第117話 賄賂・裏金・脱税・えっ?

 1574年10月1日


 東京都江戸東区・織田城

 織田幕府情報諜報部


 織田信時・幕府情報諜報部大臣

「皇帝閣下。先ほど捕らえた宮内庁職員ですが、やはり日常的に御用達業者から金銭をせびり、あまつさえ夜の接待等も頻繁に受けておりました。」


「うむ、予想通りだな。

まあ飯を食ったり居酒屋で酒を酌み交わすくらいで厳しく咎めておると、おちおち円滑な関係性も築いていられなくなるので大目にみるが、日常的に金銭をせびる等とはやり過ぎだな。金額は把握できたのか?」


「はい、正直に言えば罪には問わぬと御用達業者達に商用映像無線で問い質したところ、みな裏帳簿を差し出しました。」


「裏帳簿かw税逃れ用の帳簿では無いよな?」


「はい彼等も馬鹿では御座いません。脱税は国家を裏切る重罪。収支記載をせず、こそこそと裏金を作り、どこぞの国の政治家とは違いますw」


「ぶははははは信時、それは幕府図書館DVDコーナーに先月出した

 のドキュメンタリーを見たなw」


「そのドキュメ?とは何の意味か分かりませぬが、国家を導く立場の政治家が、等あまりのクズっぷりに失笑しか出ませんでしたw」


「その通りだ。この大日本皇国をそんな国にしてはならぬ。

 すると裏帳簿と言うより、正確には賄賂記載メモだな。さすが宮内庁御用達商人だ、己の身を守る証拠を残していたか。」


「はい。業種は違いますが11人の商人から、この2年間で3,000万円の賄賂を受け取っております。」


「小悪党め、蜂須賀小六や秀吉との関連はありそうか?」


「元蜂須賀家家臣とは申せ、宮内庁課長になってからの2年間、接触はありませんでした。

 正直この程度の金額で何が出来るわけでも無く、単なる小遣い稼ぎかと。

 ひとつだけ気になる点がありまして、今そちらをAIで超高速行動解析しています。」


「気になるとは?」


「はい、今年の春先頃から秀吉が頻繁に宮内庁へ出入りしているのは報告したばかりですが、その訪問相手が今回捕らえた蔦谷十兵衛でした。」


「うむ、続けろ。」


「はっ!その中で今年6/20に行われた宮内庁職員のモール親善会という催し物があり、侍従長含め6名の幕臣達が幕府前モールで夕食会を行っており、関係性の薄い秀吉も参加しています。」


「6/20か、、、余はヨーロッパ遠征中、しかも織田総合物産株式会社初貿易の日だな。だが単なる夕食会であろう?確かに部外者の秀吉が参加している事は解せぬが、考えすぎでは無いか?」


「ええ某もそう思ったのですが何となく引っ掛かり、夕食会に出席した尾張出身の侍従に聞いたところ、幹事が秀吉で支払いも全て秀吉が済ませたと。」


「………う~む………余は奴の性格は知り尽くしておる。利の無い事を決してする人間では無い。その食事会の内容は分かるか?」


「あくまでも織田幕府宮内庁と織田幕府戸籍管理部との懇親会で、どの地域にどれだけの隠し子がいて住民税逃れをしていたとか、言語の通じぬ台湾の戸籍作りの苦労話とか面白おかしく話され、大好評だったとの事。」


「奴の話術の巧みさは翔吾と遜色ない。ましてや普段戦争案件など皆無の宮内庁だ。刺激的内容で引き込み人間関係を深めることなど秀吉にとっては朝飯前。絶体何かの布石に違いない。信時、皇族の様子はどうだ?」


「皇居敷地内は24時間LIVE映像でも特に変わった様子は見受けられません。ただ皇族ビル内は幕府情報諜報部も入れませんので、そこをどうするかですが。」


「そうか……皇族ビル内は余のステルスドローンを向かわせるか。」


「良いのですか?」


「大日本皇国の皇帝は余である。

天皇 方仁みちひとは余の息子だ。父親が息子の家に入るのに許可等必要ない。しかもあのビルは余の敷地内に余が建てた。

 皇族とは言え文句を言う馬鹿な公卿がいたら突然行方不明になるであろうなニヤリ」


「ははは……そんな命知らずな公卿・公家は居ないと思いますw」


「よし、では今すぐステルスドローンをビル内へ送る。情報諜報部は蔦谷十兵衛を明朝6:00から、宮内庁前にパンツ1枚のみで磔にせい。

 罪状を書いた立看板も付けて2日間放置しろ!な~に2日くらい食わなくても人間は死なない。水分補給のみAPC9部隊にやらせる。全世界Newsで放映もしてやろう。」


「はっ!秀吉の件は?」


「これから本人に余が直々に問うが、その前にAI超高速行動解析の結果を知りたい。もうそろそろではないか?」


「後どれくらいだ?」

 織田信時・情報諜報部大臣が部下に問いかける。


「はっ!残り時間72秒です!」


 信長

「ふっAI超高速行動解析か。秀吉のDNA情報をインプットするだけで、幕府設立から3年10ヵ月の動きが解析されるとはw便利な世の中だなニヤリ」


「ははは、悪は滅びますニヤリ」


「終わりました。大臣の専用ディスプレイへ転送致します。必要と思われる箇所のみダイジェスト版で10分程に纏められています。もちろん重要部分は前後の映像も確認可能です。携帯パッドへの転送も出来ますので、では御確認ください。」


「ご苦労、では見ましょうか。」


 信長

「なっ!!これは!!」


 ***********


 一体何が出て来たのか?

 織田幕府・信長に敵対しても無駄だと理解しているはず。

 羽柴秀吉そこまで愚かだとは思えないのですが?


 また明日。


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