手のひらの中の日輪
結城かおる
序
序 烏翠開国記
――さてこのようにして、
しかしどういうわけか、御方はこのお子には雲なす山間の
当然のことながら、末子の君はこのご処置に大層なご不満を抱かれました。実は末子は生まれながらに紫色の瞳を持ち、のみならずいささか常人とは異なる面もお持ちでしたので、それを親御に
末子の君は御方に切々とお訴えになりました。そこで御方は金龍の割符、一振りの宝剣、そして最後に「あるもの」をお与えになりました。ご納得あそばしたお子は白い烏に見守られながら彼の地に赴かれ、自ら畑を耕し獣を追い、民草と力を合わせて御国をお開きになりました。それ以降、天が下の国々は
これこそ我が
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