概要
【第1話】藤の花恋(藤花編)
「鬼の姫君と大妖狐の弟子、生い立ちも身分も違う二人の恋は」
鬼伯の娘である藤花は、大妖狐・九尾の弟子である妖猿と出会い恋に落ちる。『九尾の花嫁』へと続く、末姫藤花の恋物語。
【第2話】深く芳し花の香よ、千の紫(ゆかり)に咲く恋は(姉姫編)
「意に染まぬ婚姻、虚しい逢瀬。約束という呪縛の果てに誰が笑う。」
姉妹のように仲睦まじく育った深芳と千紫。やがて、時代の激流が二人の関係を変えていく。お互いを大切に思いながらも、時に利己的に、二人の思いと
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!見事な恋! 悲しいほど見事な生き様!
妖が住まう阿の国の物語。
三人の姫の恋が描かれるという本作の、まだ一人目の姫のお話しか読んでおりませんが、もう主人公の藤花さまの生き様が見事過ぎて、書かずにはいられませんでした。
作者様の別作品の親世代のお話だということですが、私はそのお話を読んでおりません。
何も知らない真っ新な状態で読み始め、この世界に引き込まれました。
一つ鬼と二つ鬼。
人の世界も妖の世界も、欲や栄枯盛衰は同じ。
世の流れに翻弄されながらも、強い意志で己の恋を貫く藤花姫から目が離せませんでした。
こんな凄い物語を紡げる作者様の力量を、ぜひ本作で感じてみてください。
私は他の姫様のお話を読む前に、ひとまず藤花姫の生き…続きを読む - ★★★ Excellent!!!意のままにならぬ因習の中で、信念を貫く鬼姫たちの美しさよ
あやかしの国である「阿の国」。
その北の領を統べる鬼の一族の激動の時代と、渦中にいた三人の鬼姫たちの生き様を描いた物語です。
あやかしたちの暮らしぶりは、古い時代の日本と似ています。
女性に自由はなく、高貴な身分の鬼姫も、政治の道具として扱われるのが当然の社会です。
家や親、身分といったものに逆らうことのできない鬼姫たちは、それでも懸命に自分らしく生きていきます。
――ひたむきに。あるいは、したたかに。
鬼姫たちの恋模様であり、歴史の一幕でもあり。
この世界に魂が惹き込まれてしまうような、重厚な物語です。
また、関連作品がありますが、どの順番で読んでも楽しめます。
私は、連載中の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!大人が読みたい和風恋愛ファンタジー
舞台はあやかしの国「阿の国」。
月夜の王の娘 藤花、彼女の姉 深芳、そして深芳の友人である千紫。あやかしの国に住まう三人の鬼姫たちの物語です。
冒頭から幻想的な世界観と細やかな情景描写にまず魅了されます。そして次にじっくりと描かれていく登場人物の心情と、姫君たちと関わっていく人物との関係性にも目が離せなくなります。
それは幼き恋心であったり、情愛を向けてはならない人への恋であったり、または望まむ婚姻ののちに見つけた心の寄りどころであったりと、三者三様の恋物語は時に美しく、時に苦しく。
大人向けの和風恋愛ファンタジーですが、そこに描かれているのは恋だけではなく、信念、友情、矜持など、そこ…続きを読む