第4章

第46話 第4章スタート!幕府御膝下・武蔵国と北条"地黄八幡"

 1570年10月1日 武蔵国


 織田信長・江戸幕府初代征夷大将軍

 武蔵・上野平定軍9万


 信長

「しかし。。。謙信の動きの速さw逆に呆れるぞ。」


 上野の沼田城・厩橋城から上杉謙信の軍勢が、越後へ向けて撤退を始めたと偵察ドローンからの報告があった。


 岡本和真・第6軍団長

「上杉謙信公は江戸幕府・副将軍様ですから、当然の動きですよ上様。」


「まあ確かにな。和真は1万で厩橋城に入り上野全体に睨みを効かせ、周辺から平定しておけ。

 攻めてくる"たわけ者"がおれば交戦して構わん。

 不本意ではあるが、江戸幕府軍の初戦ゆえ手加減無用!

 殲滅した後は旗指物で相手方を識別し余に報せろ。

 B-2スピリットにて、そいつ等の城を爆撃し更地に変えてやろう。」


「はっ!上様、もし万が一上杉軍が混じっておる場合の処置や如何に?」


「そこにB-2は出さぬ、広範囲で全滅させてしまうからな。

 アパッチとオスプレイで対処しながら、越後へ逃げるルートに導く。」


「畏まりました。では御免!」


 岡本軍団長は1万を引き連れ厩橋城に向け、10式戦車信長チート錬金(改)30輌&軍用トラックにて行軍を開始した。


「残り1万のうち沼田城に2千を置く!8千は余と共に武蔵多摩・府中・武蔵松山・秩父を転戦する!

 3日で平定の予定であったが、小田原北条の様子がおかしい。相模国中に陣触れが出ておる。備える為にも今日中に終わらせると心得よ!」


 シュン!

 そう言い残し軍勢と一緒に転移で消えた。


 *****


 1570年10月2日 6:00

 武相ぶそう国境

 東海道保土ヶ谷宿・権太坂

(現在の横浜市保土ヶ谷区)

 戦国時代、律令国制度の武蔵国・相模国の国境。


 江戸幕府・武相国境方面軍

 大将・織田信興(信長実弟)率いる織田陸軍本隊3万、吉川尚輝第8APC9部隊2万。総員5万が布陣している。


「昨日は大人しく皆従ってくれた。

 改めて"錦の御旗"の御威光は凄いのう。」


 蒲生賢秀(父)

「左様ですなあ中納言様。しかし品濃坂上を越えた戸塚宿からは相模国。

 この権太坂上と共に陣を敷き、守り通さねばなりませぬ。」


 織田信興

「如何にも。兄上いや上様からも武蔵国を平定するまでは、こちらから相模へ攻めてはならぬ。と厳命されておる。」


 蒲生氏郷(息子)

「では中納言様。某は品濃坂上にて壕を掘り、その土を土嚢どのうに詰め土塀を作ってまいります。」


 信興

「うむ。本隊から織田陸軍3千・吉川第8から3千、総員6千にてAPC9防衛陣地を構成してまいれ。

 北条方が攻めて来たら応戦して構わん。それ以外は防御に徹するのだぞ。」


「はっ!」


 その時、偵察ドローンから細川藤孝の声が聞こえた。

「中納言様こちら細川隊!

 北条との国境、"久良岐郡・磯子村"にての防衛陣地完成!

 織田陸軍5千・吉川第8軍5千、総員1万にての布陣完了しました!送れ!」


 信興

「御苦労!万が一北条軍の攻撃あれば、遠慮なくAPC9の弾幕を馳走してやれ、送れ!」


 細川

「はっ!引き続き国境防衛に徹します以上!」


「了解励め!」


 信長は江戸幕府創設と共に、偵察ドローン・テレパシー通話を改良。

 付属機能として無線通話システムを完成させ、全部隊に標準装備していた。


 リアルタイムでの連携が取れ、貴重な戦力から少なくない数の連絡員を出す事がなくなる。

 これは紛れもなく一大革命で、

 即時情報連絡網・トラック移動・空爆攻撃の江戸幕府陸軍三大軍事革命と呼ばれている。


 因みに久良岐郡・磯子村とは現在の横浜市磯子区である。


 *****


 松永久秀

「よし、防衛陣地完成!中納言様に報告じゃ。

 吉川軍団長殿。この"ポリプロピレン"とやらの土嚢、軽くて実に便利でありますな。」


 吉川尚輝第8軍団長。

「軽くて強くて破れにくい。まるで松永殿のようにしたたかですw」


「わはははは、これはこれは褒め言葉として受け取りますぞw」


「いや褒めてないですw皮肉ですからw」


「"皮肉"も松阪牛の"焼肉"も肉なら何でも御座れよ、わはははは。」


「わはははは、強かですなあ。」

『ほんと喰えない親父だw』


 松永率いる織田陸軍5千・吉川第8軍5千。総員1万の江戸幕府軍は、武蔵国・都筑郡二俣川村(現在の横浜市旭区二俣川)の境川東岸に布陣していた。


 松永久秀と何故か馬が合う吉川尚輝軍団長。

 信長は軍事面に限らず、出来るだけこの2人を共に行動させている。


「こちら信長!松永聞こえるか?」


「はっ!上様。どうぞ!」


「小田原に異変あり!!!

 松永隊への補充として第8軍APC9隊1万!

 中納言本陣より向かわせている!

 境川到着08:00まるはちまるまる!繰り返す!まるはちまるまる復唱!」


「復唱!1万のAPC9!まるはちまるまる境川到着!まるはちまるまる境川到着!以上!」


「1万到着後、吉川第8軍1万5千にて08:30まるはちさんまる!境川を渡らせろ復唱!」


「復唱!まるはちさんまる境川渡河?

 お待ち下され上様!向こう岸は"相模国側の瀬谷"となりますが?送れ!」


「承知!尚輝の1万5千で瀬谷を制圧!

 渡河後の織田陸軍5千松永隊。

 引き続き境川東岸にて吉川隊の後詰めを勤めよ!送れ!」


「5千!境川東岸にて後詰め了解!以上!」


「余の部隊も直ぐに中納言と合流する、励め!」


 *****


 松永久秀

 5年前1565年"永禄の変"

 三好義継等と共謀し室町幕府13代将軍・足利義輝を京都二条御所にて1万で襲撃。

 将軍殺しの汚名を着せられるも、息子の久通が三好勢に脅され無理矢理参戦しただけ。

 某の預かり知らぬ事と否定している。


 斎藤道三・宇喜多直家と並び戦国三大 梟雄きょうゆうと呼ばれる久秀の才能を惜しんだ信長。

 史実とは違う生き方をさせたく、意気投合する場面が多い吉川尚輝を相棒として従軍させていた。


 *****


 松永

「吉川殿!聞こえましたな、現在7:40。間もなく御味方1万到着!

 8:30境川西岸に渡河!総攻撃にて瀬谷地区を制圧。これ即ち相模北条との戦と相成ります。」


 吉川

「はい!既に武蔵国で北条とは交戦中。小田原に異変あり!とは相手も軍を招集し、武蔵国に救援部隊を派遣するのでしょう。」


「うむ、瀬谷と権太坂、久良岐郡の磯子を抑えれば武蔵国には入れませぬ。

 戦船を使うにも磯子沖には"あれが"浮いてますからなあ。」


「東京ドームですな。あれで小田原城を砲撃すれば北条も終わりでしょう。

 では某、軍勢を整えてまいります。松永殿!後詰め宜しくお願いします。御免!」


 **********


 1570年10月2日 9:00


 鳩舎番

「一報!!武蔵多摩・滝山城落城!!北条氏照様!行方知れず!」


 北条家・小田原城内に激震が走った!

 その後も続々と入る伝書鳩による凶報


「申し上げます!!多摩郡・戸倉城落城!!大石定仲殿・大石綱周殿、討ち死に」


「武蔵松山城落城!!城主上田朝直・長則親子討ち死にで御座いまする!!」


 北条家第4代当主・北条氏政(32歳)

「何と言う事だ。。。たった一晩で武蔵国から叩き出されるとは!氏照の行方はどうなっておる!!さっさと探さぬか!!」


 父・氏康が病床に倒れ心細いところに、江戸幕府創設のビラが自身の寝所・小田原城内・城下町にばら蒔かれ、呆然としていた矢先の凶報。

 いらいらを抑えられず小姓達に当たり散らしている。。


 その時

 ドタドタドタドタドタ

 廊下を小走りに走る足音と共に、1人の重鎮が姿を見せた。


「殿!落ち着かれよ!!」

 北条綱成(55歳)

 "地黄八幡"と呼ばれ数々の戦に出陣。

 今は氏康の"名代"として、軍事・外交等全権を与えられている猛将である。


 氏政

名代綱成殿!よう来てくれた!玉縄城は大丈夫なのですか?」


「織田軍が磯子に着陣を始めたと、先ほど嫡男・氏繁からわしの小田原屋敷に鳩にて報せがあり申した。それゆえ協議に参ったのだが。。。

 城内にて氏照殿の滝山城が落ちたと聞き、直ぐにでも玉縄へ取って返します!」


「弟たち2人(氏規・氏邦)にも連絡の鳩を飛ばしております。」


「うむ大殿が病床に伏せっている時、この小田原城領内に1人として敵を入れてはなりませぬぞ!

 磯子の織田軍は、わしの玉縄から鎌倉街道で二里半(10km)。

 既に支城の長尾城に、氏繁が5千を率い入っておる。

 その方面は玉縄北条家が必ず止めます。磯子から相模国には1歩足りとも入れぬ覚悟!

 問題は境川西岸の守り!瀬谷に入られると山が無いゆえ。。。

 平地では兵士の数が物を言う。

 あの地を取られると、多摩にも府中にも援軍が出られなく苦しくなりますぞ。」


「瀬谷ですか。。深見城に今すぐ向かっても夜にしか着きませぬ。。」


「残念ながらいま攻められたら、食い止める手勢がおりません。しかも敵が南下すれば鎌倉を取られる。

 そうなると玉縄城と小田原が切り離され、磯子と三浦郡が孤立する。

 昨日早朝から出しておる陣触れの結果はどうですかな?

 最低でも5万は欲しいところだが贅沢は言っておれません。

 先ずは2万でも良い、整い次第先陣として直ぐに瀬谷に向かわせるように。

 ワシは幻庵様に会って知恵を賜って参ります。」


 氏政

「はい!軍勢の集まりは速く、現在3万5千程集結しております。士気も高いゆえ直ぐに瀬谷に向かわせましょう。。。

 だが名代殿。。。幻庵様は夏頃から気分が優れず、久野屋敷から出ようとしませぬ。。」


 北条綱成

「無理もない。。。昨年末、武田軍の蒲原城猛攻で息子を2人も失っております。。

 まだ一周忌も済んでおらぬのに。。

 とにかく玉縄へ戻る前に会っておかねば。。

 になるやも知れぬ。。」


「そんな!縁起でもない!」


「縁起も何もそんなことを言ってる場合では無いですぞ。

 駿河の興国寺城と深沢城が落城したと、鳩にて報せが入った時から、伊豆の防御を固めねばと思っていたのだが。

 それがどうですか?敵は伊豆・相模を通り越し、武蔵国の城を落としまくっている。

 三浦から連絡1つ無いのは、夜間でも移動可能な強力な海軍衆を持っているの証拠。

 ワシが信長なら陸は瀬谷、次は鎌倉。

 そこを拠点に兵を集め、半数でわしの玉縄城を磯子部隊と挟撃する。

 残り半数で小田原攻め!海からも小田原へ向け兵を上陸させる。

 ここが落ちれば最後に、駿河と小田原と海から伊豆を包囲殲滅する。。。」


 氏政

「。。。松田!!松田憲秀から連絡は?」


 小姓

「先程間もなく到着と先触れがありました!」


 綱成

「先陣を任しますか、憲秀なら3万5千の指揮も取れます。

 幻庵様と会談後にもう一度立ち寄るゆえ1人でも多く兵を集める様に!

 良いですか!ここが北条家の正念場!

 相手は"帝"を手中にしている。

 待遇・恩賞をケチってはなりませぬぞ!負けたら待ってるのは滅亡あるのみ!!頼みましたぞ!!」


「はっ!心得まして御座います。」


 小田原城を後にしながら北条綱成は1人思考する。

『駿河から叩き出されたのが一昨日の話だ。

 そして昨日たった1日で武蔵国を手に入れる信長の武力。。空を飛ぶ鉄の箱に"ビラ"という特上質の紙を、大量にばら蒔く経済力。。しかもあれがビラでは無くなら。。。

 正直今回はダメかも知れん。。。

 最悪、殿とワシと幻庵様の首で氏政殿の助命を請い、信長の直臣に加えて貰う事をお願いする。

 それしか北条の生き残る道はあるまいて。。。。。』


 北条幻庵(66歳)と北条綱成(55歳)

 長い間、後北条家を支えてきた両巨頭。

 後北条氏第3代目当主・北条氏康(55歳)が、病に倒れた最悪な時期に現れた織田信長の江戸幕府。

 2人の会談結果にて出る答えで、今後の運命が決まる。


 悲痛な表情で、小田原城から5kmほど離れた幻庵の住まい久野屋敷へと、重い足取りで向かう綱成。

 彼の人生において最も重要な決断を下す時が迫っていた。。。


 ーーーーーーーーーーーー


 今回は"小田原評定"すら

 やる時間は与えられません。

 相手が第六天魔王ですから。


 ★★★は作者のエネルギー

 いくつあっても嬉しいですよw

 m(_ _)m


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