第8話 天罰!比叡山延暦寺・天上落下
1570年1月3日 18時
シュン!
「戻ったぞ帰蝶」
突然濃姫の個室に転移で現れた信長。
「………殿様それは心臓に悪う御座いますゆえお止めください。」
「テレパシーで18時に戻ると伝えたではないか。」
「それでもです。何もない所にいきなり殿方が出てくるのですよ。戻る場所は二人の寝室のみと決めましょう。」
「ふむ、あいわかった。で?」
「……それも止めましょう。で?が竹中半兵衛はどうなった?との質問であるのは理解してます。
ですが殿、貴方様は前世で家臣にも周りの者達にも言葉足らず。
それがどれだけ脅威で誤解を招く要因になったのか自覚して下さいませ。
で?とか申せとかして?とか短縮するのは禁止です。また本能寺を起こされたいのですか?」
「うぅぅぅ…分かった…気を付けよう。帰蝶、半兵衛の様子はどうであった?」
満面の笑みで嬉しそうに答える濃姫。
「はい殿、やはり重度の肺結核でございました。。。。。。。」
今朝の竹中邸でのやり取りを全て伝える。
「さすがだな帰蝶。しかし鑑定で好感度まで分かるとは丸裸にされるのお。」
「まあ丸裸など…明日のTOTOトイレセットで陥落させます。
殿の直臣として活躍した際には高級ユニットバスで骨抜きかと。」
「ふはははははは、サルより余程人たらしよのw」
「まあw殿の方はどうでしたか?」
「宇佐山と安土砦に関ケ原の3ヵ所は設置を終えた。
時間的に京と堺も問題なかったのだが、森可成の驚き方や稲葉一鉄等、号泣しながら余を拝む始末でな。
ちと疲れたゆえ偵察Androidを500体ずつ京・堺にばら蒔いて帰ってきたわ」
「1日であの大規模な御城を築城なされれば、一鉄殿が拝まれるのも無理はありません。」
「まあそうだなwさて高級ユニットバスで癒された後に森城へ赴くぞ。」
「森城?宇佐山支店ですね。なるほど良きお考えかと。」
「ほお帰蝶よ、余に言葉の短縮は禁止ですと言うといて、なるほどとはどうなのだw」
「くっ!失礼いたしました……何故森城と命名されたのですか?」
「もう良いwお前の考えてる通りだww一鉄など"稲葉城"と言うた途端に涙腺崩壊しおったわw」
「まあジイらしいですわw」
「ああ比叡山延暦寺は涙腺崩壊では済まぬがな」
「罪なき民百姓を苦しめた、悪行の報いは受けねばなりません。」
「ああでは先ずは風呂じゃ」
「はいでは寝室へ」
LIXILの最新高級ユニットバス
SPAGE(スパージュ)を
信長の収納から取り出し二人はタップリと癒されました。
**********
1570年1月3日 19:30
森城天守閣・逢い引きの間
「まったく森一族め誰1人この部屋には入ってこぬ。律儀な奴等よw」
「逢い引きの間とは…♡」
お風呂の後は天守閣最上階に転移で移動。
ほぼ下戸の信長だが帰蝶の出したパック入り赤ワインが口に合うみたいだ。
1本1,000円もしないリーズナブルな、酸化防止剤無添加ワイン。
ショピングモールには勿論最高級ワインもあるのだが、よく知らない濃姫は適当に購入したところ天下人がはまったw
「このワインなるものステーキとやらと合うのお。」
「私はこのサラダのドレッシングとやらが気に入りました。生で食べる野菜なんて驚きです。」
「未来というものはすごいな。さて噂を広めたおかげで皆が待っておる、そろそろ始めるぞ。」
「はい本当に大勢きてるのが分かりますね。」
娯楽の無い戦国時代。天罰の噂は人が人を呼び、少なくとも3万を超える灯りが天守から見える。
「罪を犯してない善良な僧侶と、無理やり連れてこられた民の者は収納しといた。」
「そんな区別までつくとはチートというものは凄過ぎます。」
「ああ無駄な殺生はしたくないと願ったら、機能を説明するゲネの声が聞こえた。」
「まあゲネシス様も見守ってくれてますね。」
「ふん、暇なのであろうw」
『……………。。。。。』
「ん?まあ良い始めるぞ!天罰!!」
それと同時に「出ろ!!」シュン!
収納から1人の僧侶を取り出す信長。
「目を開いて最後まで良く見ておくんだな。これが本当の天罰だ!」
ピカーン ゴロゴロゴロゴロゴローー
ズガーーン ギュルギュルゴゴゴゴーー
真冬の夜、真っ暗な空が光輝き雷鳴が轟く。まるで天の底が抜けたような錯覚を覚える人々。
「キャーーーーーーー」
「何か降ってきたぞーーー」
「ものすごい数だーー」
燃えてもいないのに怒りを表すような真っ赤に光る岩石。
青白い炎状の物を纏い不気味にうねるように落ちてくる大量の土砂。
鮮やかな黄緑系パステルカラーで一直線に落下してくる瓦礫や木材の数々。
「こ、これは!!」
信長に取り出された1人の僧侶も固まっている。
戦国時代の民衆に、それはまるで標的を定めた弓や槍のように見えた。
ヒューーー ヒューーーズドーン
ズボズボッ ズドーン ヒューーー
不気味な音と光を撒き散らしながら、岩石や土砂瓦礫が雨あられの様に比叡山に降り注ぐ。
延暦寺の根本中堂や山王二十一社等、全山はあっという間に大量土砂の波に呑み込まれた。
零社、僧坊、零仏等にも岩石瓦礫木材に押し潰される。
時間にして僅か5~6分の出来事。
その圧倒的物量が地上五千メートル上空から落下する地獄絵図を目撃した人々。
織田家臣を始め坂本、大津、京都の民衆達は息をのみ、誰1人として言葉を発することを忘れていた。
「…………………」
「どうだ
「…………………」
「天台座主であり後奈良天皇皇子でもありながら、武装した僧兵の残虐非道なる横暴を諌めることもない。
日々の修行を怠り女や娘を浚い獣のような行動。
それを僧侶と呼ぶのか?
言語道断である!と御叱りを受けるであろう!!」
「…………………」
「話す気力さえ失ったか?幸い罪を犯してない天台宗の僧侶は難を逃れられたらしい。
それこそ伴天連の教え"神の思し召し"よな、皮肉な物だ。
この宇佐山の麓に広場がある。
30階建てのマンション。。と言うても分からぬか。
御主が見たこともない高い建物が2棟建っておる。
余の兵士達の宿舎だ、その前に屋根付きの広場を作ってある。
そこに避難しておるらしいぞ。
今案内させる故行くがよい。」
信長は収納していた犯罪を犯していない数少ない僧侶達を、前もって麓の広場に食料品と一緒に出していた。
逢い引きの間から信長と濃姫
顔面蒼白で項垂れている覚恕の三人が出てくる。
部屋の前の廊下に30人のAndroid護衛兵が控えていてその者達に
「比叡山延暦寺第166世天台座主・覚恕殿だ。
ツインタワーの広場におる僧侶達に会わせてやれ。
今日はもう遅い総勢100人程だ。
1階メインエントランスの簡易ベッドで休ませて明朝送り出せ。今日明日の握り飯とシジミ汁も準備してある。」
「はっ!では参りましょうか。」
Android兵士に促され階下へ降りる覚恕が振り返る。
そしていきなり信長と帰蝶に土下座をした。
「これだけの事が出来るのは神の使徒様かと。
此度の悪行を質すことが叶わなかったのは、我が不徳の致すところ。
この職を辞し再度修行に励まする。」
「…何の事だか知らぬが興味が無い。己の人生好きになさるが良かろう。
はよう案内せい。」
そう言うと濃姫を連れてまた逢い引きの間に戻る信長。
「土下座までなさられるとは驚きでした。」
「ああ、神の使徒様かと言われたな。鋭い指摘だ鑑定スキルでも持っているのか?」
「あっ!興味がなくて鑑定するの忘れてました。」
「それで良い、では岐阜に戻るぞ。」
「はい殿」
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焼き討ちは回避された比叡山ですが、大勢の民衆に目撃された大事件として
「天罰!比叡山延暦寺・天上落下」
として後の世まで人々に語られたのでした。
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まずは大前提としてこの話はフィクションです。
ですが史実にある通り
比叡山延暦寺の焼き討ち。
罪なき民衆を食い物にした悪逆非道な僧侶がいたのも資料に残ってます。
だからと言って焼き討ちを正当化するつもりもありません。
どっちが悪でどっちが善か?
そんな論争をしたくて描いてないので。
令和の世で延暦寺等の僧侶の方々は修行に励み立派な人格者ですから、そもそも戦国という悲惨な時代背景が、このような大事件を生んだのでしょうかね?
フィクションですから罪なき僧侶や門徒は信長の収納に避難させています。
それでも気に入らない表現等ありましたら、御容赦ください。
最後にもう一度、この話は
フィクションです。
m(_ _)m m(_ _)m
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冒険者ランクSSSタイセー・ヨミウリ人外記
完結してます。
どうぞ宜しくお願いします。
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