第23話 安土城"東尋坊支店"ノリだよね

 15:30 越前海岸沖10km


「待たせたな慎之助。」


「御味方大勝利おめでとう御座いまする。」


「なに、皆のおかげよ。それより大変なのはこれからだ。

 戦で疲弊した越前・北近江を立て直さねばならん。

 内政も根こそぎ変える。それは尾張・美濃・畿内・四国も同じだがな。」


「はっ!復興も内政も織田家が1つになり具体例を掲げ、それを確実に実行し形として示す。

 さすれば、武士も民も納得するのでは無いでしょうか。。


 中にはと申す、領主達も出るでしょう。ならばその者等の言うとおり良いのです。


 経済格差が生まれ疲弊すれば、民衆は織田の治める領地に逃げ込んで来ます。

 それを保護し圧倒的軍事力で守るのがまさしく殿の目指すであり、に繋がる道。

 この阿部慎之助、微力ながら皆と共に殿を支える覚悟はとうに出来ておりますゆえ。」


「。。。。。慎之助お前。。余と代わるか?織田の代表取締役ではなくCEOはもっと違う。。織田家当主の座だ!御主がやった方が良い気がしてきたぞ。」


「御戯れを。して次なる策は尾山御坊の一向衆ですな?」


「。。。さすが4年ぶりリーグ制覇した名監督。。切り替えが早いな。」


「4年ぶり?リーグ制覇?ですか?」


「ああすまん、余と帰蝶の戯れ言よ。何せ余は"尾張の大うつけ"だからなw」


「。。。返答に困りまする。。」


『凄いなAndroid。同じ日にチート創造したのに、性格が全然違う。慎之助と和真等正反対だ。今後もAIディープラーニングのやり方1つで色々ありそうだな。

 危険思想を持つ者には初期対応が要になる。それは人間も同じだがな。

 やはり創造神"ゲネシス"

 Androidへの安全保障対策は的を得ていたのだな。』


 ゲネシス

『やっと俺の偉大さに気付いたか信長!!!』


『。。。仕事中だ引っ込んでろ!!』


『ま、まてよーー』ガチャ!!


 強制的に切断されたようです。。相手創造神様なのに。。


「殿?」


「ん?ああすまん。では慎之助!これより阿部軍2万にAPC9マシンガンを装備させ加賀国との国境に布陣してもらう。

 そこに安土城"東尋坊支店"を築城するゆえ、北陸の地が落ち着くまで慎之助の本拠地とせい。」


「東尋坊ですか?」


「ああ実際は東尋坊に築城する訳ではないが、なに和真が良く言ってる"ノリ"って奴だ。

 何か良きことをした時に"殿ノリが良いです"と使うそうだ。」


「はあ。。。相変わらず我が織田軍の"主砲"は、ぶっとんでますな。」


「まあなも何度か取ってるからな。ああ今のも気にするな、帰蝶との戯れ言よ。」


「はあ。。。海上警備に備え尾張は必要かと。」


「尾張を始め余が創造した物は、余のテレパシー遠隔操作でも動かせる。だが無人では織田家内でも辻褄が合わん。

 軍港も創造するゆえ阿部海軍は土佐中村からそっくり移動してもらう。」


「はっ!仰せの通りに。」


「うむ!土佐中村には新規艦隊を置く。それより越前の話だが、尾張の乗員は今後全艦100人とする。ここには6~8号の3隻配備する。

 して陸の守りだが、余の直轄第9軍団をそっくり連れてきた。それゆえ土佐中村複合基地の第6軍団留守部隊は、そのまま土佐にのこしておるがな。」


「それにしても壮大ですな!!」


「うむ。

 Android兵士30,000人これの編成だが

 10式(改)戦車部隊300輌。

 軍用トラック部隊1,300輌

 APC9マシンガン高速移動機械化部隊26,000人。とする。

 それに慎之助のM9陸兵20,000人を合わせれば総数50,000人の陸軍が加賀との国境に布陣する訳だ。」


「尾山御坊・一向衆の牽制には十分です!!」


「その陸軍と海軍合わせた総数60,000人の総司令官は御主だぞ!!励め」


「はっ!!」


「では飛ぶぞ、城も軍港もコピーは済んでおる。若干その土地に合わせた手直しは必要だが、設置自体は1分で終わる!!」


「。。。。。」


 シュン!


 越前国・加賀国境・牛の谷峠


「どうだ慎之助。この場所を抑えておけば、おいそれと越前には入れまい。」


「。。。。。はっ」


「どうした?難しい顔をしおって?」


「殿、"越前には入れまい"では無くゲネシス様の座標ではもう立派な加賀国内ですが。。(汗)」


「慎之助良く聞け!国境と言うものは世界中どの国でも越境ありきなのだ!

 たかだか1~2kmで騒ぐようなら、御山御坊まで平らげるぞ!と脅せば良い。

 まあ今支配下に置いてある国々の内政が整えば、加賀・越中・能登を平定するがな。」


「失礼致しました。。」


「御主にはゆくゆく城普請で学んだ建築技術を教える指導者になってもらう。

 平定が進めば日本国内に様々な分野の学校を作る。

 7歳~18歳までは義務教育とし、学費等全てを国家が負担する学舎まなびやだ。

 18歳以上の者には専門的に深く学べる場として"大学"なる最高学府を設立する。

 例えば帰蝶には"織田総合大学・医学部"の学長兼医学部長として、医学の道を志す者達を導いてもらう。


 慎之助は"織田建築工科大学"

 初代学長となり民衆に建築土木技術部門の教育を担ってほしい。

 国内が平定されれば城は不要となるが、余が近代的リニューアルを施した安土城は生きた教科書となろう。

 AIディープラーニングにて深く掘り下げれば、建築の基礎が己の知識となる。

 戦乱の世を終わらせた後に、叩き上げて習得した建築スキルで国に貢献できるであろう。

 令和風に言えばだな。励め!!」


「はっ!もう既に殿の見ている世界は平定後の日本なのですね。

 どんな世界になるのか?この阿部慎之助、殿とそして織田家の皆と、早く次の世を見てみたく御座いまする。」


「ああ、まずは人材育成だな。最初はAndroid育成になるのかwまあ良い。

 建築の基本、その場所の地形を把握する事が大切だ。

 ここは典型的な峠地形だな、起伏の頂上近辺。

 守りには適しているが当然平坦部分が少なすぎる。

 そこで造成を行う、見てろ!」


 信長は安土城を建てるべく、峠頂上付近の土を根こそぎ収納した。

「これで高さは低くなったが城を建てる平坦部が十分確保出来た。

 余のチート創造では一瞬だが、人力でやればこの規模だと2年はかかる。

 工期短縮するには、この崖を崩すダイナマイトに始まり、ブルトーザやショベルカー、土砂運搬用の大型ダンプカー等が必要だ。

 それらを使ってやっと3から4ヶ月ってとこだな。」


「なんと!!気が遠くなります。。。」


「だから人力しか無いこの時代だと平地を除いて、造成工事が行われるのは、曲輪等限定された場所くらいなものだ。

 山城はその険しい地形に沿って建てられておる。

 それはそれで素晴らしい築城技術だが、相当な人数を徴収するのに強制的を果たすしか無くなる。

 賦役どころか他国を滅ぼし、そこの民衆を奴隷として死ぬまで働かせる。

 これが戦国の世の現実だ。慎之助!!戦乱の世など1日も早く終わらせるぞ。」


「はっ!!」


 その後も信長は色んな工法を交え、そのコツとか細かい技術。造成から基礎・安土城の設置・外構工事・全防衛兵器とイージスシステムの連携等を丁寧に教えていく。

 本来1~2分で終わる築城を3時間もかけて完成。(それが異常だがw)

 阿部第5軍団長も人間では絶対不可能な短時間での知識習得を、AI頭脳でスピード吸収。自分の物にしていった。


「慎之助!完成だぞ。城自体はコピーゆえ他の安土城と同じだが、峠での築城と平地ではこれだけ違いが出る。

 そこをディープラーニングして己のオリジナリティーを持つようにせい。」


 ズン!


 そう言うと信長は5万の直轄軍陸上兵士を収納から取り出した。


「皆の者、本日よりここから越前・北近江まで新たな織田家直轄領地となる。

 一揆勢の支配する加賀国との国境だ!その防衛拠点として城を築城した。

 正式名称は安土城"東尋坊支店"

 北陸全土を平定するまで重要な城となる。

 後日、波松海岸に尾張6~8号の母港として又、日本海全体のハブとして巨大軍港も設置する。

 "東尋坊海軍基地"と名付ける。

 阿部慎之助第5軍団長!前へ!」


「はっ!」


「本日4月1日より、この安土城"東尋坊支店"並びに"東尋坊海軍基地"の総司令官に任ずる!!北陸平定の日まで励め!!」


「はっ!!天地神明に誓って、この大任勤め上げまする!」


「うむ、余はこれから姉川戦の仕上げをしてくる。皆の者しっかりと励め!!」


 シュン!


 ーーーーーーーーーーーー


 19:00 朝倉軍本陣・龍ヶ鼻砦


 横山城包囲に吉川第8軍団のAPC9部隊(Android兵士)8千を残し、3万5千の織田軍で朝倉軍本陣・龍ヶ鼻砦を包囲した信長。


 すっかり日が暮れたが、2千人収容出来る夜営用体育館を10棟設置。

 更に50m×100m=5,000㎡の超大型屋根付きガレージも10棟出し、そこで焼肉大会を催していた。

 令和産・A5ランク松阪牛を大量に炭火で焼くと、その香ばしいかおりに激しく食欲がそそられる。

 収納にチート錬金コピーで用意していた、炊きたてコシヒカリに日本三大豚肉のひとつ、沖縄県産アグー豚にネギ・牛蒡・人参・こんにゃく等がたっぷり入った豚汁と一緒に提供する。


 龍ヶ鼻砦兵士達の心を折り、反戦ムードを高めるために超大型強力送風機で、香ばしいかおりを砦内に送ることも忘れない。


 *****


 前田利家(31歳)

「かあっーーーーー堪りませんな御館様!!」


 氏家直元(58歳)

「こんな美味い飯が食えるとは……長生きはするもんだ……」


 稲葉一鉄(55歳)

「当然この肉は塩だけでも美味いのですが、タレに絡め白米と共に食べると、明朝まで食い続けられますな!」


 安藤守就(67歳)

「馬鹿を申すな一鉄!朝まで食うてると牛になるぞ!御主は童の頃から大げさなのだ!」


 前田利家を筆頭に西美濃三人衆の面々も、勝ち戦の勢いと生まれて初めて味わう、絶品焼肉・豚汁・白米に気分は最高潮に達している。


 織田信長(36歳)

「本来なら酒も出してやりたいところだが、大勝利の勝ち戦とはいえ、まだ目前に4,500の敵兵が籠城しておる。

 桶狭間での今川治部大輔義元公の例もあるからのお。

 油断大敵、今宵はそのペットボトルの天然水で我慢せい。」


 稲葉貞通(24歳)

「この中が透けて見えるペットボトルなるものも不思議ですが、キャップ?で御座いますか?軽く捻るだけで水が零れませぬ?再度開けるのも容易い。瓢箪や竹筒に入れるより余ほど戦場で役に立ちまする。」


 信長

「ほお、貞通そこに目がいくか。御主若いのに見所があるぞ。その感性大事にするのだぞ。」


 貞通

「はっ!有りがたき御言葉!肝に銘じます」


 吉川尚輝(0歳w)第7軍団長

「【肝に銘じます=心に強く刻み付けて忘れないようにしておくという意味。】

 なるほど、殿以外の方々と話していると違う言葉が学べ、また1つ勉強になりまする。」


 利家

「?何言ってるんだ吉川殿?戦車ばかり乗ってるから人と話したことが無いのかwww」


 信長

『尚輝バカタレ!今のような場合、言葉として発するな。黙ってディープラーニングするんだ!』


 吉川

『すみませんでした。ついうっかりです、以後。』

 覚えたての台詞を早速使っているw

 

 高畠定吉・利家の家臣(34歳・荒子衆)

「殿、大殿の御前ですぞ!朝倉本陣攻めの大役を果たした、直轄軍大将に対して口が過ぎまする!」


 信長

「構わん定吉、吉川の戦車好きは有名だからなw

 それより"猪突猛進の獰猛犬"に御主の様な家臣は大切な人材だ!これからも"脳筋犬"を支えよ。」


 定吉

「はっ!大殿、勿体なき御言葉!」


 利家

「殿?その"脳筋犬"とは何でございまするか?」


「ふん!お前のような脳みそまで筋肉で出来ている犬の例えだw」


 一同

「「「「「ぶははははははは」」」」」


 利家

「。。。?。。。?。。。?」


 一鉄

「ははははは、、如何された前田殿?」


 利家

「いやなに稲葉殿、どうすれば脳みそも筋肉に出来るか?

 さすれば頭突きで敵を倒せるのでは?その鍛え方を思考しているのです。」


 一同

「「「「「。。。ぎっ、ぎゃはははははははーーー」」」」」


 場の雰囲気を大いに和ませる、一家に一台欠かせない加賀大納言さまでしたw


 **********


 21:00


 夜営用体育館・織田信長専用個室


 信長

「……………………………となる。そう言う訳だ。」


 不破光治

「なる程。根切りを取り止める理由、それがし感服致しました。

 明朝6時降伏を促す使者として、龍ヶ鼻砦に赴きまする。」


「うむ、先ほど余の"影の者"達が指揮官、真柄直澄に余の書状を届けておる。

 表情は固かったらしいが明朝、御主との会談後に全兵士の前で切腹致すと申した。


 開場後の敵兵士達の扱いも、御主が先頭になり丁寧に約束を実行するのだ。

 事が終結するまでの間、余の直轄第7軍団3万を預ける。

 吉川軍団長と相談しながら、龍ヶ鼻砦周辺で畑等を踏み潰され、難儀をしておる民も含めて復興責任者を勤めてもらう!光治、励め!!」


「はっ!」


 ーーーーーーーーーーーー


 いやあ~でもなぁ~

 朝から合戦して負け戦で砦に籠り、食糧も水も無い状況に焼肉の香ばしいかおりって。。。想像しただけで心が折れる前に、発狂しそうな作者でした。

 m(_ _)m

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