意のままにならぬ因習の中で、信念を貫く鬼姫たちの美しさよ

あやかしの国である「阿の国」。
その北の領を統べる鬼の一族の激動の時代と、渦中にいた三人の鬼姫たちの生き様を描いた物語です。

あやかしたちの暮らしぶりは、古い時代の日本と似ています。
女性に自由はなく、高貴な身分の鬼姫も、政治の道具として扱われるのが当然の社会です。

家や親、身分といったものに逆らうことのできない鬼姫たちは、それでも懸命に自分らしく生きていきます。
――ひたむきに。あるいは、したたかに。

鬼姫たちの恋模様であり、歴史の一幕でもあり。
この世界に魂が惹き込まれてしまうような、重厚な物語です。


また、関連作品がありますが、どの順番で読んでも楽しめます。

私は、連載中の『月影を統べる王と天地を歌う姫』の最新話までたどり着いたあと、こちらの作品を読み始めました。「阿の国」の世界にすっかり魅了され、他の時代、他の人物の物語を知りたくなったためです。

どれから読み始めても、また、すべての作品を読まなかったとしても、充分に楽しめます。
けれど、ひとつ読み始めたら止まらなくなってしまう――そんな、どっぷりハマれる物語です。

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