第62話 濃姫Vs.毛利元就
1570年11月2日
毛利12代当主・毛利元就
「まずは、あの喉奥から胃の腑に掛けての体を蝕む恐ろしい痛み。
この状況からして、そちらの"聖女様"いや失礼しました、今や"上皇后使徒様"でしたな。
あの苦しみから解放して頂き、誠に有難うございました。」
濃姫
「御丁寧な挨拶を頂き申し上げにくいのですが、病の大元となる
痛みを感じる神経を麻痺させましたゆえ、辛い激痛はもう大丈夫です。」
「左様でございますか。ですが痛みが無いだけで、こんなに人間らしく過ごせるのです。これ以上望むのは贅沢というもの。某には上皇后使徒様は命の恩人と何ら変わりありませぬ。
さて此れだけの大恩を賜り、何か恩を返さねばこの元就、三途の川を渡れず魂が成仏出来ません。
何をどうすれば宜しいか御教授願えませぬかな?」
「はい。では早速頼みたい事がございます。それは上皇使徒様の願いを1つだけ聞いて頂けますでしょうか?」
「ほお、上皇使徒様の願いですな。某に出来る事であれば何なりと。」
信長を見つめる毛利元就。その眼は全盛期を思わせる、熱く鋭い視線を送ってくる。
信長
「なに知れたことよ。
今ここで無条件降伏をして、"勅命"に従い因幡・安芸・周防・石見・長門五か国と豊前国企救郡・門司城を返却せよ!」
元就
「うぬぅ、、"勅命"まで出されておるのですか。。。伯耆・出雲・備後の3国のみで暮らせと申しまするか!」
「元就よ先程まで病床に臥せっておったゆえ致し方ないが、何を勘違いしておる。
毛利の領地である伯耆・出雲・備後3国は昨日1日で落とした。
月山富田城も更地にし、余の安土城が建っておるぞ。」
「!!!落とした。。3国を1日で。。」
「いや済まぬ説明不足だ。
播磨・但馬・美作・備前の4国も昨日落とし余の軍勢が駐屯しておる。
1日で落としたのは7国だ。」
「ぐっ!!!7国を1日で。。。そうでございますか。。貴方様は人では無いのですな。。。」
「人であるぞ、神の使徒ゆえ神力を行使しておるだけよ。」
「はぁ~あのまま病にて身罷っておれば、この様な事を知らずに済んだものを。。。長生きするのも、良い事だけでは無いと言うことですな。
この城は吉田郡山は如何なさるおつもりで。」
「潰す。海沿いに新しく巨城を創造する。」
「毛利に死ねと?」
「?どうしてそうなる??」
「吉田郡山は毛利の命と言っても過言ではありませぬ。輝元を始め毛利の若い者達に残してやりたい。
某が今すぐに"腹を召します"故、どうかこの城だけは毛利の若者達に存続させて頂きたく。」
「あっ!御主それは言ってはなら。。。」
濃姫
「黙らっしゃい!!!元就!!!」
元就
「へっ?」
毛利家一同
「「「なっ?聖女さま?」」」
濃姫
「いま何と言うた!!今すぐに"腹を召します"だと!!
元就、貴様~~!おのれの命を何と心得ておるか!!!」
「あっ、あ、あのぉ。。上皇后さま??」
濃姫はスーーと息を吸い込み、興奮状態の自分を落ち着かせると、キリッとした見目麗しい表情で一転静かに語る。
「良いですか元就殿。貴方を病の痛みから救ったのは、毛利の若者や領民達に、貴方の人生で得た70年の全てを継承してほしいから。
それを出来るのは元就殿、貴方をおいて他におりませぬ。
上皇様が海沿いに新しく巨城をと申されたのは、その城の城下に港を作り瀬戸内を利用した交易を江戸幕府・小早川・村上を交えて行うため。
それを取りまとめ、時には調整役を勤め、瀬戸内の安全と健全な発展を担う中心になってほしい。
次代の毛利家の家業となり、若者達の新たな役目となる。
その監督・指導役として貴方を頼りにしたいから、私は神力を使ったのです。。。
それを腹を召す等とは。。一体どの口が言うておるのでしょうか。。
情けなくてこれ以上話す気力も無くなりそうです。。。私の神力治療は
「。。。上皇后様。。この元就あまりの己の馬鹿さ加減に、恥ずかしくて目を合わせられませぬ。。。
かくなる上は"死んで御詫びを"す。。。」
信長
「あっ!馬鹿。。」
濃姫
「も・と・なりーーー!!おのれは阿呆かアホなのか?ああーーー?
死んで御詫びをだとこらあ!!私が切り刻んで魚の餌にでもしてやろうか元就!!!」
再び物凄い剣幕で恫喝しながら、左右の手からチート防御結界を槍状に物理化し、光を
美人が怒ると本当にコワイ。。。
【武田信玄の時と同じですw】
元就
「。。。。。(汗)」
毛利家一同
「「「ひいいいいいい」」」
「「「槍が!!光る槍が」」」
濃姫の怒髪天を衝く怒りに、堪り兼ねて信長は元就へ
「謝れ早く土下座しろ!そしてもう喋るな!口を閉じて頭を下げ、嵐が過ぎ去るのを待つのだ。次は光槍に殺られるぞ!!」
「はっ!はぁ!!申し訳御座いませぬーーー」
『まさか、毛利元就の土下座を間近で見ることになるとは、、、、、帰蝶を怒らすと日ノ本が消滅する。。。』
その後、毛利家一同が濃姫の前に土下座をし、元就への怒りを何とか鎮め、許しを乞うという凄まじい状況になる。
土下座をして2分が経過すると濃姫は、光槍を消滅させる。
毛利家臣団は
「この場で協議致します。少しだけ時間を下さい」と懇願し信長も「10分だぞ」とそれを了承して"10分用砂時計"を置いた。
1人土下座を続ける元就を見て
『少し助け船を出すか。』
信長はある提案をした。
「吉田郡山城は存続を認めてやる。毛利宗家で好きに使えば良い。但し塀と土塁、空堀等の防衛設備は余が破壊するのが条件だ。
それと城の周辺2,000石のみ"毛利自治区"として貸与いたす。
分かるか?あくまでも貸し与えるという意味だ。賃貸料等は無料でよいが貸与期間は50年!新たに更新はせぬ!」
それを聞いて元就も頭を上げ、家臣団協議の輪に加わる。
信長は更に毛利が降伏しやすいよう後押しをした。
「元就に輝元は余の直臣とする。毛利家臣団も役目に就く場所は変わるが、全員幕臣として織田家で雇い入れる。吉川・小早川も同じ処遇だ。
土地は与えぬが扶持は今の石高と同等の金額を織田金貨にて支払う。
勿論働きの成果により増減はあると心得よ。怠惰な勤務態度なら即刻役目を解く、これは織田家臣とて同じだ。
外様だからと言って不利益等なきよう正当な評価を致す。
浪人の心配はせぬとも良い!以上である。」
「何という厚待遇だ!」
「輝元様以外も幕臣になれるのか。。。」
「吉田郡山城が残る!!」
「我ら毛利の面目も保たれる!」
「浪人せずに済む!家族を養っていける(泣)」
宍戸
「天野殿、福原殿も"腹を切らず"にすむ!!」
「「「あっ!!!」」」
その台詞に【ピキッ!!】濃姫の光槍が再び出現!するが半分の長さで止まった。
信長
「宍戸。。。馬鹿たれ。。」
元々昨夜の軍議では、天野と福原が腹を切り七か国を割譲するが、安芸のみは絶体に安堵。
輝元の幕臣就任の保証で交渉する事を、全会一致で決定していた毛利家。
信長の要求が想像以上の厚待遇と知り、それを呑めば濃姫の怒りも解けると判断。
毛利元就
「上皇后様。重ね重ねの御無礼、痛恨の極み。御詫びの言葉も御座いませぬ。。。大変申し訳無く心から反省しております。
また上皇様には毛利への多大なる配慮を頂きました事、ここに御礼申し上げ奉りまする。」
毛利家全員が再度ひれ伏する。
「上皇様が温情の吉田郡山城。またその周辺2,000石の貸与以外、毛利が領地八か国全てと、豊前国企救郡・門司城を上皇使徒・織田信長様へ返還致します。」
「うむ、大義である。皆も大いに励め!!」
「「「「「ははあ~」」」」」
戦国大名としての中国地方覇者・毛利家はここに滅亡した。
今後は江戸幕府・幕閣、幕臣として土地から切り離し、各地に派遣され、それぞれの役目に就く事となる。
濃姫
「毛利元就様。毛利輝元様。並びに家臣の皆さま方。私も全力を持って御支えしますので"末永く"宜しくお願い申し上げます。ニコッ」
一同
「「「。。。。。。(汗)」」」
濃姫
『貴方こんなところで良かったかしら?光槍で貫ぬくのは遠慮しときましたけど。』
信長
『。。。うむ。。怖いわ(汗)』
やはり濃姫が織田家No.1で御座いまする。。。m(_ _)m
ーーーーーーーーーーーー
足利義昭
「あ、あの~某はどうなるのでしょうか?」
織田信長
「はっ?お前?まだ居たの?もう良いから、どこでも好きな所へ行けば?」
「はあ。。。ですがそのぉ~路銀もままなりませぬ。。金子の工面等。。。お願い。。出来ませぬでしょうか?。。。」
「人様の金で贅沢三昧しておるからじゃ!!この痴れ者が!!!」
「ひいい申し訳御座いません。。」
「まあ安心しろ。但馬国の"生野銀山"を昨日手に入れた。"石見銀山"も余に返還されたし、これから信忠関白が佐渡を平定してくる。
"佐渡金山"も良いな、いや佐渡こそ御主の働き場所として申し分なかろう。
船なしでは外に出れぬ良い島だからな。逃げ出そうとも思わないし、文なんぞ書いてる暇も無いほど忙しくなるぞ。
自分で汗水流し、働いた後に飲む酒はさぞかし美味いであろう。余は飲めぬ故知らぬがなw」
「冗談ですよね??戯れ言が好きな上皇様の戯れですよね???」
「ふむ、いきなり佐渡金山では苛酷すぎるか?」
「はい!!そうです!!苛酷すぎるです!!ですです!!上皇さまーーー」
「分かった、では研修期間をやろう。お主もまだ33歳と十分若い!
1ヶ月もあれば仕事に馴染むであろう。生野銀山にて励め!!」
シュッポ!
足利義昭と"旧"幕臣50人の仲間達。日本各地の鉱山で働く事になりました。
再就職先まで斡旋してくれる優しい織田信長上皇使徒様。
しかも里心付かぬよう、全員バラバラに派遣してくれる細かい心遣い。さすがです。
ーーーーーーーーーーーー
無事、足利義昭一般人さんの再就職も決まりホッとしましたねw
これにて【第4章完結】にたどり着きました。
北条家との決戦でちょっとやり過ぎたので、毛利家侵攻は"無血開城"の目標をたて何とか達成できた。
うん自分を褒めてやりたい。。
【第5章】
導入部分で戦闘シーンもありますが、内政を書きたい!!
今度こそ内政を書く!!
東京・四国・畿内の内政!!
あっ!!織田信忠関白の佐渡金山攻略どうする?
はあ~~~
取りあえず毎日更新続けますので、応援宜しくお願いします。
m(_ _)m
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