第24話 そう言えば朝倉義景どこ行った?


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「人は忘れる生き物である」


 byヘルマン・エビングハウス


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 1570年4月2日 4:30


 織田信長

『偵察ステルスドローン越前方面は誰かいるか?』


 偵察ドローン

『殿の命により越前50機、北近江50機稼働しております。その内、定点観測それぞれ10機。

 国境、海岸沿い、琵琶湖、各主要な城などです。』


『朝倉義景専属はどうなった?』


『?どうなった?とは?』


『余は?を用い質問している。何故質問で返す。』


『御言葉ですが殿。敵の総大将が朝倉景健と報告のおり、朝倉義景の専属偵察を解除し、景健を見張れと命じられました。』


『あっ!!』


『思い出されたようで。。安心しました。。。』


『ぐぅぅぅ~あれは余のせいでは無い。。。

 LIXILじゃあやつのSPAGE(スパージュ)が悪い。

 湯船の中で肩も腰もほぐしてくれる。それに最後オーバーヘッドシャワーで止めを刺してくる。

 知っておるか?余は寝つきが悪かった。眠り際に何かと思考するからだ。

 だがあやつに出会ってからと言うもの、瞬殺即寝の転落睡眠。いつの間に寝たかなど記憶にも残らん。

 そんな時に出した指示など無効に決まっておるであろう!なぜそこまで先読みせん!

 この慮外者めが!!』


『私もAI頭脳の端くれ。今初めて聞いた"慮外者"の意味を0,000001秒で調べました。


 "不法・不当な態度や行為、ぶしつけ不埒無礼なさま、無遠慮なふるまい"の事でございます。』


『うっ!!!』


殿LIXIL・SPAGEで記憶が飛んだ事と


 "不法・不当な態度や行為、ぶしつけ不埒無礼なさま、無遠慮なふるまい"


 を私がしたと申されるのであれば、それはと呼ばれるものではないでしょうか?』


『。。。。。。。。』


『では、僭越ながら理不尽の説明を致します。


 "理にかなわない仕方で行うこと。その態度・様子"理不尽とはそのよう。。。。。』


『すまなかった!!余が一方的に悪かった!事を棚にあげ、LIXILのSPAGEや偵察ドローンのせいにした!申し訳ない!』


『御言葉ですが殿。貴方様と濃姫様の御二人は、ゲネシス創造神の使徒としてこの国、いいえこの地球全体を変えて行く御方。

 家臣や領民、ましてや私の様な御自身で創造した者物に対して、簡単に謝罪等してはなりませぬ。

 例え御自身に《《全て・100%・

 完膚なきまでにw》》非があろうとも頭等下げるべからず!!』


『。。。。。おい、偵察ドローンのお前いま笑ったろ、完膚なきまでにの後にw付けただろ!』


『はて?それは文書として正式に残っておるも。。。。。』


『もう良い、分かったわ!!!全く、、ここぞとばかりに嵩に懸かって攻めおってからに、、で?どうなったのだ朝倉義景は?』


『1分お待ちを。。。。。。。』


 信長の【偵察ステルスドローン】

 ステルス機能以外で最大の特徴は、事前にした人物の生体反応を、半径10kmの範囲で瞬時に検索出来る。まさにチート創造により生み出されたモンスター偵察機。


『検索終了!朝倉義景・生体反応あり!場所は朝倉景恒あさくらかげつねが城主を勤める。。。。。』


『なんだ!どうした!!"バグ"でも出たか?』


『。。。越前敦賀は!!』


『なっ!!。。。。。なんだと!!。。。』


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 6:20 龍ヶ鼻砦


 既に白装束に着替え切腹の覚悟を示している真柄直澄。

「不破殿か。。。此度の事態、誠に申し訳ない。昨夜織田家の者から話しは聞いております。

 また御丁寧にも織田信長公・自ら認めし書状も、有り難く頂戴致しました。」


 不破光治

「左様で御座いますか。勝負は時の運、お互いにいろいろ思いもありまするが、これも戦国の世の習いにて。

 書状内容に関してはこの不破光治!必ず早急に実行せよと、殿から直々に厳しく命ぜられておりまする。」


 真柄直澄

「左様か。。。後の事は不破殿にお任せ致す。何卒宜しくお願い申しあげまする。では。。。」


 直澄の直臣であろうと思われる武将がたすき掛けをし、介錯のため後ろへ回り込む。


 見届け人として織田方から派遣された不破光治と家臣30人。

 4,500人の助命の交換条件として自らの切腹。潔い直澄の態度に敵ながら天晴れと感心していた。


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 7:00 龍ヶ鼻砦前


 真柄直澄の見事な切腹により、命を救われた4,500人の朝倉兵士達。

 昨日からの水分不足で脱水症状を起こし全体的に覇気がなく、足元がふらふらとしている。

 中には重体寸前の者までいる酷い状況に、信長は濃姫を呼ぶ。


「帰蝶まずは渇ききって歩くのも覚束無いこの者達に、チート回復をしてくれ。だがその前に一芝居打つwおい出てこい。」


 ズン!


 そこには全員190cm以上のAndroid兵にしては180cmな兵士が1人立っている。


 神力とチート鑑定を持つ濃姫は、その正体をすぐに見抜き

「あら!偵察ステルスドローンさん。男前になって登場ですねw」


「は、はあ~。。。人の身体を持つのは初めてなので。。。身軽に空を飛べるドローンに戻りたいのですが。。。」


「ふん!まあそう言うな、お前は誰よりも口が達者だ。

 今世では気をつけてはいるが、本来口数少ない余の専属弁護人として励め!」


「まあ殿。説明を怠らず、きちんと話してくれる今の殿は素敵なのに。。。」


「そうか帰蝶。これからもそれは続ける。。。だがこの者には大切な役目を与える。だ!

 、詳細は先ほど話した通りやれ!」


「ふー分かりました。では濃姫様こちらへどうぞ。」


「??まあ何をなされるのか?でも楽しくなりそうですね。」


 武装解除真っ只中に御立ち台を用意して、そこに濃姫を立たせる


「朝倉軍の皆様おはようございます。某は織田軍・広報室室長を勤める浅野翔吾と申します。

 みなさん喉が渇いてませんか?昨日から水が無くて大変な思いをされたでしょう。

 負け戦による怪我等もあるでしょう。痛いですね。。辛いですよね。。

 でももう大丈夫です!!こちらにおわす日ノ本1の美女、織田信長公が正室であり、全ての病等を癒すでございまする!!!」


 疲れきって半死状態の朝倉の兵士達。虚ろな目で項垂れ、反応する気力もない。


『さっ濃姫様お願いします!』


『。。。。。まったく。。。』


「みなさん私が癒します。チートエリアヒール!!」

 濃姫の半径5kmに眩い光が神々しく降り注いだ。


「「「「「おおお~」」」」」


 一瞬で喉の渇きは癒え、身体中の傷口が古傷も含め治っていく。

 生気を取り戻した兵士たち。


「す、すごい!!」「嘘のように渇きが無くなったぞ!」「生き返る~」「古傷の膝の痛みが無い!!」「奇跡だ!女神だ!」

「聖女様だ~」「美人だ!!」「女神さま!!」「美しい!!」


 朝倉軍4,500人

 織田軍・前田利家隊10,000人

 織田軍・稲葉一鉄隊 3,000人

 合計17,500人の兵達(人間のみ)がうっとりと呆けている。


『帰蝶。。。織田の兵も回復しておるが。。』


『殿。。半径5km以内ですので。。』


『この間、しかと聞いたがな。戦闘中に敵兵まで回復しないよう、範囲指定できると。。』


『殿。。。ですよ。。。』


『。。。。。。。。』



 元気もりもりの朝倉兵達は聖女・女神濃姫を崇めながら、

 織田信長・直轄第7軍団兵士(Android)が行う武装解除に我先にと応じ、朝食にかぶり付いている。


「さあさあ早くしろよ!!刀・槍・鎧・兜・武器武具の類いを全てここに置いて行け。」


「武装解除した者から、美味い水に極上の朝飯にありつけるからな!!」


「おい!そこのお前!具足もダメだ!そこにあるに履き替えろ!」


「うめえーーー」「なんじゃこりゃー」

「国のおっかあにも食わせてやりてぇ。。。」

「もう戦なんて懲り懲りだ!」

「そうだ今からちゃんと働けば、織田様が食事を出してくれる。」

「給金も貰えるそうだぞ!」

「俺は雪深い越前より尾張がいいな。」


 そこに織田家広報室室長・浅野翔吾が皆に向かって

「みなさ~ん!!これも女神・聖女の濃姫様が作ったのですよ。」

 実際はギフト・ショッピングモールで取り出しただけだが。。。


「「「おおおおおおお~~!!!」」」


 前田利家

「濃姫さま~!!!!!」


 信長

「又左!!お前までうるさい!!」


 織田家広報室室長・浅野翔吾の宣伝力によっての名声が日本中に拡散していくのに時はかからなかった。


 **********


 15:00 夜営用体育館・織田信長専用個室


 信長は浅野翔吾を伴い

 稲葉・氏家・安藤の西美濃三人衆と、不破光治・前田利家の5人を部屋に呼んだ。

 朝倉義景が金ケ崎城にて健在である事を話すために。


 安藤

「厄介な事ですなあ、あの地は若狹武田家の若狭国と隣り合わせ。幕府の血筋を引く信頼厚い名家に、将軍と懇意の朝倉義景。

 またが書状を認めると、連携して動いてくること必定。

 今の若狭国は朝倉家の傀儡ですからなあ。。。最悪東西から挟撃されまする。

 仮にそこを攻めるとなると、幕府が邪魔立て出来ぬ大義名分を考えなくては。」


 前田

「大義名分なら今回の織田攻めで十分では?同盟国を攻めた外道の討伐だと。」


 安藤

「前田殿、浅井とは同盟しておるが織田と朝倉はそんな関係ではない。」


 氏家

「確かにそうだが、会談中に攻めて来たのは事実。

 そこを何かしら越前への軍事侵攻の理由として、上手く絵を描ければ幕府も口出し出来ないと思うが。。」


 信長

「浅野、なんぞ上手い絵を描くネタは無いか?」


 浅野

「はっ!足利将軍家には足利一門をぶつけるのが一番かと。」


 稲葉

「一門衆?桶狭間で討ち取った今川。

 三河の吉良。。。まさかとは思うが、尾張守護・斯波ではあるまいな?」


 そこにいる一同が斯波の名を聞いて微妙な顔をした。

 かつて尾張守護・斯波義統の弔い合戦と称し、信長は清洲城を攻め、討って出てきた同族の織田三位等を殺害。

 翌年には尾張統一に邪魔な同族、守護代・織田信友等を守護殺しの張本人として滅ぼし、その勢いを持って織田伊勢守家までも征伐。尾張を統一した経緯がある。


 端的に言えば"尾張統一に斯波の名前を利用した"訳である。


 信長

「続けろ浅野。。」


「はっ!今は殿に遠慮して斯波の名を捨て、津川義近と名乗っております御仁。

 が、しかし正当な尾張守護・斯波武衛家15代当主であることには間違い無い訳で。

 斯波義銀しばよしかねの名に戻せば大いに使えるかと。」


 信長

「斯波武衛家、越前か」


「御明察通り!約100年前の応仁の乱で、朝倉宗滴の父親・朝倉孝景により越前を奪われた斯波武衛家。

 斯波家15代当主・斯波義銀が越前の返却を求めていると神輿に担げば、織田家は尾張守護斯波の家臣筋。

 主家であるに従い、加勢して越前敦賀へ攻めこんだとて、朝廷・ましてや幕府も斯波・武衛家による朝倉義景討伐に口出し等できませぬ。」


 氏家

「なんという恐ろしい絵を描くのだ。。」


 稲葉

「またしても斯波をだしにするとは。。恐れ入った。。」


 前田

「浅野とやら、初めて会うが中々どうして策士だなw」


 浅野

「念には念を入れ、斯波義銀から殿へのを書かせておけば、後顧の憂いもなくなります。」


 信長

「ぷっふっふぅあははははははは!面白い!面白いぞ翔吾!!不破光治!!」


「はっ!」


「昨日話した通り余の第8軍団3万を使い、今回の戦で荒れた北近江村々の復興、並びに旧朝倉軍4,500の越前以外での生活支援。早期自立の手助けの役目を申し付ける!!吉川尚輝と相談し励め!!」


「はっ!」


「西美濃三人衆の面々、今回はご苦労であった!8日後の4月10日、関ケ原の稲葉城にて論功行賞を行う。

 明日軍勢をまとめ美濃へ戻ること!!

 今宵は美味い料理に取って置きの清酒も出す!存分に楽しむとよい!!」


「「「はっ!」」」


「前田利家!御主も一緒だ。論功行賞の際には、坂本侍大将のトラックで稲葉城へ来い!あっという間に着く。

 今宵は大いに食べて飲んで明日安土へ戻れ!!」


「はっ!」


「今は15:30か、宴会は17:00からとする。守りはマシンガン部隊1万に命じておる。先ほど大浴場なるものを出しておいた。

 ドでかい温泉だ!湯に浸かり疲れを取っておれ。浅野御主は残れ、先ほどの神輿の件詳細を詰める!以上!これにて解散!」


「「「はっ!」」」


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 またまた名門斯波家の名前を利用する気ですね。


 それよりも横山城と浅井長政!完全に忘れてますよね信長さん。

 最後にもう一度



「人は忘れる生き物である」


 byヘルマン・エビングハウス



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