第11話 本願寺お前もか!!
1570年2月7日 11:30
大坂(阪ではない)石山本願寺
浄土真宗本願寺派第11世宗主
14歳で武田信玄の正室・三条夫人の妹、
信玄と顕如は義兄弟となる。
石山本願寺
壕、塀、土塁と多数の武装勢力で防御を固め、領主・支配者に従わない政治的動きを活発化。
寺内町として栄華を誇っていた。
今朝までは………
「どうだ顕如。瓦礫の山になった石山本願寺を見るのは?
やっと御主も肩の荷が降りたのが本音ではないのか?」
威圧の乗った野太い声だが、静かに語りかける織田信長。
「石山などとお戯れを、この地は大坂本願寺にございます。」
「ふん!小賢しいのお。
御主が頼りにしている下間頼総・頼廉・頼資・頼照・頼龍・頼亮・頼成・頼旦や願証寺の証意等は全て捕らえ斬首とした!」
「
「酷い?よかろう…
浄土真宗での"みほとけ"とは阿弥陀如来であったな。
武装して信者から物品を
信者の妻や娘を己の欲望のままにする。
果たして"みほとけ"は畜生にも劣る行為をどう見ておられるのか?
いま余に酷いと言うたな。
常に小賢しい物言いをするうぬの言葉で、門徒共の畜生働きの申し開きをしてみろ!」
「そのような悪逆非道、某の預かり知らぬ事……南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏……」
「預かり知らぬか…尾張ではその様な無責任な頭領のことを"大たわけ"と呼んでおる。
余も"大うつけ"と呼ばれておるがな。
だが己の都合が悪いときに念仏で逃げたりはせんぞ!
今のうぬの姿や一向衆の主導による一向一揆にて世を乱す浄土真宗本願寺教団の不届き。
宗祖である親鸞聖人様はさぞかし嘆いているのではないか?」
「………南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏……」
「もうひとつ教えてやろう。
うぬの室、如春尼も無事だ、かすり傷1つ負わせていない。
長男・
共に捕らえておる。
心配するな。うぬらの一向一揆のように、罪なき者の命を奪う殺生はせぬ。
織田家軍勢は女子供にも傷を負わせ、平気な顔をしている一向衆とは違うのだ。
余の元で育成するゆえ安心して隠居生活をするがよい。」
「………南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏……南無阿弥陀仏……」
**********
織田信長による総本山石山本願寺の滅亡。
浄土真宗本願寺派第11世宗主・
それらが僅か数時間で行われた衝撃的な大事件は、大坂から京都、堺、畿内全体を経て次第に全国へと広まっていく。
史実ではその後、長島一向一揆、越前一向一揆等で一向衆が蜂起する。
だがこの世界は1570年1月比叡山延暦寺天罰、同年2月の石山本願寺落城により一向一揆は収束する。
**********
翌日2月8日14時
「殿、昨夜は体育館なる広大な建物を50戸も作って?もらい
また格段に美味い魚とゴボウ等の野菜を揚げた?天ぷら?なるもの。
それに美味い白米と豚汁等を腹一杯頂いて、一向衆徒どもも寒さと飢えを凌げ涙を流しながら食しておりました。」
堺の柴田城城主・柴田勝家が主君信長の奇跡の所業に戸惑いながらも一向衆の様子を報告した。
「勝家、この建物はそのままにしておく。
地位に胡座をかき僧侶としての修行もしない。
そんな悪辣な坊官や法眼どもに食い物にされた罪なき信徒どもだ。
奴等に貢ぐ金子を作るため、家も作物や田畑も全て借金のカタに取られ、行く宛など無い者がほとんどであろう。
佐久間信盛を呼んでおる、3日ほどで到着する予定だ。」
「筆頭家老の着陣までこの勝家が争い等無きよう、しかと面倒を見ます故ご心配なさらずに。」
「いや勝家。そちは余と大事な仕事が残っておる。
それゆえ一向衆徒どもの面倒はこの者に任せる。柳田!これへ」
「はっ!」
「余の直轄軍で侍大将を担う柳田だ。大量の兵糧、武器弾薬等も任せておる。
柳田!堺・柴田城城主・柴田勝家だ。
これよりその方1万5千の直轄軍と共に、この大坂が落ち着くまで勝家配下としてこの地に留まるのだ。
行き場の無い一向衆徒どもを社会復帰させるよう励め!!」
「はっ!心得ましてございます。柴田様におかれましては、何卒宜しく御願い申し上げます。」
「おっ…おお~柳田殿か…
昨日の本願寺攻めでは見事な先陣を勤められ、我等柴田軍1万5千が何一つせぬ間に落城させられましたな。
その武勇に勝家、感服致しましたぞ。」
「はっ、ははぁーー某なんぞに勿体なきお言葉。恐縮致しまする。」
「こら
感服致しました。などの言葉使いで柳田を恐縮させてどうする。」
「あっ!確かに、失礼をば…では柳田!筆頭家老着陣までの短期間ではあるが、宜しく頼むぞ!」
「はっ!何なりとお申し付け下さい。」
「さて権六、御主の堺勢1万5千。信盛が来るまでこの地に2千残し1万は柴田城へ帰還させておけ。残り3千にはちと用がある。
何よりまだ赴任して1月。堺衆に舐められぬよう常に1万の軍勢は堺城に駐屯し威圧しておくのだ。
御主の長男、勝里にでも任せておけばどうだ。」
「はっ!勝里ですか?」
「ん?庶子が気になるか?
御主の長男には変わりはあるまい?余も嫡男とは言うておらぬぞ。」
「恐れ入りましてございます。」
「うむ。それでな勝家、残り3千の兵の話だが…
ここでは人目に付くのお。右端の第1体育館に個室を設けておるから付いてこい。
柳田、後は任せた。一向衆徒の夕食CoCo壱番屋をたらふく食べさせてやれ。」
「はっ!かしこまりました。」
「良い、菅野!付いて参れ、勝家に説明せねばならぬ。」
「はっ!只今!」
**********
第1体育館内個室
「権六、余の直轄軍は全部で10軍団ある。
今回連れてきた3万は第2軍団。
その軍団長が菅野だ!」
「柴田様、菅野にございます。以後お見知り置きを。」
「……あ、ああ柴田にござる。こちらこそ宜しく頼む…」
「ふん!直轄軍が10軍団位で驚くな。それより3人だけで軍議じゃ。正確には昨夜、堺城に宿泊した池田恒興にも話しておるがな。」
「軍議ですか?」
「結論を先に申す。
勝家率いる3千。余が率いる1万5千。それと恒興の1万2千。
総勢3万にて今晩22時安宅の淡路国を攻める!!」
「なっ!!淡路国攻めと!!
しかしそれでは去年、公方様と御館様に服属した安宅
御味方で御座いますぞ!御館様!」
「菅野!勝家に説明せよ、丁寧になw」
「はっ!では失礼して。
淡路国の
そうなのです。あくまでも公方様への服属であって、織田家へ臣従した訳ではありません。
御館様"影の者"達がその証拠を手に入れました。」
1通の封書を勝家に見せる。
読み始めた勝家がすぐに
「これは!!織田包囲網!!」
「そうだ勝家、比叡山延暦寺が天罰を受け滅亡。その跡地を麓の坂本と共に余が織田家直轄地として実効支配した。
そこに余の直轄軍30万人の
それに焦った義昭は密書を送りまくっておる。
そもそも余の許可なくして、各地大名との手紙のやり取りは禁じられておるのにだ!」
「この密書に出てくる神五郎とは?」
「阿波三好家当主・三好長治の実弟だ!」
「なんと!では神太郎は神五郎と繋がり当家を裏切ると。」
「委細承知の文言、余はそう理解した。」
「ぐぬぅぅ!許せん!御館様この勝家に淡路攻めの先鋒申し付け下さいませ。」
「ああ、権六ならそう言うと思うてなw
石山本願寺攻めが先鋒柳田のバズーカ部隊8千の砲撃で、僅か30分で瓦礫の山になり終わってしまった。
伊丹城も開戦直後に瓦礫と化したそうだ。
余に言わせれば本願寺お前もか!!である。
権六よ物足りないのであろう。故に此度の淡路国攻め柴田勝家に先鋒を申し付ける!!」
「ははー有り難き幸せ!」
「うむ励め!!菅野続けろ!」
「はっ!では。まずは淡路国の淡路水軍は、御館様直轄の第5軍団にて海の藻屑に致します。
第5軍団は総勢3万、500隻の鉄鋼軍艦を操るその名も"大日本織田海軍"直轄軍唯一の水軍に御座います。」
「菅野殿待たれよ…500隻もの鉄鋼船で敵を壊滅させれば、又しても我等・柴田軍の出る幕が無いではないか?」
「御安心召されませ柴田様。淡路北端の岩屋城は軍艦の艦砲射撃で滅しますが、問題は中心部の洲本城。
ここを落とさないと淡路国制圧は叶いません。」
「おおーそこをワシが攻めるのだな。」
「左様です。大浜海岸から上陸し先鋒として城へ討ち入って下さい。
大手門のみ艦砲射撃で破壊致します。」
「勝家!その城はなるべく無傷で残したい。やむを得ぬ場合を除き焼き討ちは厳禁だ!」
「お任せあれ!この勝家の槍働き特と御覧下さいませ!」
「では淡路国以外の戦略を御説明いたします。
今宵、御館様直轄の第3軍団3万、第4軍団3万の総勢6万。
尾張から大型軍艦60隻にて四国地方、阿波国、土佐国に向かい出航致します。」
「阿波国に土佐国だと!!淡路国のワシ等を含めると三正面同時の戦ではないか!!しかも6万の軍勢じゃと!!。。。。。」
「現地到着時間それぞれ23:30!
そのまま上陸し三好の阿波
土佐は長宗我部の
「あぁぁ………………」
「武器弾薬兵糧等、柴田軍・池田軍含め全て準備万端整っておりますれば!
御館様の軍資金から賄いますので、柴田軍はこのまま身1つで堺港より軍艦に乗船頂ければと。」
「……………」
「どうした勝家!軍議の場で呆けるでない。」
「あっいや……申し訳ござらぬ……」
「ふん!菅野進めよ」
「はっ!第3軍団阿波、第4軍団土佐、我等第2連合軍は淡路国を制圧し島全体を要塞化します。
これで三好家・安宅家は滅亡この世から消滅し、淡路島要塞は今後瀬戸内に睨みを利かせ、堺港と連携し毛利攻めの拠点となります。」
「毛利攻め!!」
「菅野、毛利攻めの話しはまだ良い。勝家の理解が追い付かぬ。」
「はっ!では柴田様。ここまでで質問御座いますでしょうか?」
「いや……質問も何も…菅野軍団長…堺港へ向けてここからの出立時間は?」
「夕飯を17:00に取り18:30に出ます。現在14:30ですので猶予はタップリかと」
「…そうか……助かる…御館様…夕飯まで暫し休ませてもらえませぬか…頭の中がぐちゃぐちゃですゆえ…」
「菅野そのソファー、ベットにして枕と羽毛布団を用意してやれ。権六、四国攻めの話は夕食時に余が自ら号令をかける。暖房も効いてるからゆっくり休め。」
「はい!忝なく……」
**********
昨日の伊丹城攻略から石山本願寺落城。
そしてこれから明日未明にかけての淡路国・阿波国・土佐国への雪崩れ込み。
あまりにもスピード感がありすぎて、柴田勝家・池田恒興の思考回路から煙が出なきゃいいんですが。
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まずは大前提としてこの物語はフィクション妄想です。
ですが史実にある通り
比叡山延暦寺の焼き討ち。
石山本願寺と織田信長との10年にも及ぶ血で血を洗う争い。
それに最悪なのが一向一揆!
今の世なら集団無差別テロ事件ですよね。
どっちが悪でどっちが善か?
そんな論争をするつもりで描いてはいない事を、念のため記しておきます。
令和の世で延暦寺、東本願寺、西本願寺、桑名長島の願證寺等、他の寺社仏閣も修行に励み僧侶として立派な方々ですから、そもそも戦国という悲惨な時代背景が一向一揆等を生んだのでしょうか?
フィクションですから罪なき僧侶や門徒は信長の収納に避難させています。
それでも気に入らない表現等ありましたら、御容赦ください。
最後にもう一度、この話は
フィクションです。
m(_ _)m m(_ _)m
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