第37話 織田・徳川・武田、調印式

1570年9月29日 11:30


遠江沖合い・浮島型東京ドーム


竹中半兵衛

「ではこれにて織田・徳川・武田による調印式を終了致します。

平和への道筋が着きました事をここに祝し、ささやかでは御座いますが、昼食の用意を整えておりまする。

徳川家・武田家の皆様。織田の者が案内致しますのでどうぞこちらへ。」


織田信長・徳川家康・馬場信春(武田信玄名代)

3人と共の者がそれぞれ5人ずつ。計18名が昼食会場のレストランに入っていった。


*****


朝10時から行われた三国調印式


本日の議題

駿河国・遠江国の扱いについて


駿河国問題は武田家が速やかに撤退したことにより、三者三様ではあるが円満に解決した。


特に武田家の馬場信春と内藤昌豊は、前日・女神カトリーヌから"SPさん"さんと呼ばれていた大男が、信長では無いかとの疑問を率直にぶつけたが

「他人の空似であろう詮索は無用だ!それに今日の議題とは無関係である!!」

と強く言われ、それ以上聞けなかった。


【駿河国取扱い】

1570年10月1日より織田家領地として三国(織・徳・武)で合意した。


【遠江国取扱い】

争点になったのは遠江の問題。

徳川家が主張する前年1569年2月に、遠江支配権は徳川家にある。

武田家との間で起請文を交わしているので、今更議題になる事はあり得ぬ。

常に織田家には従属的立場の家康も、ここは譲らなかった。


武田家も確かに武田・徳川で交わした文書が存在するとそれに同調。


この会談の為、信長に同行していた織田家筆頭家老・佐久間信盛は、織田が預かり知らぬ両家起請文の存在は無効である。

ましてや遠江守護・斯波武衛家を蔑ろにする等、室町幕府を軽んじるつもりか?と譲らない。


将軍・足利義昭と個人的繋がりが深い主・武田信玄の事を考えた馬場は、駿河を撤退する以上この遠江に関して武田家は感知しないと宣言!

事実上、織田信長・徳川家康の問題となった。


それでも頑として譲らない家康に対して、信長の鋭い指摘が炸裂し追い詰められる家康と、後悔先に立たずの徳川家臣団。。


「ほおそうか!御主はいつからそんな恩知らずになったのだ!!

今は浜松城と名乗っておる曳馬城だが、拡張工事の間に駿河の武田勢牽制の為、この東京ドームと約2万の軍勢をで貸し出した。でな。」


家康

「ぐぅ!!。。。。。(汗)」


信長

「馬場殿、武田方から見てこの浮島東京ドームの存在どうであった?」


馬場

「はっ!仰せのとおり!

戦力を計ろうと一当てしたのですが、白い浮島から放たれる砲撃の脅威、大男達が放つ種子島より遥かに強力な射撃!

当家ではこの浮島をと呼び、が居る間は遠江に手出し無用と、御館様直々の命が発せられた次第にて。」


家康

『余計な事を。。。。。』


信長

「うむ、そうであろう。

一昨年末、秋山虎繁の信濃勢に遠江北部を取られた徳川家。

2度とこのような事が起きぬ様、助ける腹積もりでもあったのだが。。。

余との強い同盟関係において、を守る事は当たり前だと思っていた。。。余が甘かったようだな。。。」


家康

『不味い、、不味いぞ、、、』


信長

「あいわかった!殿残念だ!本日をもって織田徳川同盟は無き物とする。である。

矢作川城から余の嫡男"信忠"が岡崎へ"挨拶"に行く事になろう。

10万の兵を持たせてやるか!!


同時に駿河から余も10万の兵で高天神城へ挨拶に伺おうと思うておる。


浜松城には空からも、この東京ドームからもが降り注ぐであろう。

急ぎ接待の準備をするがよい。

半兵衛!!お帰りじゃ!!」


家康は事の重大さと徳川家滅亡の危機に即座に対応する。


「あいや待たれい!いえ御待ち下さりませ織田信長様。

最近、岡崎城やら浜松城やら引っ越し等も重なり、恥ずかしながらこの家康、東京ドーム並びに織田様の兵2万の無償供与への返礼、何が宜しいか連日思考しておりまするが、今日まで答えが出ずほとほと困り果てておりました。」


凍り付いた表情を変えない信長!


「ですがたった今、思いつきまして御座います。此度の斯波武衛家復活の御祝いを兼ね、この遠江国を守護職を勤める斯波武衛家にお返ししとう御座いまする。」


信長

「ほお、殿。斯波家復活の御祝いとな?」


家康

「さ、左様で御座います。。(汗)」


「これは異な事をもうされる。

遠江の守護はその昔から、幕府・朝廷において斯波武衛家と認定されておる。

それを横領していた今川義元を討ったのは余である。

これからも斯波の領地を横領する輩は余が討つ!!

御祝いも何も徳川家は速やかに三河へ撤退するのが御正道かと思いまするが如何か?」


「ご、ごもっとも!!」


「うむ左様か。もっともであるか。余との仲だ!話せば分かると信じておったぞ!」


「はっ!十分理解しておりまする。」


「よし!では徳川家の遠江から三河への撤退期限は1ヶ月後の1570年10月31日迄とする。

但し浜松城・高天神城等の改築で相当額の出費を徳川家が負担している。

これは全て斯波武衛家が支払う物とする。

がしかし、斯波家も復活したばかりで財政状況は甚だ厳しい。

故にする事になる。

徳川家の方々も織田家兵士2万とこの東京ドーム等、気にせず撤退準備に専念してほしい。

今までの改築費用はこのが全責任を持ってに成り代わり故、安心して撤退されたし!!」


一言ごとに追い詰められていく家康に逃げ場は無い。

酒井・大久保等内政に長けた5人の徳川家臣達も、信長にしてやられたと今更ながら無償提供に後悔している。。。後の祭りのである。


「あいや再び再び御待ち下され!!

遠江における城の改築費用!織田信長様が負担する等、言語道断で御座いますれば!

後付けの物言いで誠に申し訳ござりませぬが、2万の兵と東京ドームの無償提供の返礼として、何卒何卒、この家康に支払わせて下さいませ!!」


「いやそれは無らぬ!余が無理やり徳川家に押し付けてるようで釈然とせぬ!」


「何をもうされますか!武田家の馬場殿も、浮島と織田兵が居ったからこそ、遠江侵攻を躊躇っていたと。

なっそうであろう馬場殿!」


「如何にも。御館様と山県に勝。。。。こっ高坂の軍勢が高天神へ、秋山が北から浜松を目指す。某の軍は徳川殿の本拠地三河に雪崩れ込む。そのような絵が既に仕上がって準備をしておりました。」


家康

「なっ!!なんと!岡崎まで。。。」


信長『流石は信玄公、家康も危なかったな。。』

「で、あるか!」


家康

「危うく今頃は"あの世"からこの会談を、眺めておるところだったか。。。

やはり徳川はこの浮島に救われたのですな。。

織田様、聞いての通りに御座いますれば!どうかこの家康が願い浜松・高天神・改築費用は徳川で持ちまする。

それでも足らぬとは存じまするが、無償提供の返礼としてお受け取り下さいませ。」


信長

「あいわかった!これ以上の問答は徳川の顔を潰す事になる。

尾張・越前・遠江守護・斯波武衛家15代当主・斯波義銀様もお喜びであろう。」


家康

「はっ!有り難き幸せどうぞ守護様にも宜しくお伝え下さいませ。」


*****


浮島型東京ドームにあるレストラン

その名の通り上座・下座関係無い6人掛け丸テーブル(中華のように回転はしない)


織田信長・佐久間信盛

徳川家康・酒井忠次

馬場信春・内藤昌豊


6人が同じテーブルに案内される。


信長

「先ずは調印式も無事に終わり、徳川家・武田家には感謝しておる。礼を申す。」

立ち上がり軽く頭を下げる織田信長!


「ぐっ!」「えっ!」

「はっ!」「ぎょ!」


同席している5人も慌てて立ち上がる。


特に驚いたのは、何度も信長と会っている徳川家の2人

徳川

「そ、そんな我なんぞに頭を下げるとは。。。」

酒井

「お、お許し下さい。。。」


信長

「。。。佐久間、余は"礼を申す"と言ったはずだが?なぜこの2人は。。特に酒井殿お許し下さいとは?何かしたのか?」


酒井

「ひいい!!いや。。失礼致しまして御座いまする。。。」


気不味い中、絶妙のタイミングで声がかかる。

「さあ皆様先ずは乾杯と行きましょう。」

昼食会の進行を務めるのは、今日のために特別に呼ばれたこの人

「私は織田家・広報室室長兼なんでも屋の浅野翔吾と申します!

三国調印式の成功を祝って、織田信長様から一言乾杯の音頭をお願いいたします。」


「むう皆の者、大義であった!今日は美味い料理に極上の酒等も数多く用意してある。存分に堪能しこの日を祝おうではないか!乾杯ーーー」


「「「か、かんぱーーーぃ?」」」


信長と佐久間が立ち上がったまま、生ビールジョッキを軽く合わせた。

まだ乾杯の文化など無い戦国時代。初めて見る"しきたり"?を見よう見真似でジョッキを合わせる徳川・武田の一同。


馬場

「うっ!!こ、これは!」

内藤

「喉がはじけておる!!美味い」


「どうだ家康、乾杯もその生ビールも、なかなか良いものだろう。」

と言いながら家康とジョッキを合わせる信長。


「驚きです!この生ビールの苦味と爽やかさは癖になりまする。」


浅野

「みなさーん乾杯の生ビールはお代わりもありますが、今日は料理に合わせ他にも色々な酒を用意しています。是非それを味わってみて下さい。」


刺身に始まり火を通したホタテ・海老・牡蠣・蟹等が次々と出てくる(季節無視w)


ハイボールを飲みながら、シラスとチーズをたっぷり使ったピッツァに心を奪われる馬場信春。


A5ランク松阪牛のローストビーフに、赤ワインで止めを刺された酒井忠次。


出汁がたっぷり染みた海鮮鍋と、濁りの無い清酒の熱燗で天国気分の内藤昌豊。


八海山の冷酒を急ピッチで仕込みw早くも締めの鰻重をガツガツかっこむ徳川の大将


見たことも無い料理や酒に皆さん、すっかり骨抜きにされたようです。


最後のデザートは信長・帰蝶がまだ織田一族以外には出してない、"くちどけスッと爽快"でお馴染みの微細氷入りバニラアイス!!


「「「おおおおおおー」」」


酔い醒ましにも持ってこいのアイスに皆さん昇天しました。


徳川、武田は撤退を強いられましたが平和って良いですね!!

不満が出ないように仕上げが肝心!

そこは織田信長お土産を用意してるようで。。。


また明日 m(_ _)m


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