第31話 金ケ崎城攻め②若狭武田家


1570年6月10日 8:50


越前金ケ崎城


菅野第2軍団長

「砲撃よーーい!って!!!」

1,000門のバズーカ砲が火を吹く

そのけたたましく鳴り響く爆音!

激しく吹き上がる炎!土砂や土煙!砂嵐のように視界がゼロになる。


「砲撃やめーーーい!!」


しばらくして煙が晴れ視界が戻った先に見えたものは。。。

瓦礫・木屑・先ほどまで人間だったかの様な肉片、足首、腕らしき物。。。

金ケ崎城・城門は呆気なく崩れ落ち、両隣の塀も跡形も無い。


「。。。これは。。。。。」


「ええーーい何をしている右衛門尉佐久間信盛、前面ガラ空きだ!!突っ込まぬか!!!」


「はっ!!!」

主君信長の大声に我に返った


「ワシとした事が。。者共突撃だーー!!!」


「「「おおおおおーーー」」」


佐久間信盛隊1万5千が我先にと城内へ乱入して行く。


一方菅野第2軍団9千のAPC9マシンガン部隊5百人。

セミオートにして朝倉家の武将や指揮官らしき者を優先的に狙い射つ。


次々と倒れていく朝倉の武将達。

逃げ惑う足軽兵士の足元前面には、

8千5百のAPC9がフルオートで弾幕を張る。

それにより逃走方向を佐久間隊方面に誘導されているのだ。


「ここが手柄の稼ぎ時よーー」


「斬って斬って斬りまくれ!!」


「1人も逃がすなよーー」


「朝倉義景はどこだーー!!」


「間違っても殺すなよ!!」


「殺したら殿に殺されるぞ!」


「ん?なんだそれ?」


佐久間軍15,000

朝倉軍2,000


城門も塀も吹き飛ばす凄まじい砲撃に、完膚なきまでに心が折られ丸裸状態の朝倉軍兵士達。


APC9のフルオートで弾幕を張られ、逃げ出す事すら叶わないと悟った時、絶望で腰から崩れ落ちた。。。

その首級を狙い殺到してくる織田家・佐久間部隊!!


刀槍等の武器を捨て両手を挙げて降伏投降する朝倉の兵士達。

気がついたら生存者は500人を切っていた。。。


佐久間

「攻撃やめーーーい!!武器を捨て投降した者は捕縛せい!!」


筆頭家老・佐久間信盛の命により戦闘は終了。後ろ手にされ手錠と足枷(信長提供)で拘束される朝倉兵。

縄で縛るより1/10の時間短縮となり、人力では絶体破れない枷に武力解除があっという間に終わった。


そして佐久間配下の武将達が2人の男を引っ立てて来る。

「殿!捕らえまして御座います。」


佐久間

「ご苦労!!」


家臣

「はっ!なお両名を捕える際に投降の呼び掛けに応じず、近習の者数名と手槍にて応戦してくる武将あり!やむ無く討ち取りましたが、金ケ崎城主・朝倉景恒との事に御座います。」


佐久間

「うむ!天晴れじゃ!首級を持ってそなたの手柄とせい!」


「はっ!有り難き幸せ!」


そして


「某は織田家・家老佐久間信盛と申す。朝倉義景殿に武田元明殿とお見受け致す。」


義景

「筆頭家老佐久間殿か。。。如何にも某が朝倉家当主・朝倉義景である。」


武田元明

「。。武田。。。元明です。。。。。」


信盛

「主より丁重にお迎えせよとの命にて、御同行お願い致しまする。」


佐久間兵に取り囲まれ信長本陣まで歩く2人。

そこへ信長本人が自らやって来た。


佐久間

「殿!!本陣に向かっておるところ自らお出座しとは、恐縮に御座います。」


信長

「構わん!それより右衛門尉佐久間信盛!此度の金ケ崎城攻め!

投降した者に対し無闇やたらな殺生を禁じ、捕縛の指示を迅速に出した!

そちの指揮官ぶり誠に天晴れ!!

織田家筆頭家老の名に恥じぬ働き見事である!!

皆の者も良く聞けい!!これこそが名武将たる者!皆も手本にするのだぞ!

佐久間信盛!大義であった!!」


そう言うと信長は差していた脇差しを

佐久間へと下賜かしする。


「「「おおおおおーーー」」」


信長が刀剣収集家である事は家臣の間でも広く知れ渡っており、恩賞で下賜される事は無い。

ましてや戦場にて使う脇差し等は、いざという時に自らを守る武器であり、

文字通り"武士の魂"と認識される一品。


そんな主人の分身とも言える品を、家臣や敵将の見守る中で下げ渡される栄誉!!

佐久間信盛は震える両手で涙ぐみながら恭しく受け取った。


「はっ!ははあーーー。。。」

人間、心から感動すると言葉が出てこない様である。


『帰蝶に言われた事を実行したまでなのだが、まさかこれ程の効果とは。。。

和真が良く使っておる"引く"という言葉の意味が分かるのう。

余は今、若干"引いておる"。』


"家臣にしっかりと言葉と態度で感謝の意を伝える"

日頃から濃姫にくどい程、諭されている第六天魔王。

新生・織田信長は鬼に金棒の処世術を獲得したようだ。まだスキルとしては芽生えてないがw


朝倉

『ほお苛烈で荒く野卑なる気性と聞いておったが。。。この場での恩賞の与えかた揺さぶる様な言葉選び。。。

家臣等の心を一瞬で掴みおった。。。

人の噂はあてにならぬものよ。。。』


武田

『怖い。。首が。。首がスパッ。。』


信長

「朝倉義景に武田元明だな!両名の手錠と足枷を外せ!!」


小姓

「はっ!!宜しいのですか?」


「よい!佐久間が武装解除したのだ。大事には至らぬ。」


信長の命で拘束を解かれた2人。

そこに信長は"マジックリュック"からおもむろに椅子とテーブルを出す。


「なっ!!!!!」


「ひぃーー怪しの術!!!」


驚愕する朝倉・武田の名門大名


「突っ立てないで腰掛けたらどうだ。」


先に自らが座り2人に促す。


「美味いぞこれはお茶とも合う。」


リュックから今度はフルーツタルトケーキをホールで出し、小姓に4等分に切らせ皿に移す。


2リットルのペットボトルから、午後の紅茶レモンティーをグラスに注がせる。


「好きなものを先に選べ」


毒など入っていないとアピールする信長。


右衛門尉佐久間信盛何時まで跪いておる!ここに座らぬか!」


いまだに感動が解けず震えている佐久間を、隣の椅子に招く。

それぞれが自分の分を先に取ると、最後に残った物を引き寄せ一気に午後ティーを飲み干す信長。


「ふぅー美味いぞ、もう一杯くれ。」

小姓に命じると、フォークでケーキを口に運ぶ。

これも毒では無いというアピール。


朝倉

「この美しい物は食べ物なのですな?」


武田

「。。。怪しだ、、、でも綺麗だ、、」


佐久間

「これは!!正月のお年玉で食した伴天連由来の品々!!また食せるとは!有り難たや~」


ケーキを拝み出した佐久間


「なんだ!こんな美味い物いらぬのか?なら余が貰うが?」


「「「パクッ」」」


信長の手からケーキを守る様に、すぐさま口に運ぶ3人の武将。


「!!!!!なんと!!」

「怪し!!怪し!!怪しもっと欲しい!!」

「これじゃこれじゃ!何度食うても美味すぎる!天上の味じゃ!」


「ふん!であるか!」

『あっ!思わす出た!"であるか"帰蝶に禁じられておるに。。』


朝倉

「織田信長殿。この飲食物の美味さも去ることながら、これらを取り出したる黒い袋はいったい?」


「伴天連由来の品だ、詮索は無用である。

して本題に入るが宜しいか?」


「。。気遣い忝なく。敗軍の将の我に拒否など御座りませぬゆえ、気の召すままに。」


「武田の若君。。。では無いか。。一乗谷に囚われの身とは言え当主であったな。

まずは御主の若狭国の事だ!」


生まれて初めて食べるケーキの美味さに我を忘れ、一心不乱に食べている元明だったが、流石に自分の国の名称に


「若狭国の事ですか?」


「そうだ!!既に余の別動隊5万5千を差し向け、小浜の後瀬山城と守護館を取り囲んでおる。」


「「なんと!!」」

2人同時に声をあげる!


「ほお武田は分かるが気になるようだな朝倉義景!だが心配ないぞ。今はなw。。。

若狭守護・元明を人質として、若狭国を支配下に置いていた御主の小浜軍勢2千!!

別動隊5万5千の兵数を知り、昨日小浜より逃亡!!

今は美浜の海岸沿いに身を隠している。」


「。。美浜に。。。そこまで御存知とは。。」


「先ほど余の配下が2万で小浜を出た!これから余も若狭国へ向かう。

さしずめ美浜で挟撃となろうな。。」


それを聞いた朝倉義景は椅子を立ち、信長に向かい土下座をした。


「畏れ入りまして御座います。その2千の兵、みな某の信任厚きもの達!

この金ケ崎にて投降した兵も含め某の首級を持って、何卒何卒御慈悲を頂戴致したく、お頼み申し上げまする。」


「ふん!その殊勝な態度。

浅井との連合軍28,000にて、余を討ち取ろうとする前に見たかったぞ義景!!」


「ごもっとも。。。。。」


土下座したままの朝倉義景を放置して武田元明に向き直る


「まあ良い、元明よお前はどうしたい?」


「。。某が生まれ育った若狭国。

一乗谷にてを受け2年になりますが、小浜の海と山、穏やかな人々の事。。1日足りとも忘れた事は御座いませぬ。。

叶うならば死ぬ前にもう一度、あの景色を見とう御座います。さすればもう思い残す事は有りませぬ。。。」

そう言うと椅子を立ち、義景の隣で土下座をした。


「。。佐久間。。。余は元明にお前はどうしたい?と聞いたよな?」


「はっ!仰せの通りにて。」


「これから首を刎ねる奴に、そんな事を聞くと思うか?」


「いえ、あり得ませぬ。

以前の殿ならば敵方の大将に、こんな美味い物を与える事もあり得ませんでした。」


「。。。おい信盛。。。その脇差し召し上げられたいのか!」


すると佐久間信盛まで椅子を立ち上がり、元明の隣に深々と土下座をする。


「殿!!差し出がましい口を挟み申し訳御座いませんでした。何卒お許し下さいませ。。」


信長「。。。。。」


先ほどまで金ケ崎城攻防戦において敵方の大将と、先鋒を勤めた織田家筆頭家老。

真ん中に若狭国当主を挟み、3人の戦国武将が見事な土下座を決めている。


「御主ら3人。。余を殺人鬼か何かと勘違いしておるのか!もう良いわ!

これから直ぐに若狭国へ立つ!

松永久秀!本陣から1万を率い朝倉・武田両名を引き連れ先陣を務めよ!」


「はっ!行軍の先陣!しかと務めまする!」


「励め!!

菅野!御主の1万、APC9を装着し久秀の指揮下に入り共に先陣を務めよ!

久秀!余の直轄部隊の指揮を許す!」


「はっ!重ね重ねの栄誉!有り難く賜りまする。では菅野殿、直ぐに軍勢を整えましょう。」


「はっ!松永殿、宜しくお願い致します!」


「義景・元明!そういう事だ。

戦後処理は小浜にて話す。

切腹等申し付けん!それより美浜に到着したら朝倉兵2千の武装解除をしろ。

仕掛けて来たら容赦はせんぞ、速やかに遂行するのだ!」


「はっ!この朝倉義景。織田信長様の御恩、生涯かけて返しまする。」


「良い!佐久間信盛率いる1万5千。

この金ケ崎城周辺地域の治安維持の役目を授ける。

敦賀に緊急用桟橋を1本出し、沖合いに浮かんでおる阿部第5軍団長の兵1万を下船させる。

佐久間の指揮下に置き2万5千にて1ヶ月で安定させ、北近江までの安全を確保せよ!励め!!」


「はっ!殿から下賜されたこの脇差しと共に励みまする!!」


「。。あっああ~励め。。」


ようやく土下座を止め立ち上がり、両手で脇差しを丁寧に持ち懐に仕舞い込む佐久間。


「ふっ脇差しを仕舞い込むとはwwまあ良い。

第2陣は前田利家!御主の1万だ!先陣に事が起これば直ぐさま援護せい!」


「はっ!前方左右くまなく目配りして進軍致します!」


「吉川尚輝!第8軍団1万で殿しんがりを務めよ!

まあ敗戦の退却では無い故、殿と言うより最後尾だがなw

まだ武装を解かぬ小集団がおるやも知れぬ。油断せず励め!!」


「はっ!最後尾にて織田軍勢の行軍!しかとお守り致します!!」


「織田信興・蒲生賢秀・蒲生氏郷・細川藤孝は余の本隊2万と共に行軍する。

いざ事が起これば5千ずつ4部隊構成にて本陣を組む。心してかかれ!!」


「「「御意!!」」」


こうして越前国・敦賀金ケ崎城地域の平定を佐久間信盛に任せた信長。

6万の軍勢を率い既に事実上、軍事力皆無となった若狭国へと軍事侵攻していくのである。

若狭武田家第9代当主・武田元明を引き連れて。


当の武田元明は

「怪しもっと欲しい。。。」

とても優秀な織田家の傀儡かいらいとして使えそうです。。。

もちろん直ぐに織田信長の子供を養子に入れ、武田家を乗っ取るまでですが。。。


ーーーーーーーーーーーー


【第2章 無事終了です。】


朝倉義景を捕らえ越前平定した織田信長。

これで"金ケ崎の退き口"という織田家、懸念事項の1つは完全に消滅しました。


"比叡山延暦寺"

"石山本願寺"

"浅井朝倉連合軍"


史実より圧倒的に早く、次々と壊滅に追い込んだ織田信長。


この迅速な動きで

室町幕府15代将軍・足利義昭の信長包囲網は完全に崩れさり、織田家の倒幕に向けた本格的動きが加速する事になります。


齟齬が出ないように色々細かい調べ事などもあるので、第3章スタートには1週間ほど時間を下さい。

武田信玄の動きも早く描きたいんですが、やはり室町幕府が先かな~?


まっ連動させて一緒でも良いけど、四国もほったらかしだしw


読者皆様のご理解と応援★★★♡があるから創作意欲も高まりますので、長い目で見守って下さい。

宜しくお願いします。

m(_ _)m

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