第80話 馬鹿な兄弟と敬いあう兄弟

 1573年8月2日

 東京都江戸東区

 織田城内濃姫クリニック


 濃姫

「母子ともに健康そのもの。特に子供達2人、翔平しょうへい君に真美まみ姫の身長・体重は標準をはるかに越えてます。」


 美幸姫みいの方

「まあ、はるかにですか?喜んで良いのですよね?」


「もちろん。大喜びしないとね、みいちゃんふふふ。」


「濃姫様。産後の肥立ちが悪く不調になるとよく聞くのですが、何故ここのクリニックに通う方々達は皆、健康そうなのでしょうか?」


「それは私とあこちゃんの腕よw」


 あここの方

「そう!腕よw」


 濃姫とあここ姫が揃って力こぶを作り笑っている。


「はっ?あ、あはははははww」


 3人で大爆笑する信長御婦人軍団、幸せが溢れています。平和そのもの良い事だw


 **********


 東京都江戸東区

 織田城内・幕府軍謁見の間


 玉座に座る織田信長皇帝閣下

「で?何が言いたい?」


 元阿波国主・三好長治

「阿波国は元々我ら三好一族の領地。3年以上も前に織田の物になったと突然言われ承服出きる訳がなかろう!」


 元讃岐国主・十河存保(三好長治実弟)

「そうだ!兄じゃの申す通り。讃岐も瀬戸内の海も我等一族郎党の物だ!出ていくのは織田の方であろう!」


 織田信広・江戸幕府東京都知事・大納言

「下手に出れば付け上がりおって!まだ自分達の立場が理解出来ぬとは。

 篠原!御主の教えが足りぬのでは無いのか?」


 篠原長房(三好家重臣)

「そうは申されましても大納言様。

 収納とやらから解放されまだ5日で御座います。

 3年以上経過し、織田家が天下統一を成し遂げ8ヶ月目だと言われても、理解が追いつかぬは某とて同じこと。

 この東京都を実際に見て、皇居におわす帝にも拝謁させて頂きました。

 今さら逆らう気持ちも野心も消え失せましたが、愚痴の一つも言いたくなるのは仕方ありませぬ。」


 織田信治・江戸幕府管領代・左近衛大将

「篠原殿はそうかも知れぬが、そこの2人は愚痴どころか、戦を仕掛ける勢いの言い方ですなあ。軍勢はどうするのだ?阿波も讃岐も織田幕府軍兵士しかおらぬぞ。」


 三好長治

「我らが国許に戻れば兵は集まる。さすれば戦船にてこの東京都とやらに攻めいってみせてやる。」


 小早川隆景

「三好殿。四国どころか我が毛利家も降伏臣従し、瀬戸内は完全に織田幕府海軍の海ですぞ。と言うより日本国全てだが。」


 十河存保

「毛利と一緒にするな。さあ早く我らを戻せ!」


 信長

「ああそうだな、もう用は無い。戻って良いぞ。おいそこの3人を正門まで案内してやれ。

 本日の会談これにて終了!解散である。皆の者通常業務に戻れ、励めよ!」


 篠原長房

「あいや御待ち下され。某は東京都の民の暮らし向きや幕府軍演習、特に空を飛ぶ鉄箱にも興味が御座います。

 もう少し勉強させて貰えませぬか?何卒お願い申し上げまする。」


 信長

「信治、幕府関東陸軍のAPC9兵士10人を篠原に付けてやれ。住居は日比谷入江の空軍宿舎で構わん。

 滞在期間は1ヶ月、150㎡のスイートを使わせてやれ。」


「はっ!畏まりました。では篠原殿参るぞ。」


 三好

「これ!待たぬか篠原殿!」

 十河

「そうじゃ!何処へ行く篠原殿」

 篠原

「時世も読めぬ御主らとはここまでじゃ。阿波でも讃岐でも帰れば宜しかろう。

 ここは東京都・武蔵の国。船もないのに帰る?どうやって?せいぜい励みなされ御免!」


 信長が顎をしゃくる。

 派手な黄櫨染陸自スタイルに身を包んだAPC9部隊50人。

 全員2m・120kg越えの巨漢揃い。三好と十河の2人を抱え上げ織田城外へ連れていった。


 APC9部隊は軍用トラックで品川宿まで2人を運び、餞別として織田金貨を30万円それぞれに手渡し

「ここから四国まで約650km・160里以上ある。鳴門海峡を越えるには織田幕府が堺から出している乗合い客船に乗るしか無い。

 片道5千円するからそれだけは残しておかないとな。それと箱根の山越えは丸腰だとキツイぞ。

 山賊等は幕府で成敗しているから心配ないが、最近人食い熊と狼の群れがよく出るらしい(嘘w)頑張れよ。」

 そういってトラックから降ろしサクサク戻って行った。


 三好

「堺の港を目指すとして、先ずは腹ごしらえだ。この織田金貨で飯でも食うか。」


 十河

「酒も飲みたいですな兄上。」


「それは良い、酌をする女も欲しいな。」


「では今宵の宿を取り、そこで色々聞きましょう。」


 宿は良いとしても酒に女ねえ、堺どころか駿河まで持つかな?

 路銀。。。。。


 **********


 10日後


 偵察ドローン

「品川宿の三好長治と十河存保"兄弟"、すっかり品川のキャバクラ店に入り浸り、今日で路銀を使い果たします。」


 信長

「ほお~10日も持ったか。

 てっきり1日で全て無くなると思っておったが。」


 織田信広大納言

「明朗会計の幕府公認キャバクラ店だったからでしょうな。

 民間の店だと刀も持ってない身綺麗にした武将風の2人、"ボッタクリ"でとっくに身ぐるみ剥がされ褌1本、袋叩きの目に遭っていたかと。」


「明日には泣きついてくるなw十河の重臣達は九州とシベリア開発に従事しておったな。」


 織田信治

「ええ。鑑定で従順な物は九州開発、反乱分子はシベリア、民から略奪しておった犯罪者はシベリア奥地開発ですな。

 篠原の家臣団も同じですがシベリア開発と言っても広大ですから、違う地域にとばしております。」


「そうか、、、兄の三好は佐渡金山。弟は生野銀山でいいだろう。居場所確認体内チップ挿入後、囚人護送トラックで送ってやれ。」


 信治

「了解です。奴ら2人も少しは汗水流して働けば、糧を得る大切さを学べるでしょう。」


「ああそれと兄上、腹黒い篠原が意外にも空軍戦術戦略にハマったらしく、空輸部門での民間活用提案書を信治に提出したそうだ。」


 信広

「左様ですか。流石は三好と十河家を傀儡化し操っていただけあって、実務には適しているのですかな。」


「それだな、織田幕府に逆らっても利は無いと悟り、方針転換する速さw

 使えるなら使ってやろうかと思うておる。」


「では某の都庁空輸事業所で係員からのスタートで雇い入れますか?」


「では兄上に任せるとする。勿論、動きを把握する体内チップも挿入してくれ。」


「畏まりました。さっそく信治へ提出した提案書を確認して、空輸事業所と相談してまいります。

 信治、提案書は管領代事務所に保管しておるのか?」


「はい、某も同行致しましょう。」


「では2人に頼んだ。そうだ!そろそろ都庁も単独のビルを設置しよう。

 いつまでも織田城30F~50Fに間借りってのも都知事の兄上も肩身が狭かろう。」


「某は幕府との打合せも同じビル内ですから、移動が楽で重宝しておりまするが?」


「とは言え東京都も予想以上の速さで開発が進み、民衆がどんどん増えている。近いうちに手狭になるのは必定。

 何より兄上を都知事に選任したのは良いが、都庁が建物一つ無く織田城内とあっては、長男をないがしろにしておるようで、いささか気が引ける(苦笑)」


「そんな事・・・織田家嫡男は紛れもなく皇帝閣下殿。

 某は長男と言うより皇帝の兄として、織田幕府・東京都知事なる重要な役目も頂いております。

 今はその立場の大きさに負けぬよう精進することで、日々忙しく働きそれが人生の喜びとなっている。

 ふっ、いささか気が引けるか・・その言葉だけで十分だ、ありがとう三郎・・・」


「兄上・・・いや三郎五郎兄上。嫡男とはいえ弟の"俺"が織田家を継ぎ色々思う事もあるだろうが、今やたった1人の兄である。これからも宜しくお願い申し上げる。」


「此方こそ幕府東京都知事としてまた大納言として、精一杯精進していく所存。

 皇帝閣下!宜しくお願い申し上げ奉りまする。」


「では行こう兄上!」


 シュン!


 織田信治・幕府管領代

「うう置いてけぼりだ~

 置いてけ~置いてけ~置いてけ堀、錦糸町かよ!」

【失礼しました m(_ _)m】


 ーーーーーーーーーーーー


 錦糸町・置いてけぼり

 江戸時代・本所七不思議のひとつ。

 それは錦糸堀の池で釣りをして帰ろうとすると、池の中から【置いてけ~置いてけ~】

 と声が聞こえるので魚を置いて逃げ出すという話です。w


 また明日。


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