第20話 お市救出・一乗谷城・小谷城・大和主砲艦砲射撃

 1570年4月1日13時


 北近江浅井家・横山城


 浅井長政

「消えた?そんな馬鹿な!!探せーー信長をさがせーー」


 安養寺氏種

「織田武蔵も不破光治も。。。消えた!!はっ!あのリュックとやらも無い!!!」


「殿ーーーーーーー」

 ドタドタドタドタ

 城主の三田村国定が慌てふためき半狂乱状態で駆け込んでくる。


「信長は居たかー?」


「それどころではありませぬ!城の周りが深い空堀で囲まれました!!」


「「はっ??」」


「見てもらえれば分かりまする!!」


 長政が庭に出て正門前を見ると11,000の織田軍が集結していた。


「ん?織田の兵が減っておる。残りの大軍は何処に行った?」


 そしてもっと良く敵陣を観察しようと塀に近づくと、あるはずの無い物が。。

「な!なんだ三田村あれが空堀なのか?」

 城を孤立無援にするように取り囲んでいる。


「磯野殿の着陣している北側からの報告では、幅27間深さは50間以上あると。。。出られませぬ。。」


 横山城内は信長を討ち取るどころか、突然出来た深い掘に自分達が閉じ込められた事で、長政を筆頭に大混乱に陥った。


 **********


「これでは殿がいる横山城に入れぬでは無いか。。。いつの間にこんな堀が。。しかもこの深さをになどと。。。人の技術で掘れる代物では無いぞ。。。」


 騎馬軍団3千を率い城の北東に布陣した磯野員昌。

 あまりの事に茫然としながらも織田軍の陣形を凝視する。


「1万と少しか。。騎馬軍団ほぼ同数、だが足軽?槍も刀も持っておらん?それに妙な服装だが皆とてつもなくでかい!大男ぞろいだ。あの肩から掛けておる物は?短い筒だがもしや種子島か?

 大うつけの軍、分からん事だらけだ、、、横から一当てするしかなかろうて!皆の者、姉川に移動する急げーー」


 磯野騎馬軍団3千は城の北東から2km東南へ前身。城門前に陣を敷いている稲葉一鉄騎馬軍団を避け、吉川尚輝軍のAPC9マシンガン部隊8千の横腹を突く位置に陣取る。


 磯野軍移動により空いた場所に、第2陣浅井政澄5百・第3陣浅井政之5百の火縄銃部隊が着陣。

 それぞれ狙いをつけながら、稲葉騎馬軍団に向かい前進を開始した。


『尚輝!!APC9マシンガン部隊の現場指揮権を、門脇・侍大将に移行し御主は戦車部隊の指揮に専念せい!!余は5分後、小谷城に転移お市と娘達を救出してくる。』


『ラジャー門脇侍大将、後は任せた!!』


『ラジャーお任せあれ!!殿、石田村・日吉神社付近に布陣している、APC9マシンガン部隊12,000人、4km先の姉川への北上はどうしますか!!』


『まだ早い!!今出ると朝倉の2万が姉川の対岸に布陣し渡るのをためらう!!状況も変化しておるゆえ全軍とは言わんが半数の1万が超えたタイミングで動かせ!!尚輝はそこで戦車部隊を突入させよ!!』


『門脇ラジャー!!それまで待機徹底!!』


『尚輝ラジャー!!敵斥候15人"影部隊"により全員掃討済み!!帰らぬ人になっております!!』


『ラジャー!!小谷城偵察ドローン!!市と娘たち座標に変化は?』


『"1308"ヒトサンマルハチ現在の座標変化無し"5618@#ARKF"

 初姫午睡、お市殿・茶々姫2人は昼御飯中です。』


『よし、では行って来る。帰蝶!!市と2人の娘、面倒かけるが宜しく頼む!!』


『岐阜城にて万事整っております!!殿、御武運を!!』


 シュン!

 信長の転移は神力を目標としているが、神力を授かっているのは、この世に信長と濃姫二人しかいない。

 但し信長が創造したは目標になるので、御守り等を作り持たせたり、建造物等を創造するとそこに転移可能である。

 今回のような何もない場所への転移は"創造神ゲネシス"が創造した神界住所録・座標typeを活用する。


 **********


 13:10 小谷城・奥の間お市の方個室


 シュン!

「市、久しいのう。」


「はっ!!あ、兄上!!!」


「娘たち茶々(3歳)初(0歳)も元気そうで何よりだ。」


 シュポ! シュン!


 敵陣真っ只中の小谷城

 長居は無用とばかりにお市と娘2人、その場に居合わせた侍女・初の乳母等6人、総数9人を収納すると信長は転移で消えた。



 13:11 土佐中村複合基地


 シュン!


 尾張10号内に信長が現れ


「和真!!戦況が変わった。

 余は横山城付近で督戦せねばならん!少し早いが今から琵琶湖へ飛ぶぞ。

 この尾張10号以外にも、第6軍団・複合基地留守部隊から、陸兵1万に戦車90輌を持っていく。準備はいいか!!」


「万端でございます!何時でもどうぞ!!」


 シュポ! シュン!



 13:15 琵琶湖長浜沖 竹生島


 シュン!


 尾張10号が小谷城から発見されない様に、竹生島の島影に隠れる場所に転移する。


「よし、和真!小谷城艦砲射撃は30分遅らせ14時からとする。

 余が横山城を深い空掘りで囲んだため、警戒した朝倉の軍勢が進軍速度を緩めた。

 大和の砲撃音は凄まじい。今撃つと音で小谷城の異変に気付き、敵が散開する恐れがある。

 そうなると民家や民衆を巻き込み面倒な事になるからな!」


「了解しました。艦砲射撃14時に延期。射撃内容は変更無しで撃ちます!」


「頼んだ!!」


 シュン!



 13:20 琵琶湖長浜沿岸 前田利家(31歳)隊1万本陣


又左利家、励んでおるか!!」


「殿!!何処から?いつの間に!!」


「よい、又左。坂本おるか!!」


「はっ!これに」

 信長と利家の前に跪く坂本侍大将。


「又左、1度しか言わぬから良く聞いておれ。

 余と坂本は特殊な通信方法で遠距離からでも通話が可能だ!

 浅井朝倉連合軍への突撃の頃合い、坂本に連絡するゆえ御主の全力を持ってこれを成し遂げよ!!」


「通信?通話?よく分かりませぬが、つまり殿と坂本は遠距離でも繋がっておると?

 羨ましい。。。

 あっ、いや。。その時が来たら致しまする!!」


まあよい。

 敵は朝倉の本陣を龍ヶ鼻砦に敷くであろう。よってその前方に主力を広く展開する事になる。

 敵本陣の後方から余の戦車部隊が砲撃を加えながら、後詰めの部隊に雪崩れ込む!

 その時が御主の突撃時じゃ!敵の防衛線西側を攻めよ!

 前方・東側・後方からも織田の軍勢が押し出す。包囲殲滅一網打尽じゃ!励めよ槍の又左いや前田利家!!」


 シュン!


「おお!!!消えた?坂本。。。消えたよな今。。」


「御館様ですから。。。」


「そうか。。。なるほど。。そうだなウンそうだ!殿の期待に応えるぞ坂本!!槍の又左はやってやるぞーー」


 気持ちの良いほどな御方らしいです。加賀100万石さま!



 13:30 越前海岸沖3km


 阿部慎之助・信長直轄軍第5部隊(海軍)軍団長

 尾張6号艦内司令室


 シュン!


「殿!!これより艦砲射撃発射致すところ!!」


「ご苦労慎之助。ここからだと大和主砲射程距離42kmギリギリだな。

 かと言ってこれ以上海岸に近寄ると、漁民の漁の邪魔になる。

 1分待て、主砲を創造にて少し弄る。」


「はっ!総員このまま待機!!艦砲射撃しばし待て!!!」


「「「ラジャーー」」」


 チート創造錬金術を駆使。

 尾張6号~8号・3艦の主砲射程距離を80kmまで倍増させた信長。


「よし慎之介、全艦隊あと7km沖合いに転移する。そして攻撃開始だ!!」


 シュン!


 13:35 越前海岸沖10km


 信長「やれ!」


 阿部軍団長

「目標一乗谷城!ナパーム弾発射!!」


 イージスシステム搭載艦・尾張6~8号3艦の総数18門の大和主砲。

 そこからナパーム弾が雨あられと発射される。


 標高473メートルの一条城山。

 水分を豊富に含んだ樹木は燃えにくいが、森林等を焼くのに適したナパームBを使用。

 これは通常ナパームより粘り気は低いが、燃焼時間を10分以上も保ち炎の拡散に優れている。


 生木が焼ける際に発生する独特の異臭と煙。それが炎と共に大量に広がっていく。

 瞬く間に一条城山全体が炎と煙に包まれる。


 朝倉義景が当主を継いだ時、新たに作られた別名・千畳敷と呼ばれた本丸。

 山城である一乗谷城において最大の広さを誇るが、既に煙に巻かれ逃げ惑うしか出来ない留守居番の兵士達。

 織田海軍のナパームB弾の直撃弾は、そこにも無情に降り注いでくる。


 中には勇猛な武将もいて、逃げる兵士を素早く1列に纏め、井戸から水を汲み炎にかける。

 いわゆるバケツリレーだが

「だめです!消えません!!」

「なぜだ!!なぜ消えない!!」

「ひいーーーーー悪魔だ悪魔の炎だーーー」


「ぐぅ!!」

「ぐ、ぐるじぃーー」

 消火活動をしていた勇敢な兵士達がバタバタと倒れていった。。。


 そもそもナパーム弾最大の特徴は普通の水での消火は不可能。

 界面活性剤かいめんかっせいざい(石鹸等)を含む水でなければ炎は燃え続ける。


 しかも燃える時に酸素を大量に消費するため、炎から遠距離にいても窒息死や一酸化炭素中毒による二次被害を招く。


 二の丸・三の丸・月見櫓・物見台・飲料水が湧く湧水地等も同様で、ナパームB弾の1,000度を超える高温にさらされ焼け落ちていった。


 14:00 越前海岸沖6km


 阿部慎之助第5軍団長

「砲撃止めい!!一乗谷城壊滅!!小休止!!

 目標変更する。

 出城の成願寺城・東郷槙山城・三峰城!!

 "1410ヒトヨンヒトマル"ナパームB弾にて焼き尽くせ!!」


 信長

「慎之介、余は一旦姉川戦場に戻る。加賀国との国境上陸予定は14:30だが、変更あらばテレパシー通話にて連絡する。励め!!」


「はっ!御武運を!!」


 **********


 同時刻14:00 琵琶湖長浜沖・竹生島


 尾張10号司令室・岡本和真第6軍団長


「小谷城・艦砲射撃始め!!」


 砲撃時刻となったため竹生島に身を隠す必要が無くなった尾張10号。

 長浜沖合い2kmの距離に停泊、主砲6本から10発ずつ計60発の砲弾を発射した。


 大和主砲から放たれる砲弾の威力爆発力は苛烈を極め、小谷城本丸に留まらず土塁・曲輪・石垣等も飛び散り木片瓦礫の山となる。


『こちら偵察ドローン、京極丸北の小丸にて浅井長政が父・浅井久政発見!!繰り返す小丸にて浅井久政発見!!』


「聞いたか!!主砲目標!小丸並びに京極丸、念のため中丸に山王丸も攻めろ!!発射!!」


 ズドーーン!!ドォーーーン!!


 今回の織田軍との戦闘首謀者の1人、浅井家側の最高責任者・前当主・浅井久政。

 悲鳴をあげる暇さえ無く、44歳で爆殺された身体は粉々に引き裂かれ、肉の欠片となりはてた。


『浅井久政発見場所、小丸並びに京極丸・中丸・山王丸!!生体反応無し!!生体反応無し!!』


『ラジャー!!』


「次!!目標小谷山!!全弾ナパームにて支城ごと山を焼き払え!!」

 標高495mの小谷山

 山本山城・丁野城・大嶽城などの支城を持ち堅牢な守りで知られていたのだが。。。


 岡本和真第6軍団長のナパームBを使用した、猛攻になす術もなく、越前朝倉家の一乗城山、一乗谷城と同じ運命を辿る事になる。。。。。



 ーーーーーーーーーーーー


【浅井久政】


 浅井長政の実父

 史実でも織田信長の小谷城攻めで47歳~49歳(年齢諸説あり)で亡くなっています。


 近江は基本、六角王国的な雰囲気がありますから六角氏に完全に臣従してたのか?

 六角義賢を騙しだまし巧みに付き合っていたのか?

 乱世の大名外交ですから、現代社会の常識では測りかねないのかも知れません?

 なんせ平気で首を取る(物理的に)時代ですからね。。。


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