中華風の世界を背景に二人の姉妹の運命が交錯します。いつものことながら、手堅く美しい文章に、説得力のある人物が光ります。わがままな妹も、自分を抑えるところのある(それでいてとても大切にされている)姉も、生きた人物として物語を進めていきます。知らなかったとはいえ、恐れ多いことをしでかしてしまっている妹と、純粋にその妹を心配する姉。この先の展開が気になってたまりめせん。
主人公は螢月と月香の姉妹二人。地味だけど優しい姉の螢月視点では世太子とのシンデレラストーリーが、綺麗なもの大好きでちょっと我儘な妹の月香視点では姉に成り代わって公主になる成り上がりストーリーが語られています。一度で二度楽しい!という感じで、2つの物語を一度に読める感じのお話です。でも、どちらの話も簡単にはハッピーエンドになりそうもなく、今後もどんな風に物語が展開していくのか、目が離せません。