第34話 "謀叛"

1570年9月28日 8:30

駿河国・江尻城(城代・山県昌景)・最上階の大広間


武田信玄

「ふぅーーー当家の評判たるや最悪のようだな。」


出浦盛清

「あれだけ上質な紙を惜しげもなくバラ蒔いておりまする。民衆はあの紙が欲しくて殺到し、文字の読めない者は生き写し絵を眺め家に持ち帰り、文字の読める者がその内容を喧伝けんでん

もの凄い勢いで噂が拡散しております。。。」


山県昌景

「いずれにしろ今日が期限。このまま駿河に駐留すれば秋山殿含む29人、城壁にてはりつけ晒し者。明後日には串刺しの刑。。。

この江尻城の兵、出立の用意は既に整っておりますが。。」


穴山梅雪(29歳)

「せっかく手に入れた駿河を戦もせずに撤退とは。。。

徳川に付いた今川家臣を寝返らせるため、どれだけ苦労したか。。。」


馬場信春

「あの織田の言うなるもの。あれも凄いが、それをばら蒔く空を飛ぶ巨大な馬車。弓と種子島も届かない高さでは打つ手がござらん。。」


小山田信茂(31歳)

「かくなる上は織田に従い駿河を出る。秋山殿解放後、に侵攻し徳川の高天神城を攻めるのは如何でしょうや?」


武田信廉(41歳)

「策として悪くは無いが、駿河を放棄しての高天神城攻めは、浜松城と背後の駿河から挟撃された場合に軍勢は崩壊する。

後詰めにそれを食い止めさせるには最低1万は必要だな。」


山県昌景

「駿河側からの攻撃を防ぐ後詰めの役目は、駿河・庵原郡この江尻城で2年城代を務めた某の仕事だが、2動けば勝てるとは思えん。」

馬場と出浦が同意して頷く。


武田勝頼

「浜松城沖合いに浮かぶ巨大海城の砲撃なら見たことがあるが、もう1つのとは何だ?」


その時!!突然

ドーン!ズボーン!ザブーン!


江尻城から約500mほど先にある清水漁港と三保の松原。

その間の海面から巨大な水注が5本上がった。


ドドドドドドドド

爆音鳴り響く空を見上げると織田空軍のオスプレイが5機、旋回しながら空爆を繰り返している。


武田信豊(21歳)

「あのビラを蒔いていた空飛ぶ馬車から爆薬が落とされている!!!」


馬場

「もう1つのが空から。。例えば本陣の真ん中に攻撃した場合、軍勢はバラバラになる。。。」


内藤昌豊

「今の水柱の大きさだと1度に30人は殺られるか。。。」


勝頼

「ぐぬぅぅ。。卑怯な。。織田は陸では武田に勝てぬとみて、空から撃ってくるのか。。。」


信玄

「忘れたか勝頼!!改築中の浜松城に御主と高坂の騎馬隊1,000騎で1当てした時、浮かぶ海城うみじろからの砲撃!そこから出陣してきた大男達の射撃!

種子島と違い何度も連続して撃ってきおった。。

それもわざと我らの前面に撃ち、1兵も殺す事なく進撃を止めるだけに留めた。。。

陸と海上からの凄まじい攻撃。。あの時すでに我が武田軍は敗れていたのだ。

そして今、目の前で空から爆撃しておる。

海ではなく、この城を目標にすれば我等は全員あの世行き。。。

信長は問いかけてるのだ。どうする?信玄とな?」


ガガガガガガガ!

ガガガガガガガ!


武田信友(信玄弟)

「今度はなんだ!!」


三保の松原海岸線に砂や土埃が舞っている。

そこには攻撃型ヘリ・AH64アパッチ100が空を埋め尽くすよう縦横無尽に飛びながら、地上へM230機関砲の30mm口径弾を乱射!

対戦車ミサイル・ヘルファイヤも2発発射!


自然破壊を最小限に留めるよう実際撃っているのは3機のアパッチのみ。

その大編隊の中から2機が江尻城に近寄ってくる!


固唾を飲んで見守っている信玄以下、武田家重臣達に向かいヘリから拡声器による呼び掛けが響く。


「信玄公他武田家の方々!おはようございます。

自分は織田家の名も無き足軽と申します。葛飾柴又生まれではございません。

さて、明日の期限迄に駿河国を撤退10月1日 6:00この江尻城、焼津花沢城をこのアパッチにて攻撃致しますので注意しろよ!!と織田信長大将軍閣下様からの伝言です!

繰り返す!

10月1日6:00城を空からの砲撃で殲滅する!

もし武田の兵が1人でも駿河に居た場合!

甲斐・躑躅ヶ崎館も同じ運命だ!

繰り返す!

ついでに甲府と諏訪を空から一斉に砲撃する!

繰り返す!

またまたついでに川中島の海津城も空から爆撃する!

繰り返す。。。。。?。以上だ!」


勝頼

「織田足軽の分際で舐め腐りおって!!!何が繰り返すだ!!新しい攻撃目標を次々と言っているだけであろうが!!」


フーテンの熊

「。。おっといけねぇ、忘れてたぜw

宛に濃姫様からの伝言だ!!

wとっとと甲斐の山奥か諏訪湖の畔にでも引っ込んでろ!!今度他国に出て来たら翌日の朝日は見れないぞ!これはお土産だ!!との事っす。

お前ごときが偉大な父、武田信玄公を越えるのは100万年早いんだよ!!

では御免!」


信長の指示で勝頼を煽るだけ煽った上に、濃姫から武田勝頼への土産を、江尻城の庭にある井戸の中へ1個放り投げ飛び去って行った!

その土産とは、何をやっても10時間消えない

"これで城を爆撃されたいのか?"

織田家からの脅しである。


「ギイーーーーーー!!!」

勝頼は悔しさの余り完全に発狂し、武田家一同は唯々茫然と立ち尽くしている。。


やっと武田信廉が口を開く

「兄上。。。ここは一旦、甲斐へ兵を戻しましょう。。。

。。。軍勢を編成し直し。。。来年にでも。。。小山田が言うた高天神城攻めの策を。。。。。」


勝頼「ぶつぶつぶつ!!」


信玄

「良い信廉、ワシに気を使うな。。。高天神城も何も他国へ討って出たら我等一同終いじゃ。。。昌景。。」


山県昌景

「御意。焼津・花沢城高坂弾正昌信へ早馬を出せ。城を捨て速やかに甲斐へ撤退せよ!これは御館様の命である!」


「はっ!」


勝頼「ぶつぶつぶつぶつぶつ!!」


昌景

「左近!我等8,000もここ江尻城から甲斐へ撤退する!急ぎ出立の隊列整え待機するように!御館様や重臣一同をお守りしつつ行軍する!」


「はっ!」


勝頼「ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ!!」


馬場信春

「では山県、某と修理内藤昌豊でこれから織田家指定の浜松沖合いに浮かぶに、戦船10隻にて行って来る。

駿河撤退の調印式で正式に文書を交わす。御主は甲斐へ無事撤退の指揮頼んだぞ。」


勝頼「ぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつぶつ!!グギャア!グギャ!グギギギギギ!!」


先ほどからぶつぶつと独り言を呟き、歯ぎしりも酷くなり様子のおかしい勝頼を無視する山県昌景

「。。。ああ馬場、心配するな。何時も殿しんがりの役目を担わせて申し訳ない。

甲斐への帰国については、織田信長の名誉に懸けて保証するとの書状も来ているが、油断めさるな!内藤も十分気をつけるんだぞ。」


そしてついに

「グギャアアアアアア!!!!!きさまらーー!!勝手に決めてんじゃねーぞ!!!ゴラッ!!!!!」

真っ赤な顔をしてぶちギレた武田勝頼!


撤退の決断に何の関係も無い、側に控えていた江尻城使番の足軽兵を殴り倒し、刀を抜き斬りかかった!


ガキッ!!


父・真田幸綱(57歳)の名代で来ていた真田昌幸(23歳)が、寸でのところで脇差しで防いだ!


怒り狂い完全に我を見失っている勝頼!

「真田の小倅風情が!!!何をするか!!!」

止められた刀を最上段に構え直し、昌幸を睨みつける!


「止めんか!!!愚か者が!!!」


自分の重臣達の前で、跡継ぎの息子が繰り広げる余りの失態!!

信玄は怒りを込め、側に置いていた鉄製の軍配を投げつけた!


グギッ!


それを刀で受け取めた勝頼

「うるせえーーよ!!老いぼれの糞ジジイが!!"大うつけ"なんぞに日和りおって!!空がなんだ!!爆撃がどうした!!

心頭滅却すれば火もまた涼しいを忘れたか!!!

武田全軍で高天神城へ突撃だ!!山県!馬場!花沢城の高坂弾正と共に先鋒を務めよ!!武田騎馬軍団で雪崩れ込むぞ!!!

臆病者はとっととくたばれ!!!日和見糞ジジイ!!!」


そう言うとあろうことか父親の武田信玄に斬りかかる。


「ぐっ!」

咄嗟に右腕で、刀の勢いを後方に反らしながら頭上を庇った信玄だったが、右肘から先を失い血飛沫が部屋を真っ赤に染める。


「御館様ーーー!!!」「兄上!!!」


「「御免!!」」


武田家山県昌景が槍の石突きで鳩尾を、馬場信春が刀の峰で左手首を打ちつけた!!


ゴキッ!

勝頼の左手首が鈍い音をたて粉砕骨折するのと同時に「グゲッ!!」鳩尾を突かれ苦悶の表情で前のめりに倒れる!!


「取り押さえろ!!!」

江尻城・城代山県の号令で城の足軽達が20人以上で勝頼を捕縛。


馬場信春「縄を打て!!!」

太股・膝・足首と一緒に後ろ手に縛られ転がされる。

勝頼に付き添っていた諏訪衆5人も同じく捕縛される。


「「「殿ーーーーー!!」」」


内藤昌豊

「止血だーーー布を持って参れーー」


出浦盛清

「某が!!これで腕の根元から巻くぞ!!!」

出浦が自分の懐から出した布を引きちぎり、応急措置を取る。


穴山梅雪

「この手拭いで傷口を覆いまする!!!」

自分の手拭いを傷口に当て、噴き出す血を必死に止めようとしている。


武田信廉

「兄上!!お気を確かに!!」

弟の信廉が痛みで歯を喰いしばる信玄に、手拭いを噛ませる。


真田昌幸

「謀叛人武田勝頼!!花沢城と連携の恐れあり!真田兵50直ぐに戦支度をして備えろ!」


「「「はっ!」」」


山県昌景

「うむ、真田殿・的確な判断だ!

左近!!急ぎ安倍川に架かる2本の橋を落としてこい!!

隊列は整わずとも良い!3千を連れて行け!そのまま守備陣形を取り、もしもの場合に備えるのだ!!」


真田

「橋を落とすなら某の真田部隊もお連れ下さい!!50人の半分は真田忍びの者。

詳しくは申せませんが、手投げ爆薬等持っており、木製の橋なら直ぐに吹き飛ばせます!」


山県

「聞いたか左近!真田隊50人も連れて行くのだ!昌幸殿頼んだぞ!」


真田

「はっ!!」


ピカッ!!!!!!!!!

真っ白な神々しい光が、江尻城最上階の大広間を包み込む!!

強烈な眩しさに全員目を開けていられない。


暫くして光が消えるとそこには

身長2m体重130kgの筋肉ダルマの大男が1人仁王立ちしていた。


その影に隠れて175cmのスリム八頭身美人がたたずんでいる。

大男の脇を抜けて前に出る。

そこには女神様美しく煌びやかな女性が見え、全員が息を飲む!!


その女性が信玄の前に立ち


「どきなさい!治療の邪魔です

!!」


出浦・内藤・穴山・信廉を叱り飛ばす!その迫力に圧され場所を空ける4人の戦国武将。


信玄の肘から先が無い右腕を見る濃姫。

「これは!出血が酷いわ。応急措置だから仕方無いけど、消毒されてない布からばい菌が入り化膿してしまいます。お湯を沸騰させなさい!!早く!!」


急いでお湯を沸かしに1階へ降りようとする足軽兵。


「待て!!これでやる!!」


女性と一緒に現れた大男が足軽を止める。


ドン!!


何やら黒い布袋?から鍋と小さな四角い箱の様な物を取り出す。その上に鍋を置き、カチッ!と音がした途端に激しい炎が鍋の底に出現する。


真田

「これは炎?からくり箱なのか?」

小山田

「水はどこから。。。。。」


信長チート創造・オリジナル超強力コンロで僅か1分で10Lの水が沸騰する。


『帰蝶、こんなのんびりやってて信玄は大丈夫なのか?』


『問題ありませんよ殿。心臓から切断部の血管を体内で止血しています。細菌類も全て殺菌しました。

いま行っている治療は武田の皆に見せつける為の行為ですから。

痛みは50%ほど軽減させたので、斬られた直後よりは楽でしょうが切断ですからね、まだまだ激痛でしょう。

最後の飲み薬で90%軽減させて、痛み止めの効果を知らしめる為もう少し我慢してもらいます。

清潔なゴム手袋にタオルとガーゼ、包帯も出して貰えますか。』


『ラジャーである。』


信長が頼まれた新品の品を濃姫に渡す。

使い捨てゴム手袋を装着し、煮沸消毒したタオルで右腕の血を拭う。

超強力抗生物質を切断面に塗り、ガーゼをロール状にして圧迫止血する様に当てる。仕上げに包帯を綺麗に巻いて出来上がり。

濃姫の鮮やかな医療行為に、武田家重鎮達も呆気に取られ見惚れていた。


「終わりました。これで大丈夫です。薬は痛み止めが1錠・膿まない様に化膿止めが1錠。

これを朝昼晩の3回必ず飲むように。必ずですよ!


それとこの白い薬は胃腸が荒れるのを防ぐ物ですから、朝に1錠だけでいいです。

では今すぐこの3錠を飲みましょう。SPペットボトルを下さい。」


信長

「ラジャー」


マジックリュックから取り出す。


「では信玄公、この水と一緒に飲み込んで。痛みが激減します。」


信玄

「わ、分かりました。」


穴山

「御館様、毒味係を呼びましょう。」


その瞬間!美しい濃姫の整った顔が怒りの形相となり、射るような鋭い目つきで


「黙らっしゃい!!穴山梅雪!!我のに毒味だと!!毒殺するぐらいなら最初から治療等するか!!我を愚弄してるのか!!穴山!!!」


物凄い剣幕で恫喝しながら、左右の手から防御結界を槍状に物理化し、光をまとわせ床に突き刺す濃姫様。。。

美人が怒ると本当にコワイ。。。


穴山

「ひっ!ひいぃぃぃーーー」


SPさん(信長)

「この無礼者めが!!女神ドクター"カトリーヌ"様に対しての侮辱罪で素っ首落としてやる!!そこに直れ!!!」


瞬間移動で穴山梅雪の背後に立ち

シュン!

刀を首筋に。。寸止めした!


ざわっ


SPさん(信長)の動きを誰1人目で捉える事ができず、強者揃いの武田武将達が硬直している。


馬場

「昌景。。。見えたか?。。」


山県

「消えた。。。直後、穴山の首に刀が。。。」


真田

「恐ろしい剣術。。。ここにいる全員で懸かっても返り討ちだ。。。」


濃姫

『なに?なに?カトリーヌって?殿、だけでも大変なのに、これ以上増やさないで下さい。。』


信玄

「女神"カトリーヌ様"申し訳御座いませぬ。穴山もワシを心配しての事でしょう。どうか御許し願えないでしょうか。」


信長が穴山の首筋から刀を離しながらテレパシーで

『ほら呼んでるぞ"カトリーヌ"w』


カトリーヌw(濃姫)

『。。。。。』

「えっええ分かりました。。ですが次はありません。良いですか?穴山梅雪!」


穴山

「ひいいいいい、2度と致しませぬ。。。誠に申し訳御座いませんでした。」


信玄

「では飲みまする。」


濃姫の薬を飲んだ信玄。その瞬間

「おっ!!おおーーーこれは!!痛みが引いていく!!」


一同「おおおおおーーー」


「これで良し、飲み過ぎても効果は変わりません。1日3回ですよ。

傷口を点検し包帯を代えるので、また明朝来ます。」


「それは有難い事に御座います、しかし女神カトリーヌ様。我等武田の軍勢はこれより、この城を出て甲斐に戻らねばなりません。」


信長

「それは知っている。あれだけ大量のビラが蒔かれてたからな。でも明朝なら甲斐・南巨摩の南部辺りには到着しているだろう。そこの本陣で治療を受ければいい。」


馬場

「。。。あのSPさんとやら、剣術だけじゃなく行軍地理にも精通している!!」


山県

「恐ろしいのお。。。敵でなくて良かった。。」


信玄

「また突然、光の中から現れまするか?」


濃姫

「そうですねw行きますよSPさん」


シュン!


真田

「消えた。。。消える時は光らないのか?」


信玄

「皆の物。腕を斬られたのに信じられん事だが痛みがほとんど無い。

今回の件この馬鹿息子が1人突然乱心した。高坂弾正も知らぬ事だ。がしかし花沢城には諏訪の兵も1,500人ほどいる。

ここで内輪揉めになると、明日までの駿河撤退が不可能になる。

山県!撤退の命、弾正には鳩を使え。緊急用にて怪しまれぬ様ワシの花押も付ける。

真田が安倍川の橋を落としたら守りの陣は不要だ。直ぐに全軍8千で甲斐に帰る。頼んだぞ真田昌幸!」


「はっ!御免!」


信玄

「女神カトリーヌ様に命を救われたのお。この御礼には信濃半国では足りぬぞ。。。取りあえずありったけの甲州金貨を渡すしか無いか。。。」


武田信廉

「兄上。。明朝も会えまするな♡」


「。。。。。阿呆、あの光る槍で刺し殺されるぞ!」


「。。。じょ、冗談で御座いまする。。。」


勝頼の謀叛という、とんでも無い大事件もあったが、何とか駿河国からの撤退に踏み切った武田家。

命拾いしたのは信玄公だけではなく家臣全員でした。


謀叛人・武田勝頼は斬首にするしか無いかと!本人が父信玄の腕を斬り落としたのですから。。。


その頃、新岐阜城の個室に戻った信長・濃姫の2人。


ーーーーーーーーーーーー


信長

「しかしあのフーテンの熊、勝頼を煽るだけ煽れとは言ったが、まさか大名である実の父親を斬り捨てようとするとは想定外だったな。」


濃姫

「私も女神カトリーヌは想定外なのですが。。。」


「。。。まあ何だ。。その話は置いといてだな。。。』


「置いといて。。。。。殿にとって濃はその程度の存在。。。」


「いやいや待て帰蝶!そんな事は一言も言うておらぬぞ!!

余が言いたかったのは親子喧嘩による信玄の腕1本で、結果的に他の武田軍兵士が救われた事だ。

もし勝頼が花沢城にあのまま居座っておれば、女子供等の非戦闘員を収納に避難させた後に、

甲斐・信濃にある全ての城を空爆しておった。甲府の躑躅ヶ崎館もな。

皮肉な事だが、の最大の功労者は謀叛人・武田勝頼であるな。」


「はあ~~なるほど。。。は。。まあ良いでしょう。

それでもあの治療によって、信玄公の信頼は十分に勝ち得たわけです。」


「うむその通りだ。戦わずして撤退した上に、信玄や武田重臣達の信頼を得た!!これからの会談においても大いに役立つ!!

帰蝶の医療行為こそ最大の殊勲である。」


「お手柄なんですよね。それでは濃も恩賞と言うか御褒美が欲しいです。正確に申せば頼み事ですが。。。」


「ほお、帰蝶が頼み事とは珍しいな。

この戦乱の世で、医療行為という平和的な解決案の道筋を見せた功績。

今回の件に限らず、これからの織田家外交にとっても大変重要な位置づけになる。

なんなりと申せ!余との"離縁"以外の願いなら何でも叶えてやるぞ!」


「怒りますよ。"離縁"だなんて、縁起でもない!」


「わはは戯れ言よ許せ。してどんな願いなのだ?申してみよ。」


すると急に笑顔を消し真顔になり、正座をしたうえで畳に頭を押し付けた濃姫。


「私の願いはただ1つ。

浅井長政殿、横山城から家族の元に、お市・茶々・初の元にお返し下さい。」


「むぅ!!」

信長は険しい表情のまま長い沈黙が続く。濃姫は頭を垂れた姿勢を崩さず、夫の返事をじっと待つ。


そして織田信長はたった一言


「。。。。。ならぬ!!」


新岐阜城の2人の個室をまた沈黙が支配した。。。。。


ーーーーーーーーーーーー


うーーーーーん


織田信長と浅井長政

個人のいさかい事ならいざ知らず、浅井軍が織田軍に攻撃を仕掛けた事実!!

国と国の大問題、これを許すのは流石に。。。


どっちの方向に舵を取るか?

信長の心境同様、作者も悩み抜いて出た結論は。。。。。


また明日m(_ _)m

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