第39話 側室

 1570年9月29日 17:30


 無事に事が成りドーム内の天然温泉では、織田信長と馬場信春の2人が露天風呂を満喫している。


 馬場

「良いものですなあ、こういう時間も。。。心が洗われまする。。」


 信長

「如何にも。朝日と共に起き、日中は懸命に働き、宵闇迫る頃その日を振り返る。

 このような静かな時間が持てるならば、それで良いと思っている。」


「ほお~驚きですなあ。。

 今や尾張・美濃に始まり畿内全てを掌握している織田様が。。と自分の事を呼ぶとは。

 まあ某など、生まれた時から戦乱の世。。

 乱暴野蛮な育ちにての方が耳に馴染んでおりますがなw」


「乱暴野蛮か。。。朝廷の一部の者は俺の事を"野卑"な田舎者等と陰口をほざいておる。

 帝への忠誠心も薄れ、その"野卑"の金で遊び呆けておる者共。。

 先祖の権威に縋って生きる惨めさを、そろそろ味わってもらおうかと思ってな。。」


「味わってもらうですか。。

 先ほど武蔵国をと呼んだのと何やら関係がありそうですな。」


「流石は武田四天王の1人馬場殿。

 真意を見極める力量に優れている。

 信玄公は頼もしい家臣をお持ちのようだ。」


 その後も2人は露天風呂やサウナ・シャワー等を満喫し、心も体も洗われリフレッシュした。。。

 並んでマッサージを受け心地よい時が流れる。

 そう。。。織田信長の気持ちも緩み油断したのである。


 馬場

「ところでSP殿。新しい側室の御予定等、御座いますかな?」


 信長

「もっと側室を娶れと、帰蝶には言われておりますなあw」


「左様ですかwSP殿w」


「ああ、数多くの子を宿すのもつと。。。。。」

 はっ!と気付いたが時すでに遅し。。


「如何されましたかな?SP殿w」


「ぐぬうぅぅ。。。馬場殿も人が悪い。。。」


「わはははは失礼致しました。ですが織田様、側室の件は本気ですぞ!

 某の末娘。8歳の頃より養女として育て上げて参りましたが、実の娘と思うております。」


 SPの件もあり気不味い信長は、話が側室の事に移ったのを幸いと、会話を続けた。


「馬場殿の養女とは?信玄公の隠し子とかですかな?」


「わはははは、まさか御館様の血筋であれば某の一存では決められませぬ。

 陸奥国の南部にある磐城地方。

 そこに遠藤兵庫という某の親友がおりました。

 若かりし頃、武者修行で共の者等数人で行脚しておりまして、甲斐にも訪れましてな。」


「行脚で武者修行か。大変な苦労もあろうが、自由気ままとは羨ましい事だ。」


「確かにw某も若かった故、木刀にて腕比べを挑んだのですが、兵庫の剣術には遠く及ばず痛い目に会いましたw」


「ほお~山県昌景殿と武田の双璧と呼ばれておる馬場殿が負けまするか?」


「剣術は天才ですな。しかも実戦経験豊富なのが手合わせして直ぐに分かりました。

 この戦乱の世に少数6人での行脚、道中何度か多勢の賊等に襲われたらしく、当然人も斬っております故。」


「なるほど6人の少数で陸奥国から甲斐国までの行脚。

 よほど腕に覚えが無くば、途中で山賊共の餌食にもなりますな。」


「その頃の甲斐は前年1541年に武田信虎様を駿河今川家に追放し、晴信信玄様が当主に就任したばかり。

 腕の立つ優秀な人材を広く求めておりましてな、御館様もまだ21歳と血気盛ん!

 兵庫等を放っておくはずも無く、陸奥を出奔して武田の家臣になれと強引に迫った次第。。。」


「信玄公の若さか。。。俺も人の事は言えぬ。。。」


「幸い兵庫は遠藤家の四男。

 家は既に10歳年長の兄が継いでおり、22歳でしたが剣術一筋の奴には嫁も居らず、武田家客将として信濃国の諏訪と伊奈攻めに共に参戦致しました。」


「ふむ、戦友ですな。」


「左様、危ういところ何度も命を救われましたな。。

 天文151546に某が馬場家を継ぐ事が許され、50騎持の筆頭兼剣術指南役として馬場家・家臣となりました。」


「遠藤兵庫殿?それほどの御仁であれば、織田家の耳にも入っておる筈だが?」


「ああ失礼。50騎持の筆頭兼剣術指南役と言うのは待遇面での話であり、行脚の途中で陸奥国を出奔し甲斐に住み続けた兵庫は、正式に役職を受けるのは固辞しておりました。

 陸奥国への後ろめたさを感じていたのかと。。。」


「義理堅い御仁であるな。。。

 養女と今の話から大体の察しは付いたが、遠藤兵庫殿その後は?」


「はい、永禄四年1561川中島は八幡平の戦いにて武田信繁様の楯となり、山本勘助と共に討ち死に。。。

 某と勘助の立案した策にて

 本来兵庫は別働隊12,000にて上杉軍の背後を突く配置でした。

 がしかし、この策では本陣が手薄だと言い出し、上杉に見破られたら負けるぞ!と強く主張!

 戦場のせいもあり頭に血が上った某も「勝手にせい!」と言い返したのが。。。奴との最後の会話で御座いまする。。。」


「。。。。。そうであるか。。。」


「勘助と2人して己の策に溺れ、上杉軍の力を読みきれず武田信繁様・遠藤兵庫等を死なせてしまった某の罪!!一生かけても償いきれませぬ。。。」


「そんな事は無いぞ。。。馬場殿の気性であらば、遠藤殿の忘れ形見の娘。

 実の子同様に愛情深く育て上げたのであろう。

 あい分かった!!その娘御、の側室として娶ろう。」


「へっ!!織田様、年齢とか性格や容姿等、まだ言うておりませぬが?」


「構わん些細な事よ。実父・遠藤兵庫殿の才覚。

 育ての親・馬場美濃守信春殿の愛情を受けて育った娘。

 人として優れているであろう、断る理由など余には無い。」


「。。。貴方というお方は。。。晩婚の兵庫が33歳で授かった一人娘。

 先月8月5日17歳になったばかりで御座います。

 8歳で某の養女として引取りまして名は美幸みゆきと申します。

 遠藤家は1つ年下の弟・遠藤 斎希いつきに継がせております。」


「1つ年下の弟が継いだとは、川中島八幡平の戦い当時まだ4歳。

 馬場殿の後ろ楯無くば遠藤家の存続も難儀したであろう。。」


「戦場で兵庫に何度も窮地を救われた某、その恩はまだまだ返しきれておりませぬ。」


「いや、今頃天上から笑って見ておるぞ。の戦友で良かったとな。」


「。。。。。うぅぅ。。。」


「鬼の目にも涙か。。。。。」


 **********


 浜松沖から三保の松原。

 浮島型東京ドームが全速力で航行すれば約30分ほどだが、信長の指示でゆっくりと向かう。

 それでも21:30に到着。


 10隻の戦船を操っていた武田家水軍衆200人も交えての夕食会。

 焼肉パーティーも終え満足そうな顔をしている面々。


 信長

「今日はもう遅い故、武田家の方々はドームに泊まり、明朝立てばよい。

 半兵衛、浅野!皆様を、浮島東京ドームホテルに御案内せい。」


 そうです、浮島東京ドームには43階建てのホテルも隣接していますw


 フィ、フィ、フィクション!!


 **********


【浮島型東京ドーム&東京ドームホテル】


 司令官・織田信包(信長実弟27歳)

 織田家・騎馬軍団2,000人(人間)

 APC9マシンガン部隊18,000人(Android)

 総数20,000人が駐屯している。


 濃姫チート防御結界付与済み。


 短距離イージスミサイル装備。

 最大射程300km5,000発


 ブローニングM2重機関銃(有効射程10km)1000丁


 オスプレイ5機


 攻撃用ヘリ・アパッチ5機


 攻撃型無人ドローン機レーザー光線弾(飛行範囲100km)1000機


 偵察型ステルスドローン100機


 上陸用ホバークラフト100隻

(実際は信長創造・転移の間で1度に5,000人、瞬間上陸可能。

 デモンストレーションの意味あり。)


 イージス潜水艦・美濃型5隻

 常にドームの周りを警戒している。


 無敵の戦艦輸送浮島です。


 **********


 1570年9月30日 8:00


 女神カトリーヌ(濃姫)と共に6:00に武田信玄の治療を済ませ、ドームに戻る。


 武田家臣団には朝食を取らせ

 おにぎりや豚汁をマジックリュックに入れてやり、武田家200人を送り出した信長。


 江尻城には昨夜APC9装備のAndroid兵士3,000を配備済みである。


 織田信包

「兄上。三国調印式、御疲れ様で御座いました。」


 信長

「お前も浜松沖・長期滞在ご苦労であった。今日武蔵国に威圧をかけたら暫く尾張で休養せい。

 11月になると忙しくなるから、それまで英気を養っておけw」


「はっ!畏まりました!尾張の空気を思う存分、吸ってまいりますw」


 濃姫

「あらまあ信包殿。尾張と聞いて急に顔色がよくなりましたよw」


「はっ!義姉上様には敵いませんなw」


「「「はははははは」」」


 信長

「それでだ信包!瀬戸内・四国・九州の海は信忠の織田海軍が1日に3回周回しておる故、海賊共は誰1人海に出てこなくなったw

(漁民の船には手を出さん、織田金貨で買い付けるし米も付けてやる。)と浅野にマイク放送させたんだが、皆がこぞって魚を売りに来る始末よw

 1度綺麗な織田金貨を見たら

 鐚銭ビタせんなど扱う気にならんと言うておるそうだ。

 滝川一益と岡本和真がその辺り得意でなw

 四国九州の漁師達から慕われ始めておるぞ。」


「和真の奴が、一益&和真の一和かずかずとか言うておるそうですなw」


「ははははは、あ奴はそういのが得意だからなw」


 濃姫

「まあ滝川殿は嫌がってませんか?」


「それが義姉上様、の意味を知ってから一益も気に入ってるようで。

 今ではワシと和真は黄金コンビだと、自分から進んで話してると噂に聞きましたw」


「それも和真らしいなwそれでだ信包よ。

 1月ほど尾張で過ごしたら11月に瀬戸内海に行ってもらう。」


「毛利で御座いますか?」


「ああ漁民を締め付けてるようでな、毛利領の漁師だけが魚を売りに来ないと言うより来れないが正解であろう。

 余の"影部隊"の報告では、夏頃に魚を売って得た織田金貨を、毛利兵士達が全て没収したとの事。」


「没収ですか?それでは漁師の生活が成り立ちませぬ。」


「ああ。勝手に他国に売る奴が悪いと、牢に閉じ込められた者もおるらしい。」


「毛利のお膝元を揺さぶりまするか?」


「毛利元就公の容態も寝たり起きたりを繰り返しておる。

 そう長くは持つまい、来年が山だろうな。

 元就公、存命中に織田海軍の強さ、織田金貨の精巧さを知らしめる。

 さすれば毛利宗家に吉川・小早川の両川への遺言内容も織田有利になると余は見ておる。」


「元就公も病には勝てませぬか。。。」


 濃姫

「戦で命を散らすは別ですが、病も死も自然の摂理。生まれた時から人は成長し、それが止まった時から少しずつ死に向かいます。

 長生きを望むなら生活習慣の改善をせねば。

 信包殿!お酒はほどほどになさいませ。」


「ぐっ!わ、分かっておりまする。。。」


「そうだぞ信包。何事もほどほどにせい。」


「殿様も塩辛い食事ばかりでは体に毒!出汁をふんだんに取り塩分控えめですよ!」


「ぐっ!わ、分かっておる。。。」


「おや、流石は兄弟。返事までそっくりですねw」


「「。。。。。」」


 その後、兄と弟は瀬戸内海の打合せを行いますが、やはりを改めて思い知ったようでした。


 ーーーーーーーーーーーー


【浮島型東京ドーム&東京ドームホテル】


 最大上陸可能数30万人

 乗組員300人

 縦2,000m横1,000m=200万㎡

 =200ha


 東京ドームホテル43階建て1棟


 地下(1F~3F)商業施設

 200万㎡×3フロアー


 地下(4F~8F)兵士宿泊所

 個室15㎡×30万室


 深さ150m喫水100m

 時速150km(ノットでは無く時速表示)


 慣性の法則"0システム"により悪天候でも揺れない。

 最大の特徴は信長のチート転移で海上・陸上・空へ瞬間移動出きる。

 よって速力に意味は無い。

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