が無くなってしまいます。
私が涼国賢妃伝、そして烏翠シリーズが好きなのは、そのバランスの取り方が絶妙だからです。
中国史の知識、あるいは滲み出る教養を感じさせる文体、これは中国史小説と言っても通用する水準だと思います。
しかし、中国史、に限らず、後宮を扱った創作(小説もドラマも含む)に対する私なりの不満は、
「後宮の女は男の寵愛を巡って争うもの」というステレオタイプです。
勿論、そういう要素には面白さがありますし、後宮ものからそれは外せませんが、その面が過度に強調され、それ以外の要素が軽視されているということです。
それ以外の要素というのは、本作の鈴玉に体現されるような、「主君(女性)への忠誠」「友人(女性)との友情、葛藤」などです。
これらは多くの歴史小説や歴史風ファンタジーにおいて、「男の世界」として描かれてきたものです。
しかし、リアルな問題として、女性の間で「忠誠」や「友情」というのは存在しないのでしょうか。
「友情」は存在する、と思う人が殆どでしょう。
では、歴史的な舞台において、「女性の女性への忠誠」というのはあり得るのでしょうか?
私は現代人ですから、現代人の目として、「存在し得る」と思います。
それはフェミニズムやジェンダー論とは関係なく、現代社会で働く女性として肌感覚で感じたものです。
実際に(歴史的に)、後宮という社会で女性がこのような心性を持つに至ったかはわかりません。
しかし、鈴玉や王妃さまを始めとする、ここに登場する素敵な女性達の忠誠や友情は、現代人として、深く共感できます。
ファンタジーだけどリアル。
歴史風だけど現代的。
一度読んでももう一度読み直したくなる作品です。
貧乏貴族の娘、鈴玉。
食事も着る物も儘ならない日々の果てに、母を亡くした彼女は、『貧乏脱却』を胸に後宮に飛び込みます。
武器は、己が美貌と強運のみ。
……と思いきや。
あらゆる意味で嘘がつけない彼女は、周りを呆れられるのと同じくらいに、周囲の人を引き寄せていくのです。
それはやがて、国を揺るがす一大事へも繋がっていって――
「フグ」だのなんだの、およそ美少女らしくない称号ばかり手に入れる鈴玉だけど、読み手へと伝わってくるのは愛おしさばかり。
気に入らない上官には舌を出し、嫌味を言う宦官には嫌味を返し。信用を寄せてくれる主人には敬愛を、友情には優しさをもって応える。人として、真っ直ぐだから、本当に愛おしい。ひたすら味方して、応援し続けたくなります。
こんなヒロインと、一緒に怒ったり泣いたりしたい方。
いらっしゃい、いらっしゃい!
病気の母を医者に診せることもできず失い、頼みの父も諦めムード。
そんな名前だけ貴族の貧乏な家柄に生まれ育った美少女、鈴玉は、お家再興のため後宮を目指します。
ところが天然過ぎる性格が後宮に合うはずもなく、たちまち悪評ばかりの怠業女官になって、やる気がだだ下がり。
お仕事を怠けて池の鯉相手に遊んでいるシーンから物語は始まります。
初めて読まれた方は、きっと、「このやる気ゼロのヒロイン、なんじゃこれ」と呆れるでしょう。
でも、待ってくださいね。
この物語、確かな中国史関係の知識のうえに、計算され尽くされ、伏線をきっちり織り込んだ精巧な絹織物のような構造になっています。美しく流麗な文章の真ん中に、場違いなほどに天然な鈴玉がいるのです。そこがポイントです。
このゼロどころか、マイナススタートの第1話は、このあと、鈴玉が巻き起こす快進撃の予兆にすぎません。
そんな鈴玉、どういう訳か王妃さまに抜擢され、その御殿、鴛鴦殿に配属されます。とうぜん失敗ばかり、お皿割りまくり……
それが、持ち前の好奇心や行動力で他の女官や宦官たちと関わるうちに……
鈴玉の態度が悪いのは実家がウルトラ貧乏だったせいなのです。本当は鈴玉は容姿だけでなく心も綺麗で素直過ぎる美少女でした。
突っ込みは厳しいけど、意外と優しい鴛鴦殿の人々に囲まれているうちに、強気を装った意地っ張りな態度が消えていきます。
それに、鈴玉には後宮を震撼させるほどの才能が眠っていたのでした。
鈴玉が発揮した才能が、後宮の妃たちの危うい力関係の天秤を揺さぶることになります。気づけば鈴玉は、政争渦巻く後宮で台風の目になっているのでした。
ここから先は、ぜひ、読んで確かめることをお勧めします。
敬愛する王妃さまのため、仲間を守るため、あるいは友達のため、鈴玉は自身が傷つくとこもいとわず走ります。
保身であったり、嫉妬だったり、謀略だったりと魑魅魍魎の巣窟と化した後宮ですが、鈴玉の熱い想いが人を動かし、何かを変えてゆきます。
突撃天然娘、鈴玉――物語を読み進めるたびに、きっと、一生懸命なこの美少女を応援したくなるでしょう。読んでくださいね。お薦めです。
美貌の少女は貴族とは名ばかりの貧しい家に生まれ、
病を得た母を医者に診せることもできずに亡くした。
斯くして少女には後宮に入り、女官となる道を選ぶ。
父では成し得ない家門の再興を己が成さんと志して。
――という筋書きだけ見れば、儚く健気なヒロインが
数々のいじめにも耐え抜きながらやがて幸せになる、
なんていう王道のおとぎ話が思い描かれるのだが。
彼女、大人しく枠に嵌まるタマではない。全く以て。
ヒロインの鈴玉は、美貌と面の皮の厚さが取り柄の、
落第すれすれ問題児として後宮に名を馳せてしまう。
ひどい言われように腹を立てこそすれ、そこは鈴玉、
傷付くでも落ち込むでもなく、逞しく我が道を行く。
中国史に造詣の深い筆者の後宮ロマンス作品群の一。
確かな知識をベースとした舞台設定が成されており、
建造物や服飾、庭園の様子、女官や宦官の日常など、
さりげないところまで気配りが行き届き、鮮やかだ。
同じ「烏翠国物語」シリーズの他作品と比較すると、
鈴玉の性格のためもあり、本作はライトでキュート。
ころころと表情を変える登場人物達がとても身近で、
読者は先へ先へとページを繰る手が止まらなくなる。
友でもライバルでも同僚でもある個性的な女官たち、
後宮で人気の「薄い本」を書くイケメン宦官コンビ、
路傍の花のように慎ましい王妃、野心をいだく側室、
取り入る相手を見定める佞臣勢、そして、若き国王。
鈴玉はさまざまな人たちの中で怒ったりふくれたり
サボったり頑張ったりしながら、少しずつ成長する。
今後どんな事件が起こり、どんな未来が訪れるのか。
型破りの鈴玉だから、楽しませてくれるに違いない。
取り柄と言えば、怖い物知らずな性格と幼い頃から褒められてきた容姿。後宮でのし上がることを夢見ているが、女官見習いとしての成績も思わしくなく、後宮にあがれそうもない主人公。
そんな主人公鈴玉(りんぎょく)が、王妃の目に止まり御殿付きとなる。
落ち着かない性格が災いし、せっかくあがった御殿でも失敗してばかり。
あるとき、王妃を花で彩り評価され、鈴玉は衣服を扱う部署へ配属となった。
ここから鈴玉がのし上がれるのか?
本作品は、各登場人物の性格も明らかになり、主人公の将来にもチラッと光りが見えたところ。
今からいよいよ話が動き出すに違いない場面に入ってきました。
いつもながら素晴らしい描写で、登場人物の個性も、ストーリー展開も判りやすい。
中華風ファンタジーがお好きな方はもちろん、なかなか手にとらない方にもお勧めできる作品です。