第51話 北条決戦・本厚木攻防戦

 1570年10月2日 18:30


 すっかり日が落ち秋の夜が迫る頃、偵察ドローンより各方面部隊に一斉連絡が入った。


「北条先鋒・松田憲秀3万!

 本厚木織田陣地まで2km地点到着!布陣を始めております。

 陣形分かり次第、続報入れます!敵3万到着!!」


 信長

「来たか。

 信興!余は本厚木に尚輝の陣形確認に赴く。

 玉縄城の細川隊8千全軍を此処へ向かわせた。御主の旗本衆として側に置いておけ。

 中納言が1日に2度も襲撃されれば末代まで笑われるわ!それとこれだ!」


 ドン!


 信興

「はっ?!!!!!」


「なに、余からのよ。」


 1万5千が守る北側陣地・塹壕横に、安土城が置かれていた。

 装備は当然"安土城統一規格"なのでブローニングM2重機関銃や攻撃型ドローン等すべて完備している。

 勿論、濃姫のチート防御結界付与済みで。


「余は蒲生賢秀の死によって、自分がいかに甘く驕り高ぶり、増長していたかを思い知らされた。

 江戸幕府を創設したとは言え、北条の様に従わぬ勢力はまだまだおる。

 真の天下統一まで

 創造神・天御中主神あめのみなかぬしのかみ様の使徒として、もう出し惜しみはせぬ、全力を尽くすのみだ!!」


「それにしても凄いですね。。噂には聞いてましたが、実際に城が出て来るのを見ると何ともはや。。。」


「中納言!細川隊8千と共に入城せい。戦車他使用方法はAPC9部隊が熟知しておる。

 氏郷は20時になったら呼びに行け。。それまではそっとしといてやれ。励め!!」


 信興

「。。はっ!上様お気をつけて!」


 **********


 織田軍・本厚木陣地


「尚輝。布陣は順調のようだな。」


「上様!直轄APC9部隊1万2千に加え、アパッチ10機!

 オスプレイに10式戦車(改)がそれぞれ100おります故、守りに関しては万全かと。」


「ああそれだがな、もう出し惜しみは無しだ。アパッチの増援と援軍を連れて来た。」


 収納からアパッチ90機と2千のAPC9部隊を取り出す。


「中納言本隊には氏政の3万5千が夜戦を仕掛けてくる。故に2万の援軍は出せぬ。

 この2千は余が権太坂に率いて来たのだが、後詰めは松永の5千に深見城の3千があれば十分だ。

 この総数アパッチ100機とAPC9部隊1万4千で殲滅するぞ!」


 偵察ドローン

「報告!!

 北条松田憲秀3万の陣形!

 嫡男・松田政晴の8千!

 八王子街道へ迂回北上中!

 御味方右翼から横腹を突く模様!

 それを合図に

 弟・松田康定の騎馬軍団8千!

 先鋒として雪崩れ込みます!

 第2陣・与力遠山政景5千!も準備完了!

 後方500mに松田憲秀本隊9千

 以上!」


 吉川

「ラジャー!!敵軍こちらの視界にも入った!」


 信長

「小田原の風魔以外全員の乱波を封じたゆえ、此方の数を当初の8千と見ているのだろう。

 陣を敷き終え、改めて偵察して腰を抜かすぞ。」


「上様!正面・松田康定の騎馬軍団8千をアパッチ100機にて乱射。同時に10式戦車(改)50輌も進軍させます。

 右翼松田政晴8千にはAPC9部隊8千にてフルオート射撃。

 オスプレイは予定通り煙幕弾を装備し上空待機。これで宜しいですか?」


「うむ、良きに計らえ。」


 **********


 北条軍・松田憲秀本隊陣地


「御嫡男・政晴様陣より法螺貝が吹かれました!!」


 憲秀

「よし!こちらも承認合図の法螺貝を吹け!全軍突撃だ!!」


 プオォープオォーーー

 ズドドドドドドドドド!!


 総大将の合図と共に法螺貝が鳴り響く戦場。

 織田軍正面に先鋒松田康定の騎馬軍団8千、第2陣遠山政景5千の突撃が始まった!


 吉川尚輝「やれ!」

 ダダダダダダダダ!!

 ダダダダダダダダ!!


「グギャ」「ゲボッ」「ゴホッ」


 織田軍アパッチ100機からM230機関砲が乱射される。

 その地獄の弾幕で、たちまちにミンチや肉破片にされる北条騎馬軍団。


 そして全機から信長の命により

 "対戦車ミサイル・ヘルファイヤ"が発射された!


 ズドーーン!! ドカーン!!


「うわぁぁー」「ひいいいいー」「助け。。て。。。」


 正面に配置された10式戦車(改)50輌も前進しながら、主砲と機関銃を乱射している。


 すでに騎馬隊指揮官・松田康定は愛馬もろとも、ヘルファイヤ弾により肉の破片となっていた。


 アパッチ・戦車の銃撃、ミサイル攻撃は、信長の収納から随時弾薬が補填されるので止まることが無い。


 信長はこの戦いを"蒲生賢秀弔い合戦"に位置付けしたため、当初予定を変更。

 オスプレイの煙幕弾投下を一時停止させ、北条第2陣・遠山政景5千に襲いかかった。


 遠山

「何てことだ。。8千の敵を3万で包囲殲滅するのでは無かったのか?

 話が違うではないか。。。

 俺は与力だぞ、松田殿の配下では無い。撤退!!全軍撤退だ!!」


 先鋒・騎馬軍団壊滅のおぞましい光景に、その場に立ちすくんだ遠山だったが、気を取り直し戦場放棄・撤退の指示を出す。

 だが今日の織田軍がそれを許す筈が無い。。


 ダダダダダダダダ!!

 ズドーーン!! ドカーン!!


「ギイィィィ!!」

 武蔵国・元江戸城代・遠山綱景の息子、遠山政景がこの世で最後に発した声であった。


 **********


 八王子街道を北上し、織田軍右翼の横腹に回り込んだ松田政晴の8千。


 政晴

「何故だ大和の守?ほぼ同数8千が待ち構えて居るぞ?」


 大和

「はっ若君!乱波の報告が途切れて、かなりの時が経っております。援軍があったとしか思えません。。」


 しばらく思考した政晴だったが

「構わぬ法螺貝を吹くのだ。3万もの軍勢で此処まで来た。今さら退くこと等できる訳が無い。」


 大和

「殿に報告し指示を仰ぎませぬか?」


「良い!この8千は別動隊として我に一任されておる。

 どちらにしろ、ここを抜かねば武蔵多摩の氏照様救援が不可能となる。突撃あるのみだ掛かれーー!!」


「「「おおおおお!!」」」


 *****


 吉川

「APC9全員に告ぐ!この戦に限り情は捨てろ!

 足止めでは無くフルオートで撃ちまくれ!敵を抹殺する!

 これは我等が創造主、織田信長征夷大将軍からの御下知である!!撃てーーー」


 ダダダダダダダダ!!

 ダダダダダダダダ!!


 APC9部隊8千の凄まじい弾幕

 それは後の世に"鉄の暴風"と語り継がれる激しさだった。

 時間にして僅か5分足らず、松田政晴の8千に生存者は誰1人居なかった。


 **********


 19:30

 北条軍・松田憲秀本隊陣地


 パラパラパラパラパラパラ!

 オスプレイ100機からばら蒔かれる無数の煙幕弾。


 憲秀

「なんだこの黒煙は!一寸先も見えぬ!」


 小姓

「殿!夜目の効く物見部隊ですら一切報告が無くなりました。

 おそらく視力が奪われ、動きが取れないのではないかと。」


「うむぅ、下手に動くと同士討ちの危険があるな!

 皆の者!!よく聞けーー!その場を動いてはならぬ!煙が晴れるまで、留まるのだ。

 遠方にも聞こえるよう伝言で叫べーーー」


「「「承知!!!」」」


 松田憲秀の指示で何とか落ち着きを取り戻した本隊9千人。

 煙幕弾が蒔かれる前から、辺りは闇に包まれていた。


 先鋒騎馬軍団・2陣の遠山隊。

 2km遠方の嫡男・政晴別動隊8千。

 激しい戦闘音に爆薬砲弾の炎等が見えていたが、今は上空を飛び回る鉄箱のプロペラ音と、聞いたことの無い鉄がひしめく様な音(10式のキャタピラ音)のみが響くのみ。


 憲秀

『おかしい。。鉄箱が放ったであろう黒煙で物見が来ぬのは分かるが、馬の蹄音1つ聞こえないのは不自然だ!

 まさかこの短時間で8千の騎馬隊が全滅等あり得ぬが、異常事態には違いない。。』


 そして30分後、黒煙が消え始めると、突然背後から声が聞こえ

「おい松田憲秀、これを遣ろう」


「うっ!何奴!」

 振り返ったが気配諸とも消えていた。


 さらに少し時が経ち、先ほどまでの黒煙が嘘のように消え渡る。

 暗闇に慣れた目には、足元に置かれた3個の木箱が見えた。


「松明を灯せ」

 小姓が照らす松明の灯り。

 血の匂いがする木箱に、嫌な予感が浮かびながらその一つを開けて見る。

 すると中から松田政晴と書かれた札が貼られた首級が。。。


「うごおぉぉ!!政晴ぅぅ」


 嫡男の首級を抱き抱え嗚咽を漏らす憲秀。。

 他の武将達が残り二つを開けるのと同時に、大勢の驚嘆の声が聞こえてくる。


「し、し、城だーーー」

「城が、城が出て来た!!!」

「そんな馬鹿な。。。」

「小田原よりでかい巨大城。。」

「夢か。。夢なのか???」

「お、おい!あれを見ろ!!」

「ぎゃあ!!"錦の御旗"」

「まずいぞ。。あれを攻めてみろ!俺たちは賊軍にされてしまう。」


 目映いばかりのライトに照され、目の前に紛れもなく鎮座する安土城。

 その巨大な威容に圧倒され、立ち尽くす北条兵士達の心を折るかのようにスポットライトの先に浮かぶ"錦の御旗"!!


 そして正面、左右を見ると10式戦車100輌・1万4千のAPC9部隊に完全包囲されている。

 退路の後方を振り返ると、上空にはアパッチとオスプレイが100機ずつ浮かんでいた。


「おのれ、信長ぁぁぁ!!!」

 息子の首級を抱え憲秀が歯を食い縛りながらうめく。


 そこに安土城最上階から、黄櫨染のスリーピーススーツとマントを羽織った信長が姿を見せた。


「北条の兵士達よ!死にたければ掛かって参れ。」


 特性大音量拡声器で威圧する。


「ここで降伏する者は、余を征夷大将軍と認め服従するという事だ!余も将軍ゆえ大人しく従う者には、今後の生活に不自由はさせぬ。

 が、しかし扶持は織田金貨にて支払うゆえ、土地の所有は認めぬ!それが承服出来ぬ者は余が直々に相手してやろう。」


 シュン!

 約40mの安土城天守閣から一気に飛び下り着地する。


「「「うわ!飛び下りた」」」

「「「人じゃないぞ!!」」」


 1人仁王立ちしている信長の圧迫感に圧され、ずるずると後退りする北条兵士達。


「松田憲秀前に出てこい!服従するか戦うか好きな道を選べ。戦うならば余と差しで勝負だ!どうする?」


 ざわざわと北条兵達がざわつき出し、やがて左右二手に別れ道が出来る。

 その奥から血走った目で信長を睨み付けながら、松田憲秀が歩んでくる。


 上空に浮かぶアパッチ・オスプレイ空軍からも、地上を煌々と照らすライトが浴びせられ、20:00過ぎた戦場が昼間のように明るくなった。


「ほお、その目付きは服従する者の態度では無いな。」


「あたり前だが!!お前が将軍等とは片腹痛いわ!息子と弟の仇だ!!!」


 手にした槍を振るいながら信長に突進する憲秀。だがその槍が届く事は無く


「キン!ズバッ!!」


 信長の鋭い踏み込みの横払いで槍を弾かれ、前のめりに体勢が崩れたところに、左斜めからの上段斬りが入る。

 憲秀の身体は頭の天辺から前後に二等分され、二体となり倒れ伏した。


 その時偵察ドローンの緊急音が鳴り響く!


「ブーーーブーーーヒューヒューヒューヒュー!!!」

「北条氏政が3万5千20:15フタマルイチゴー相模川を全員渡り終えました。現在小休止中!進軍始めましたら再度報告致します。」


 姿は見えないが上空からの詳細な報告を聞いて、自軍が丸裸にされていると悟った北条の兵士達。

 しかも目の前で大将・松田憲秀が、信長との立ち会いで真っ二つに斬られ、もう勝てる訳がないと意気消沈する。


「なんということ。。筒抜けじゃないか!」

「動きが知られてるのか。。」

「殿が御大将が危ない!!」


 それでも何人かの武将が氏政の危機に駆け付けようと、敵総大将・信長に刃を向けた。


「ガン!ビッュ!ズシャ!スパッ!」


 一瞬で6人を葬った第六天魔王


「手応えなし!尚輝!後は任せた。

 降伏するものは捕縛!歯向かう者は撃ち殺して構わん!

 余は氏政が首級取ってくる!」


「はっ!上様、御武運を!」


 ここに織田・北条・本厚木攻防戦は幕を閉じた。


 北条家の被害は甚大で


【松田憲秀部隊30,000人】


 松田政晴・別動隊8千 全滅

 松田康定・騎馬軍団8千 全滅

 遠山政景・第2陣5千 全滅

 死者 21,000人

 捕虜 9,000人


 松田憲秀・総大将・討ち死に

 松田政晴・憲秀嫡男・討ち死に

 松田康定・憲秀実弟・討ち死に

 遠山政景・北条重臣・討ち死に


 ーーーーーーーーーーーー


 30,000人中 21,000人が討ち死にというのは、感覚的には全滅に等しい甚大な被害です。


 対策の打ちようがない空軍の存在。

 この圧倒的アドバンテージで北米大陸とオーストラリアは、絶体に手に入れるつもりの信長さんですので、応援の★★★♡宜しくお願いします。


 m(_ _)m



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