第119話 頼りになるのは織田信広兄上だな。

 1574年10月10日 ランチタイム


 織田城99F皇帝閣下専用室


 信長を含め兄弟6人で昼食の初物松葉蟹御膳を食べている



 織田信治

「皇帝閣下、昨夜天皇との飲み会、盛り上がったようで何よりです。」


 信長

「ああ、周りのテーブル全て諜報部の連中が座って飯を食ってたがな(苦笑)」


 信時

「お気付きでしたか(苦笑)」


「当たり前だ余を誰だと思っている。それより宮内庁職員だが、やはり5年の任期は長いな。織田幕府内の宮内庁というのを忘れがちだ。」


 信包

「あの侍従長ですか。」


「織田幕府のトップ・将軍であり、何よりこの大日本皇国初代皇帝の余に対して(天皇を勝手に外に連れ出す場合、侍従長である自分の許可を取らねば認められません。故に本日はお引き取り下さい。)と言いよった。」


 信興

「ああ~その言い方は自分の立場を勘違いしていますね。」


「職務に忠実と言うなら分かるが勝手ではないぞ、前もって言うて予定表にも書いておる。

 あいつが確認を怠っていただけのこと怠慢であろう!しかも余と方仁みちひとは親子だぞ。親と子が夕飯を食べるのに、なぜあいつの許可を得ねばならぬ。」


 織田信広(信長庶兄)・幕府東京都知事・大納言

「それで収納したのか?今朝、仕事で宮内庁に顔を出したら朝から大騒ぎだぞ(苦笑)」


「まあ人事異動だな。幕府人事権は将軍の余にある。あれは公卿に丸め込められた口だ。佐渡金山辺りでその公卿と一緒に、軽く5年ほど肉体労働に勤しむべきであろう。」


 信広

「まさかとは思うが、俺と昼飯を食いたいと誘ったのは、都知事と宮内庁侍従長を兼任してくれとは言わぬよな!」


 信長

「まさか、兄上に侍従長など頼まぬ。」


「そうか、、、なら良いが、せっかくの蟹が不味くならずに良かった。」


「兄上に頼むのは侍従長等の小物ではない。」


 信広

「ん?小物?ではない?」


「宮内庁のトップ宮内庁長官をお願いしたい。」


 信広

「……………………お前は東京都知事と大納言を兼任するのが、どんなに大変か分かっているのか?」


「当然……分からない!やった事ないからなキリッ!」


 信治&信包&信時&信興

「「ご馳走様でした(汗)」」


 信長

「ん?まだカニが残ってるぞ?デザートは極上メロンだ。」


 信治&信包&信時&信興

「「ご馳走様でした(逃走)」」


 信広

「まったく…逃げ足の早い弟たちだ…」


「申し訳ないが、この件を頼めるのは兄上以外におらぬ。」


 改まって言う信長に信広も姿勢を正しきちんと答える。


「蔦谷十兵衛の賄賂事件か?宮内庁なあ……特殊な部署だけに4年経ったいま、上から下まで勘違いしてる木っ端役人が随分と蔓延はびこっていそうだな。この辺でメスを入れて膿を出すか……

 そうとなれば大納言の行事への参加、信長の方で減らす方向で調整してくれぬか?」


「それで受けて貰えるなら宮中行事に精通している、朝倉義景・松永久秀・小早川隆景と相談して兄上の負担を軽くしよう。」


「宮中行事の知識で織田家臣なら、明智光秀が筆頭ではないか?」


「…うむ…こればっかりは兄上にも話せぬが、奴は少し問題があってな…皇族とは近付けさせぬ。」


「そうか…なら尚更、俺が宮内庁長官になって目を光らせるしかないか……

 現状、主要施設には転移ルームがあるから移動の心配は無い。

 だが何しろ許認可書類が多すぎる。転移が無ければとっくにパンクしていたところだ。」


「苦労を掛けて悪いな兄上。なにせ管理職は慢性的な人材不足で四苦八苦している。」


「いや、お前がここまで、この国を改革し良くしたんだ。しかもたった4年でな。そりゃあ上に立つ人材が不足するのは仕方ない。

 新規の海外派兵はこの辺りで1度見直して、足元を固めた方が良いかと思うのだが?」


「ああ、そのつもりだ。スペインとポルトガルは信忠に任せる。勿論転移で様子は見に行くが、基本しばらく日本・台湾・呂栄(フィリビン)・天竺(インド・ゴア)等のアジア圏の統治開発に重きを置く。」


「………なあ信長、それじゃ今と変わらんぞ。少し速度を緩めねば、いくら使徒とはいえ体が持たんぞ。」


「う~む分かった。兄上がそう言うならヨーロッパは毎日ではなく2日に1回にしよう。」


「(苦笑)だから駄目なんだ、週1で良い。その代わり信忠には主力を付けてやれ。 APC9部隊の阿部慎之助と岡本和真。織田家筆頭家老の柴田勝家に滝川一益。信忠より少し上の世代からは森可成の息子、真田の息子、あとは榊原康政とかが優秀だろう。」


「なるほど、関白代理の有楽斎を国内に呼び戻すつもりであったが、逆に信忠に付けておくか。」


「ああそうしろ、日本と違いヨーロッパは陸続き。外堀の無い城のようなものだからな。守りを固め内政を進めるには、陣容が厚ければ厚いほどいい。」


「では至急正式書類を作成させる。都知事・大納言との兼任で宮内庁長官の任よろしく御頼み申す。」


「はっ!謹んでお受け致します。横綱の名に恥じぬよう不惜身命ふしゃくしんみょうの決意にて全う致す所存です。」


「……兄上……それは何のDVDを見たんだ…」


「平成の大横綱物語だ…いま昭和から平成の大相撲にはまっている…」


「ほ~お…意外と時間がありそうだな…天竺ゴアの統治に興味あるかな?ニヤリ」


三郎信長……俺も44歳だぞ…

 お前そんなに兄を早死にさせたいのか?」


「冗談だw宮内庁長官、兄上のやりたいようにやってくれ。何なら管理職を総入れ替えしても構わん、 全て任せる。」


「まあ公家に取り込まれてる奴は全員外す。そこは容赦しないから任しておけ。

 室町幕府時代の様な私利私欲に暗躍する、魑魅魍魎ちみもうりょうな公卿・公家の跳梁跋扈ちょうりょうばっこなど絶対に許さん。」


「やはり、頼りになるのは織田信広兄上だな。 」


「ふん!おだてても何も出ぬぞwあっ!出るな~w」


「なんだそりゃw何が出るんだ兄上?」


「あ~実はな昨日ある一団が都庁の武道館を訪ねてきてな、受付でAPC9部隊が見学手続きをしているところに、たまたま若手の鍛練をしていた北条綱成(59歳)殿が居合わせたらしいのだが。」


「若手の鍛練w地黄八幡もまだまだ元気だなあwで?何処の誰なんだ?」


「それがな、柳生宗厳(45歳)と名乗ったとのことだ。」


「柳生……大和地方の柳生か?柳生宗厳なら柳生新陰流の創始者ではないか。」


「ああ新陰流の祖、剣聖・上泉信綱の弟子だ。」


「紛れもない剣豪だが、松永久秀の配下では無かったか?またどうして武道館を?」


「織田幕府ができて国内が平定されたのを見届け松永の元を去り、全国修行をしていたらしい。」


「そう言えば光秀が愚痴をこぼしてたな。織田幕府設立当初、修行に出たまま行方知らずの武芸者や僧侶の類いが多く、住民票戸籍作りが滞っておると。」


「ああそれだろうな、柳生宗厳含め25人の剣豪集団。綱成が招き入れ幕府陸軍・若手幹部候補生と木剣模擬戦に及んだのだが、全員叩きのめされたらしいぞ。」


「なんと!若手とはいえ仮にも幹部候補生が情けない。地黄八幡に鍛え直させねばならん!」


「その地黄八幡殿も柳生宗厳との立ち会いで、かなり善戦したらしいが1本取られ意気消沈していると報告があった(苦笑)」


「まあ仕方ない。綱成の得意は実戦で鍛えた槍だからな、剣豪に剣では勝てぬだろう。」


「それが木槍で負けて落ち込んでるんだと。」


「木槍で負けた!あの地黄八幡がか。1度手合わせしたいな、その柳生宗厳と。」


「まあ三郎ならそう言うと思い、昨晩から都庁ホテルに全員宿泊させている。このまま織田幕府剣術指南役に就任させたらどうかな?と考えてもいる。」


「ほんと流石だぞ兄上。やはり頼りになる。どれ早速会いたいがホテルかな?」


「午前中は都庁と織田城を見学させて午後から武道館で鍛練だ。今頃昼飯を取り終え、鍛練前の準備運動でもしているのではないか?」


「よし!武道館へ行くか!兄上はどうする?」


「興味津々ぜひ見たいんだが、残念ながら13:30から東京都専用地熱発電装置初回テストがある。これは都知事になって4年間、ずっと実現に向け努力してきたからな。絶対にその場でこの目で確認したい。」


「そうか残念だが仕方ない。地熱発電装置は兄上の肝いりで始めた事業計画だ。成功を祈ってるぞ。」


「ああ、では行ってくる。

 そうだ!柳生宗厳は全国修行中に各地で指南役や側近として誘われたらしいが、己より強い者にしか仕えないと全て断っている。ビシッと決めてやれ信長!」


「お任せあれだ兄上w」


 織田幕府武道館

 何やら楽しそうなイベント勃発です。また明日。


 ーーーーーーーーーーーー


 柳生宗厳45歳(1574年現在)


 60歳を超え剃髪・入道して

 柳生石舟斎を名乗っている。


 息子の柳生宗矩はまだ3歳。

 孫の柳生十兵衛は当然まだ生まれて

いない。


 この物語では今後

 柳生宗厳改め柳生石舟斎の名称を使っていきます。

 m(_ _)m

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