比翼の花嫁

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（164文字）

　本当に息を詰めて読みふけってしまう、凄い物語でした！

　飢神という魔物が蔓延る世界で、その飢神を狩る「狩司衆」の里で生まれ育った主人公が、確かに「嫁入りする物語」ではあるのですが、嫁入り先の国には目に見えない闇があり、彼女はそれに立ち向かうことになります。
　序盤の嫁いびりをサラリとかわし、闇の正体に近づくにつれて、彼女の強さが際立ってきます。これは絶対、誰もが惚れずにはいられない！
　物語の中盤までずっと謎だった序幕のシーンも、なるほどと思わずにはいられませんでした。

　美しい文章とその描写に引き込まれ、いつの間にか物語の虜になってしまいます。
　読み応えのある長編小説。お勧めです‼

　一国の要職にある家にお嫁に入ったはずなのに、まだ許嫁だからと言われて他の侍女と同じような仕事を命じられたヒロインの香流が、そんなこともあろうかと準備してきた掃除道具の中の“ある物”に笑ってしまいました。それが何かは読んでのお楽しみ。絵で見たいと思わされる光景が繰り広げられます。

　嫁に対する義母のよくある仕打ちを苦にもせず、乗り越えていく痛快さを感じさせてくれる場面ですが、物語自体はそんな一家庭の中での覇権争いに留まりません。《飢神》なる化け物を狩る武闘集団の里に生まれた香流は、美弥という国で《飢神》退治を担う家の当主・銀正に嫁ぎますが、その裏には美弥の事情を探るという任務もありました。…続きを読む

さる密命を受けて遠国に嫁ぐことになった娘、香流。彼女を迎え入れたのは華やかながらどこか影のある華の国・美弥、そしてその国を守る銀正という青年だった。剣の腕は一流、性格は実直、そんな彼はしかし、かたくなに香流を受け入れようとしない。その真意は果たして…？

香流と銀正、互いに守るべきものも、譲れないものもある二人が、少しずつ心を通わせていく様が、大変に尊く、素晴らしかったです。香流さまがとにかくイケメンでして…いえ、銀正さまもイケメンなんですが…こう、強くて芯のある女性が大好きな私としては、もう始終心が震わされっぱなしでした。

特に、中盤～終盤にかけ、国に関わる陰謀がうずまき始めたことで、も…続きを読む

まず読み終わって、胸が苦しいくらい息をするのを忘れていた。

舞台は飢神と言う異形の跋扈する嘉元国。
飢神を狩る狩司衆。
飢神が好む肉を持つ人間の業人。
比肩の贄、練華など独特の設定が多いですが、要所要所にきちんと説明が入るので混乱することなく最後まで読み進めていけるでしょう。なによりそのストーリーが気になって寝る間も惜しんで読んでしまうほど！！

前半は嫁入りした香流が家の者に冷たくあしらわれながらも決してくじけずに頑張る姿がかっこいいです。
そこから嫁ぎ先である美弥の国に見え隠れする不穏な気配と、少しずつ心を開いてくる御当主の可愛らしさに心奪われ、物語は佳境へ。
もうホントに止め時が分か…続きを読む

輿入れ早々、お相手には帰るよう言い渡され、姑にはいたぶられ、女中には侮られるという逆境の中に放り出された香流。
それでも次第に味方を増やしていくのは、漢気とまで言える潔さと、真贋を見極める鋭さがあればこそ。

刀のような真っ直ぐさで、業苦に見舞われる許嫁の銀正や、虚無を抱える姑の弓鶴の胸のうちに切り込んで、周囲を翻弄する様は痛快です。

そして、緊迫した飢神との戦いもまた見所。

隠里の長の娘、香流。
彼女は、大はたきをその手に美弥という遠国に嫁ぐ。

それは里のため？
課された役目のため？
深謀に蠢く闇を駆逐するため？

許嫁のイケメンはどこか儚く香流を拒絶。
姑殿は厳しく、完全アウェーの四面楚歌。
そんな中でも香流姫は挫けない。

不屈不撓の許嫁は、果たしてどこを見据えているのか。

無邪気に懐く若輩侍女。厳しく律する侍女頭。豪快一傑の狩士の兄。美弥の闇を孕むお義母様。過去に守る優しい背中。
そして、虚を見据える旦那様。

どうも一筋縄でいかない嫁ぎ先に、香流は何を見出すのか。
果たして許婚同士は心の翼を重ねられるのか。

陰謀渦巻く時代劇風和風ファンタジー、これ…続きを読む

嘉元国の山奥。とある隠里のひとつで、長の娘として生まれ育った香流は、有力者の様々な思惑を背負って華の国美弥に嫁入りします。

初めて見る旦那様はイケメン。

ちょっととっつきにくそうな感じだけど、まぁまぁ、うん。これはね、ほら。今後仲良くなればいいから、うん。

だ　け　ど

姑を含めて、この嫁ぎ先、そりゃもう、いろいろ、出るわ出るわ！！
ちょっと、待って。いったん整理しよう。里帰りしていいですか、と言いたくなるのですが……。

香流は負けません。というか、ちょっと明後日の方向の気づきを得ながらも、健気に元気に頑張ります！
がんばる女の子。いいですね。全力で応援しますよ、私。

じれじれもだ…続きを読む