第36話 武田信玄駿河撤退
1570年9月29日 7:00
武田信玄8,000の軍勢は昨日22:40に駿河国境を越え、穴山梅雪の領地、甲斐国・南巨摩郡万沢(今の晴海展望台付近)の山中で夜を明かした。
約27kmの距離だが上り坂の山道、10時間をかけて駿河と甲斐の国境を何とか越えられた。
山越え強行軍であったが、土地に詳しい穴山勢500人の案内のお陰で、危険な夜の山道を登りきる事が出来たのである。
穴山
「御館様。南部の宿場迄ここから10kmほどですが、もう下り坂なので昨日の苦労はありませぬ。」
信玄
「ああ梅雪、案内ご苦労だった。危険な夜の山道をこの大軍勢での行軍。無事に一晩明かせたのは御主のお陰だ、大義である。」
その時
ピカッ!!!!!!!!!
真っ白な神々しい光
山県
「来ましたな!!」
武田信廉
「女神ドクターカトリーヌ様♡!!」
穴山
「出た!ひいいいい。。。」
信長(SPさん)
「ほお、無事に国境を越えた様だな。」
濃姫(女神ドクターカトリーヌ)
「おはようございます。信玄公、痛みはどうですか?」
「はい、女神様のおかげでだいぶ良くなりました。多少ズキズキはしますが、歩くのに支障はありませぬ。」
「そうですか予後良好のようでほっとしました。では包帯を外し傷口を消毒後、新しい包帯に交換致しましょう。
"SPさん"念のため信玄公に"マウスピース"をお渡しください。」
「うむ!これを噛み締めてくれるか。」
信長(SPさん)が歯の保護のためにマウスピースを信玄公に手渡す。
治療中に信玄が痛みで歯を噛み締めた時に、奥歯等が痛まぬよう濃姫の細かい心遣いである。
「?はてこれは?どうすれば良いのですかな?」
「ああ、こうやって口の中にいれ上の歯に装着し、下の歯でゆっくり噛み合わせるんだ。」
信長は予備のマウスピースを実際に使いながら、親切丁寧に信玄公に使い方をレクチャーする。
「なるほど、これは良き物ですなあ。歯を守ってくれる訳ですか。誠に素晴らしき御心遣い。」
その間も濃姫は、てきぱきと鮮やかな手つきで包帯を外しガーゼを取る。
「良かった!出血は止まってますね。これでもう安心です。では消毒しますけど、かなり染みるので我慢して下さい。」
剥き出しになった切断面に消毒液をかける濃姫。
「うっ!!ぐぅぅぅ」
耐える信玄!本当にキツそうですが、早速マウスピースが効力を発揮したみたいです。
「御館様!!」「兄上!!」
「殿!御辛抱下され!!」
消毒した切断面に超強力抗生物質を塗り、新しく取り出した清潔なガーゼを当て、包帯も新品を巻く。
「では昨日の薬を飲みましょう。それとは別にこれは造血剤と言って、失った血を補う為の新しい血を作る手伝いをする薬です。かなり苦いですが今日と明日の2日間飲んで下さい。」
「忝ない。では」
薬を飲み干す信玄。僅かに残っていた痛みが、みるみる内に消えて行くのがわかる。
「ああ~奇跡としか言いようが無い。カトリーヌ様、貴女様は紛れも無く女神様で御座います。
躑躅ヶ崎館に着きましたら先ずは治療費として、今あるだけの甲州金貨をお渡し致します。
そしてこの御恩に報いる為には何をすれば良いのか、この信玄に申し付け下さりませ。
武田家の全力を持って努力致す所存!何卒宜しくお願い奉りまする。」
正座をし濃姫に頭を下げる武田信玄。
「その話はまた何れ。今は治療回復に専念致しましょう。
回復といえば薬だけでは無く栄養、つまり食事が最も大切です。SPさん。」
濃姫との打合せ通り、信長はマジックリュックから、
レバニラ炒め丼と具沢山豚汁を取り出す。
真田
「うわ!今日は食べ物が出た!」
小山田
「うーーんいい匂いだ」
濃姫
「さあこれを食べましょう。鉄分が豊富ですので今の信玄公には最も相応しい食べ物です。
左手だけで食べやすいように、丼にしてレンゲをお持ちしました。小姓の方、食事介助をお願いします。」
濃姫は
レバニラ炒め丼は、昼も必ず食べる様にと、小姓に余分に渡す。
ぐぅーーーーー
ぎゅーーーーー
信玄本陣にいる重臣達の腹が盛大に鳴る。。。
信長
「ははは腹の虫は正直だな!ほれ。」
暖かいレバニラ炒め丼を500パック出すと皆が群がってきた。
信長
「あいにくこれしか無い。8千人には全然足らないが、悪く思うなよ。その代わり道を広くしてやる。」
ドーン
大型ブルトーザが1台出てくる。
「「「。。。。。。」」」
もう驚き過ぎて喋る者は誰もいない武田軍。
だが、口はしっかりモグモグ動き、レバニラ丼を頬張っていた。
「いくぞ女神カトリーヌ!」
「はい!では今日はこれで失礼します。傷口は順調に塞がりかけてますので、薬で痛みもだいぶ緩和される事でしょう。
明朝もこの時間に治療に参りますので、昼も夜も忘れずに薬を飲んで下さいね、では。」
濃姫をブルトーザの助手席に乗せ、南部宿場へ向け道を切り開く信長。
「どんなチート錬金術を使ったのですか?」
「ああ前方に幅4mのレーザービーム・スライスカッターが付いてるだけだ!」
「だけだ!って。。。」
「どんな岩や木でもスライスする。切った物は収納にどんどん入れる。正直カッター無しでも収納は出来るが、武田軍が見ているからなw。
それっぽくしとかないと、後から質問責めにあう。
帰蝶、後ろを見てみろ。」
振り返る濃姫
「まあ!!!凄い。。。道路が出来てますよ。。。。。」
「ふっ敵国内に堂々と道を作れる機会なんて滅多にないぞw鑑定してみてくれ。」
「はい!!1,2m山道が4,5m道路と出ています。約4倍弱の道幅ですね。」
「ああ信玄も早く甲府に帰れて嬉しいだろw
それと防御結界を付与してくれ。この道は今後織田幕府軍も頻繁に使う事になるからな。よし!スピードを上げるぞ!!」
「はい殿」
信長操縦のチートスーパーブルトーザは時速を40kmに上げ、木や岩、土等をどんどん収納していく。
濃姫もチート防御結界付与により、強力に圧縮され固められた壊れない道路に仕上げていく。
「もう軍勢は追い付けない、カッターは飾りで収納だけで進む!!」
少しだけ本気を出した織田信長!!南部宿場までの約10kmの下り坂。
僅か10分ちょいで横幅4,5mの立派な道路を作りました。
「後ろから行軍してくる武田の軍勢、今頃さぞかし驚いていますわよw」
「ああ。昨日のオスプレイとアパッチの攻撃で、織田には勝てんと認めたわけだ。だからこそ駿河国からの撤退を選んだ。
そして更に帰蝶の医療行為と、この道路普請。
戦とは違う内政面でも、この世の物とは思えん行為を連日見せられた。
余が信玄であれば織田に臣従し、政策を受け入れるしか生き残る道はないと考えるがな。」
「最後はこの間話した切り札を使いましょう。」
「甲府盆地特有の風土病、日本住血吸虫症か。」
「はい。あれは酷うございます。約400年後の日本でやっと絶滅出来た恐ろしい病。
武田との経緯に関係無く、すぐにでも根本的解決案を提示したいですね。」
「ああ、信玄が躑躅ヶ崎館に着いて落ち着いたら、治療の際に話を切り出そう。
実際に現在患っている患者を救えば、もう織田には、いや女神カトリーヌには逆らえまいw」
「どうしてカトリーヌなのですか?」
「。。。よし!次は馬場美濃守に会ってくるか!」
「まったく殿方というのは。。。この間から映画のDVDをよく御覧でしたね?」
「ん?。。。そうだったかな?。。。(汗)」
「どうせカトリーヌ・ドヌーブ主演の昼顔でも見たのでしょう?」
「。。。行くぞ!!(汗)」
シュン!
遠江沖合いに浮かぶ"浮島型東京ドーム"へ向かい消えて行った。
甲斐の山から遠江の海ですか?カトリーヌ・ドヌーブのDVDですか?
殿方というのは。。。忙しい事です。。。。。
ーーーーーーーーーーーー
やはり山梨県といえば日本住血吸虫症が思い浮かびますね。
作者がこれを知ったのはテレビのニュースや新聞等ではなく、"なろう"の歴史小説でしたねw
凄く痛ましい症状等を詳細に描かれてました。
未知の物って戦国時代に限らず怖いですよね。
コロナ禍がそうでしたからね。
スポーツジムで隣に誰もいないのに、マスクをしてトレッドミルで走るという。。。
あれはキツかったなあ、もうパンデミックは懲りごり勘弁してほしいです。
m(_ _)m
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