第52話 北条決戦・藤沢白旗神社攻防戦①

 織田軍陣地前1km地点


 北条軍総勢(3万5千)


 北条氏政・総大将本隊・1万

 松田康郷・先鋒・7千

 大導寺政繁 ・左翼・8千

 板部岡江雪斎・右翼・8千

 北条氏規・後詰め・2千


 北条氏政

「氏規・江雪斎の1万を玉縄城の氏繁と合流させるには、ここを抜くしか無い。さすれば磯子の織田勢とも野戦にてやりあえる。

 我等は権太坂に1万を置いて、残り1万5千で松田憲秀の本厚木に取って返す。

 大変な強行軍ではあるが、負ければ北条は滅亡だ!ここが踏ん張り時、皆の者後世に名を残すぞ!!」


「「「おおおおお!!」」」


「先鋒、松田康郷!松田の赤鬼が恐ろしさ、大うつけ軍に知らしめて来い!」


 松田康郷

「はっ殿!この先鋒7千の騎馬隊にて敵のど真ん中、蹴散らして見せまする!」


「おお!本隊から5千を2陣として追走させる、食い破って参れ!全軍掛かれーーー!!」


 北条軍中央から1万2千、右翼8千、左翼8千、総勢2万8千が織田陣地に雪崩れ込む。


 風魔の乱波衆を信長に封じられた北条軍は、玉縄衆と本厚木の壊滅的敗北を未だに知らない。


 今まさに合戦は始まったのだが、北条軍左翼の夜目が効く大導寺政繁だけは、目の前の異変に気付いていた。

「敵右翼のさらに東側?なんでそこだけ黒煙らしき物で覆われておるのか?何れにしろ物見も乱波も報告が途絶えておる以上、一当てして様子を見るしかあるまい。」


 ドドドドドドドドドドドド!!


 北条軍先鋒・松田の赤鬼指揮の騎馬隊7千が突っ込んでくる。

 その直ぐ後ろには、氏政本隊の5千も続いている。


 織田信長

『流石、蒲生賢秀が敷いた陣形だ。敵はこれを突き崩すのは無理であろう。賢秀よ改めて礼を申す!』


 北条軍が500mラインまで迫ってきた。


「10式戦車(改)その場から動かず砲撃始め!!

 5段構えのAPC9部隊1~3段目!300mライン越えたらフルオート射撃!!

 4~5段目は100mまで引き付けフルオートにて応戦せよ!!

 これは蒲生賢秀が弔い合戦である!情け無用!躊躇わず殲滅しろ!」


【賢秀が敷いた陣形】

 APC9部隊が1,000人ずつ横並びに5段構え。

 その後ろに織田陸軍10,000が控える。

 2,500ずつを左・中央・右。残り2,500は遊撃隊として中央後方。


 信長はこれに玉縄城から攻撃を受け、散々に食い破られた生存者3,500人に名誉挽回の機会を与える為、遊撃隊2,500と合流させ6,000に再編成。

 元々左翼を守る2,500と足して8,500にて敵右翼・板部岡江雪斎8千にぶつける。


 10式戦車(改)の砲弾が一瞬で騎馬隊10数人を馬もろとも屍に変える。

 そこを突破しても3,000のAPC9のフルオート弾幕が待ち受けていた。


「がっ!」「ぎゃあ!」「ぐぇ!」「ごぉぉ!」「がはっ」


 APC9の弾幕を潜り抜けられた騎馬は皆無だった。。。

 北条重臣、松田の赤鬼こと松田康郷は「と、、の、、お逃げくだされ、、」死に際に発した言葉である。


 信長

「攻撃目標変更!APC9部隊4~5段目2,000は敵右翼・板部岡江雪斎8千を撃て!

 織田陸軍に名誉挽回の機会を与えるゆえ、先ずはセミオートにて司令官を狙え!その後は援護に徹するのだ!」


「「「はっ!」」」


「APC9部隊1~3段目3,000人!前進しながら敵中央第2陣5千にフルオートだ!10式も前進攻撃!織田陸軍10,000それに続け!」


「「「はっ!」」」


「中納言!黒煙を止め安土城を敵に見せろ!派手にライトアップしろ!!

 同時に攻撃ドローン1,000機を後詰めの北条氏規2千にぶつけ殲滅し上空に待機!退路を塞げ!

 細川隊6千は城のM2で先制攻撃後、敵左翼・大導寺8千に突進だ!残り2千は安土城にて後詰めとする。以上!」


 信興

「ラジャー!!派手にやります!!」


 *****


 大導寺政繁と8千の左翼部隊は夢を見ているようだった。


 大導寺

「黒煙の正体はこれだったのか。。信じられん。。こんなこと神以外に為せる者等おらぬ。。。」

 跪いてしまう左翼大将・大導寺政繁


 足軽兵達

「あれは"錦の御旗"?」

「官軍だーー織田は官軍様だー」

「我等は朝敵なのか?。。。」

「松田の赤鬼様もやられた。。」

「何だ!城から出て空を飛んでおるぞ!」

「何で?あの城は光っておるのだ!!」

「神だ神様の帝様の御城じゃ」

「俺は嫌だ。。神に歯向かう罰当たりになりたくねえ!」


 そしてライトアップされた安土城からは無情にも、ブローニングM2重機関銃が火を噴いた。


 ズガガガガガガ!!

 ズガガガガガガ!!


 300挺の機銃掃射により、8千の大導寺左翼部隊は半数が倒れ、残りは我先にと後方へ逃走。


 大将・大導寺政繁は安土城と錦の御旗を前に膝を折り拝んでいる。

 そこへ細川隊6千の追い討ちが始まった。「逃がすなーー」「追えー追うのだ!」

 北条家猛将・大導寺政繁、織田陸軍の名も無き足軽兵にその首級を挙げられる。


「敵左翼大将・大導寺政繁討ち取ったりーー!!!」


 信興

「皆の者!勝鬨を挙げい!!」


「「「えいえいおー!!」」」


 *****


 北条軍右翼・板部岡江雪斎8千


 戦場の東側と中央部分は信長の命により、オスプレイとアパッチにてライトアップされている。

 しかし西側は意図的に暗闇のまま。


 ダダダン!「ぐぇ」

 ダダダン!「がはっ!」

 ダダダン!「ぎゃはっ!!」


 小姓

「一報!!敵は御味方の指揮官だけを狙い撃ってる模様!!」


 江雪斎

「なんだと!この暗闇でどうやって識別しておるのだ!」


 ダダダン!「ぐぎゃぁ!!」


 目の前で報告員の小姓が倒された。頭部に開いた3個の穴から血が噴き出している。


 織田軍左翼部隊8,500人全員、暗闇用の赤外線ゴーグルを着用。

 松明等持たないので敵からは見えず、夜間戦闘のアドバンテージを取っていた。


『よいか、板部岡江雪斎のみ逃走出来ぬよう足を狙え。

 後は蒲生氏郷に任せるのだ。他の織田陸軍兵にも邪魔させぬようAPC9部隊で確保しろ。』


 この織田左翼部隊に信長は、本人たっての希望により蒲生氏郷の参戦を許した。

 とは言え若干14歳。まだ成長途中の身体では、歴戦敵兵の餌食になるだけなので、APC9部隊50人を護衛として付けている。


 ダダダン!「ぐう!!!」


 右足の膝を撃ち砕かれ倒れ込む江雪斎。

 その周りをAPC9部隊50人が取り囲む。全員2m以上・偉丈夫達の壁により味方の織田陸軍兵士すら近寄れない。


 そのうちの1人が蒲生氏郷に歩みより囲いの中に誘う。

「どうぞ本懐を遂げる様にと上様からの御達しです。見事北条家重臣、右翼大将・板部岡江雪斎を討ち取りなされ!」


 江雪斎

「ぐぬぅぅぅ、、、誰だ!貴様は、名乗れ名乗らぬか!」


「某、蒲生憲秀が嫡男!蒲生氏郷!父上の仇として北条家重臣の御主を討ち取り手向けとする所存!」


「父の仇だと?何を言うておる。わしは今この戦場に着いたばかり、織田の者とは視線1つ合わせておらぬ!」


「如何にも!父の仇、玉縄衆は全滅したゆえ右翼軍大将のそちの首級で溜飲を下げるのだ。」


「玉縄衆が全滅とな。。。そうか、それで玉縄城を気にせずにこの大軍で待ち構えられたのか。。。

 それにしても蒲生と言うたな。元六角家の重臣の蒲生か?

 主家が滅び織田に鞍替えしたとは聞いたが偉そうに。。見たとこまだ元服したての童ではないか。

 子供の鬱憤うっぷん晴らしに選ばれるとは舐められものだ。良かろうかかって参れ、童など右足が無かろうが後れは取らぬわ!!」


「いざ!参る」


 14歳の子供ではあるが、武家に生まれ幼き頃より鍛練は十分積んでいる氏郷。


 一方33歳の江雪斎。

 武将として頂点を極める年齢ではあるが、元々伊豆で僧侶をしていた身。

 北条家の外交僧として戦術等には長けているも、剣術も槍も手に覚えは無い。

 しかも右足を撃ち抜かれ痛みに七転八倒していたばかり。

 勝負は呆気なく着いた。


「敵右翼大将・板部岡江雪斎!この蒲生氏郷が討ち取ったりーー!!!」


「「「おおお!!!」」」


 多くの指揮官を失ったうえに、大将まで討ち取られ統率が崩壊、逃走する北条右翼軍。

 氏郷の活躍で一気に気勢が上がった織田陸軍兵士達の追い討ちが始まった。


 シュン!

「見事だぞ氏郷!!よくぞ父の仇・北条の重臣が首級を挙げて見せた!!天晴れだ!!」

「御見事ですよ婿殿、いえ氏郷。それでこそ私の息子義理です。」

「良くやったな氏郷。。これで憲秀も浮かばれるわい。。」


「上様!義母上様!中納言様!ありがとうございます。。。」


 信長

「良し皆の者勝鬨を挙げよーー」


「「「えいえいお~!!」」」


 *****


 北条氏政・総大将本隊の陣地に後詰め2千を率いて北条氏規がやって来た。


「殿、いや兄上ここは某が殿しんがりにて時を稼ぎますゆえ小田原にお逃げ下され。」


「氏規。。。右翼左翼の敗残兵を我が纏めれば3千は作れる。

 ここの7千と合わせ1万にはなるぞ!最後の一勝負で信長の首を狙おうではないか!」


「否!もはやこれまで!松田も大導寺も江雪斎も討ち取られました。退路を塞がれる前に離脱して下され!兄上さえ御存命なら北条はまだ立て直せます!時が無いのだ兄上!!」


「ぐうぅ。。氏規死ぬなよ!!

 これより本陣を引き払う撤退だーー!!隊列を乱すな、乱れた集団から追い討ちの餌食になるぞ!!」


 主を守りながらの逃走であるが、それでも隊列を乱さない鍛えられた北条軍5千。


 氏規

「これより先は一歩も通さぬ!我等2千、死兵となって織田を討つ!」


 シュン!

「その覚悟見事だぞ北条氏規!」


「突然飛び出てくるその怪しの術!貴様が第六天魔王・織田信長か!」


「随分な言い様だな、まあ良いwどうだ氏規。この第六天魔王と差しで勝負だ!

 逃走せずに殿を勤める、誇り高き2千の兵には手は出さぬ。江戸幕府初代将軍として約束しよう。受けてたつ気概はあるか!!」


「将軍か。。。帝からの五か条の勅命ちょくめいも読んだ。。あの"ビラ"なる物の精巧さ、最高級品質の紙、空飛ぶ鉄箱、どれもこれも我が北条では想像もつかぬ物。。

 戦になれば勝てぬであろう事は明白。だから玄庵様も名代殿も降伏するしか無いと申していた。。。

 だがなあ先祖代々守ってきたこの相模の地を、合戦もせずに易々と受け渡す等どうしてもどうしても出来無いのだ。。。

 "2千の兵には手は出さぬ"その言葉を信じましょう。。では参る!!」


「キン!ズボッ!!」


 信長は敢えて1合だけ氏規と太刀を合わせ刀を弾き飛ばし、そのまま喉元を突き刺し貫通させた。

 刀から手を放した瞬間

 シュッポ!

 氏規を収納する。


「氏規との約束だ!誇り高き2千の兵士達よ!これから小田原へ帰還させる。

 これを玄庵公か地黄八幡・綱成殿へ渡すが良い。

 せっかく本厚木にて松田憲秀に3個は渡したのだが、本人もこの中に入る羽目になったからな。

 これを渡しながらこう言うのだ。余が氏規との約束を守り2千の兵は帰したとな。」


 信長は濃姫に大至急、首だけをエンゼルケアさせ木箱に入れていた。

 松田憲秀・松田政晴・松田康定

 遠山政景・松田康郷・大導寺政繁 ・板部岡江雪斎、他にも名のある武将6人総数13人の首級を入れた立派な木箱である。


『偶然だな。。。鎌倉○の13人ではないか。。』

 ***おいおいヤバイぞm(_ _)m


「覚えておけ、余が天御中主神あめのみなかぬしのかみ様の使徒である織田信長・征夷大将軍である!!」


 シュッポ!

 シュン!


 暗闇の小田原城下に突然、氏規配下2千の兵士が現れる。

 その内13人は両手で立派な木箱を抱えていた。。。


 ーーーーーーーーーーーー


 鎌倉○の13人


 すみませんでしたーーー


 m(_ _)m

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