第42話 第106代・正親町天皇
1570年9月30日 17:30
武蔵国 浮島型東京ドーム
「うむ!良く似合ってるではないか。」
信長の指示でスーツ姿に着替えた、竹中半兵衛と浅野翔吾の2人。
だが半兵衛だけが震えている。
「殿。。。これは畏れ多い事に御座います。。。」
「良い、御主だけでは無い。余も翔吾も同じ色ではないか、気にするな。」
帝に
だがしかし問題はその色。
暗い黄赤色をしており、
何故半兵衛が震えているのか?
その色は絶体禁色と呼ばれ、天皇以外着ることが許されていないからだった。
「
「祟られる?それは織田家家臣の者には有り得ぬぞ。
余だけでは無く半兵衛と翔吾の2人にも、まだ日ノ本には無いスーツを着せたのには訳があるのだ。
今日を境に織田家の正装の基本は"黄櫨染"のスーツとする。
もう既に50万着の"スリーピーススーツ"に冬用ロングコートの製作は済んでおる。」
「!!まさか全て黄櫨染なのでしょうか?」
「当然であろう、良いか半兵衛。
帝は"やんごとなき御方"であり余はそれを尊重し敬い、今日まで逼迫した財政を支え回復してきた。
だが見てみろ日ノ本の現状を。戦乱の世は一向に終わらず、頼みの幕府は応仁の乱以降100年以上何の役にも立っておらぬ。」
「しかし殿。お言葉を返し申し訳無いのですが、それと黄櫨染スーツとは別問題で御座います。」
「前例が無い、慣例にそぐわないと申したいのであろう。その様な習慣もろとも、これから叩き潰しに行く!余はその場で
「なっ!!なりませぬ殿!朝敵の汚名を着せられれば、如何なされますか!!」
「ふっ、、、半兵衛よ帝は日ノ本の権威の象徴である。
だが余はこの織田信長は、それを越えた存在"創造主"
そう言いながらマジックリュックすら持たずに、半兵衛の前に数人の人物を取り出す。
「その4人の家族は
浄土真宗本願寺派第11世宗主・
その室の
長男・
そしてこれが
比叡山延暦寺第166世天台座主・
この意味が分かるか半兵衛?
神の使徒である余は生き物・即ち人でさえ収納出来る!」
そして直ぐに5人を戻した。
「あっあぁぁぁぁ~~~~~」
信長の前に跪く竹中半兵衛。
「使徒様。。。使徒さま~~」
狂信者の様な目付きで必死に信長を拝み始める。
「それよ。。余が今まで明らかにしなかった理由だ。。
皆が余を神の力をお持ちであるとか、神懸がかっておると思う迄は想定内。
だがはっきりと神の使徒であると宣言され、マジックリュックでさえ無理な人間まで出し入れする。
目の前で奇跡の所業を見せ付けられると、今孔明の二つ名を持ち、皆に称賛される半兵衛ですらこうなる。。。」
はっ!と我に返った竹中半兵衛。
さてどういう態度で出るか?と信長も半兵衛の言葉を待つ。
「某が使徒様に対する、これまでの無知無能なる言葉の数々。。
誠に畏れ多き事に御座いますれば、某の無能な首級を持って何卒、竹中家一族郎党の命だけは御容赦なほど平にひら。。。。。」
ゴツン!
「痛っ!(涙目)」
「たわけーーー!!
全く持ってうぬ等は、何かと言うと直ぐに、腹だ首だと死んで詫びようとする。。。
良く聞け半兵衛!!これから我等は天下布武の道を邁進するのだぞ!もう後戻りは出来ぬと心得よ!
今夜はその第一歩!正親町天皇が余に拝謁を賜る日である!!
"黄櫨染"が禁色なのは我等、神の軍勢織田幕府軍では無い逆だ!!」
「お、ば、織田幕府軍!!?」
「わかったか半兵衛、参るぞ翔吾!」
**********
土御門内裏(京都御所)
二条晴良・関白(44歳)
「主上。織田殿からの書状にて本日拝謁との願いでしたが、本当にお受けして宜しかったのでしょうか?」
正親町天皇(53歳)
「晴良よ近衛稙家(元関白)が生前よう申しておったのう。織田信長なるものまるで"麒麟児"じゃと。」
晴良
「"麒麟児"。。古の唐の詩人、杜甫の詩で御座いますか。」
「うむ、あの者は朝廷への忠義に厚き心を持っておる。
余は1つの偶像として崇拝されども、財政難に陥り困窮を極めようと武の大樹・知の公卿等も助けにはならなかった。。
京の都を武で制圧し、知を駆使して御料地まで献上してくれた織田家。
余の生活に安寧をもたらすのは信長に他ならぬ。」
「耳が痛いですな。。。。。」
1568年二条晴良を関白に推挙したのは室町幕府15代将軍・足利義昭。
今や織田信長とは抜き差しならぬ険悪な状況の将軍家。
足利お抱え関白とも揶揄される近衛稙家にとっては、"本心から出た"言葉である。
「その信長たっての頼み。聞き届けようではないか。」
九条兼孝・右近衛大将(17歳・実父は関白・二条晴良)
「それにしても夕刻からとは、"野卑"なる者は礼儀を知らぬ。」
山科言継・権大納言(63歳)
「ほお右近衛大将殿。私の母親は
もしそうなると権大納言・内蔵頭の私も"野卑"なる子となりまするなあ。」
九条兼孝
「いや・・・それは・・そのぉ・・」
ピカ!!!!!シュン!
眩い光が煌めき、ハッキリとした強い後光が射す中、3人の男が突然現れた。
「ひいーー」
腰が抜けたのか、這いずり回り1人逃げようとする右近衛大将。。。
「ふん!主を放り出し、己だけ逃走を図るとは。。。
右近衛大将がこの様とは。。。情けない。。。
家臣としてあるまじき行為よのお~
あろうことか、帝を諱の"方仁"で呼び捨てる信長。
「おおそうだ方仁。久しぶりに弟に会わせてやろう。」
比叡山延暦寺第166世天台座主・
母親は違うが、父は同じ第105代・後奈良天皇である。
「ここは?はっ!使徒様では御座いませぬか?ははーーーーー」
信長に向かい額を畳に擦り付け、熱心に拝み始めた覚恕。
「よい!覚恕。兄の元に連れてきてやったぞ!」
帝
「覚恕。。。延暦寺天罰による天上落下を受け、行方知らずと聞いておったが。無事で何よりであった。」
覚恕
「おお!!主上では御座いませぬか!ここはいったい?」
関白
「信長殿!主上の御前にて無礼極まり無い!そこな2人は何奴じゃ!!これでは賊と変わらぬではないか!
ええい皆、出合え!!出合えーーー」
たまらず二条関白が護衛兵を呼ぶが、誰1人駆けつけて来ない。
信長
「残念だな晴良。今この土御門内裏には、人どころか鼠一匹いないぞ。
足利お抱え関白よ、将軍家にでも走って知らせてくるかwwやれ!!」
信長の指示でAndroid兵20人が、関白親子を縛り上げた。
帝
「信長。。。殿。。これは何事であるか?」
「まだ分からぬか
方仁!最近は皇室祭祀、皇霊への祈りを怠けておるのか?」
「うぅ。。そんな事は無い。。」
「明日は1日だ、しかと旬祭にて親拝するのだぞ!」
山科言継
「織田信長殿。。。その物言いは余りにも主上に無礼では無いか!」
「ふん!久しぶりだな言継、ちょうど良い。面白い奴に会わせてやろう。」
トン!
「うっ!??うん?ここは
山科
「もしや近衛殿?近衛
近衛前久・前関白(34歳)
「なんと山科殿か?久しぶりでおじゃる!」
信長
「前久!真っ先に余に挨拶せぬか!愚か者が!!」
近衛
「ひぃ!その声は!!使徒様!!!」
覚恕と同様、額を畳に擦り付け、信長を熱心に拝む。
「よい、それより前久、左を見てみろw」
近衛
「あっ!お前は!!おのれぇ~二条晴良!!
近衛前久は二条晴良に
石山本願寺・寺内町に居たところを、今年2月の織田家の本願寺攻めの際に発見され捕縛。
信長に収納された。
その後、事あるごとに信長の奇跡を見せられ、すっかり創造神の使徒として認識していたのだ。
信長
「隣で縄を打たれておるのは息子の九条兼孝だ!」
近衛
「おお~これはこれは、良い眺めでおじゃりまするなぁ~。戦場にでる気概も無い不届き者どもめ、思い知るがよい。
主上もお変わりなく前久、安心致しました。」
帝
「前久よ、御主も何事も無く無事で良かった。丹波国の赤井家を頼ったまでは聞いておったがその後、何処でどうしているやら、音信不通になっていたものでな。。」
信長
「
帝
「武蔵国?これから?」
山科
「何がなにやら。。。それと織田殿。。
その伴天連に似た服装だが。。その色は絶体禁色"黄櫨染"だと分かっておるのか?」
山科の指摘に場の緊張感が増していく。
ずっと信長を拝んでいた覚恕ですら、頭をあげ信長達の服の色を凝視する。
「ふん!やっと気付いたか。」
関白
「この不届き者めが!!」
「黙らせろ!右足だ。」
ズブッ!
信長の一言で直轄兵士1人のAPC9が火を噴いた。
「グギャーーーーーーー」
哀れ関白殿下。。右膝を撃ち抜かれ、余りの痛さに泣きながら七転八倒している。
「皆の者、良く聞けーー!!
余は"創造主"である
たかだか"人間風情"の帝に公卿!頭が高い控えろ!!」
浅野翔吾が正親町天皇に歩みより、玉座から引きずり下ろす。
「使徒様。こちらへ。」
シュン!
信長は瞬間転移を使い消えた!
直後、玉座に腰かけていた!
九条
「ううぅーー物の怪」
「神の力を物の怪などと、お前に服はもったい無い!」
シュポ!
次の瞬間、九条兼孝・右近衛大将の服が全て収納される。
「ひいいいいいーー」
「これが神の力である。人の子達よ、うぬ等では余の力の足元にも及ばぬ!」
帝
「天御中主神、
(参はしらの神、造化の首と作れり)の"造化三神"様で御座いまするな!」
信長
「そうだ。
座学は熱心そうだな。
余が"古事記"なる書物に記した。」
再び光がさすが、今度は信長のみスポットライトで照らされた。
「情けなや日ノ本の現状!戦乱の世は一向に終わらず、室町幕府も応仁の乱以降100年以上何の役にも立っておらぬ。
「ううううう申し訳御座いません。。。」
「要らぬ。謝罪を受けるために
神の使徒である余と共に、乱世を終焉に導く積もりがあるのならば、
*****
その1、織田家は武蔵国にて"江戸幕府"を設立するよう申し付ける。
その2、武蔵国、上野国を"江戸幕府軍"による討伐・平定を命じる。
北条家及び上杉家並びに関東諸家においては、江戸幕府・織田信長・初代征夷大将軍の命に従い、速やかに武装解除し臣下の礼を取るべし。
その3、加賀国、能登国、越中国を江戸幕府軍"による討伐・平定を命じる。
一向衆徒ならびに各守護は織田信長幕府軍に臣下の礼を取るべし。
その4、足利義昭・征夷大将軍はその任を解く。これ即ち解任である。
その5、室町幕府は滅亡とあいなる。速やかに大政奉還の宣言をなす事。
上記、その1からその5の勅命は全て1570年(元亀元年)10月1日から効力を有する。
足利義昭と室町幕府に関しては
1570年10月1日 早朝5:00
織田幕府軍10万にて二条御所を包囲する。
織田家・江戸幕府への行政機関引継ぎ等々無用である。猶予等与えぬ故、即日解散の事!!
なお上記五か条に逆らう者は朝敵ゆえ、世を乱す賊軍とみなす。」
1570年(元亀元年)9月30日 19:00
*****
信長はAI文官Androidに、正親町天皇の筆跡と寸分違わぬ字体で書かせた命令文書・いわゆる
神の使徒・信長
「ここに署名と印文が天皇御璽の内印を押すのだ!!」
帝
「。。。この筆跡!!正に神の使徒様のなせる技!!
畏れ多い事を申しあげますこと御許し下さいませ、
使徒様の命には否応なしに従いまするが、これほど大掛かりな勅命!為せば成るとは申せ、果たして成就すること叶うのでしょうか?」
「
この程度は勅命など無くとも、使徒である余には雑作も無きことよ。
では何故勅命を求めたか?
先ほども申したが、余と共に正道を歩むとの意志があるのならば
「ははあぁ~有り難き幸せ。
使徒様の親心を賜りまして何やら、
「
だがまだ終わりでは無いぞ。
御主の心が幼子・
神の使徒として"創造主"
本日を持って京都御所は閉所。明日、武蔵国に移設する。
1570年(元亀元年)10月1日!!
それ即ち遷都である!!」
帝・他一同
「「「なっ!!遷都!!」」」
シュポ!
信長は織田家の者達と帝・近衛・山科・二条・九条・覚恕を除き、京都御所をそっくりそのまま全て収納した。
「どうだ
更地になった御所跡地を目前にしてはもう誰1人、織田信長が神の使徒である事を疑う者は居なかった。
「ははあぁ~
帝・他一同が信長の前に跪き、頭を深々と垂れ拝み奉る。
その中に1人、黄櫨染スリーピース・スーツ(三つ揃え)に身を包んだ男が居たのは内緒である。。。
「ふん!これで竹中半兵衛も完堕ちだなw」
**********
そこから信長の動きは速度を増す。
御所跡地を幅・深さ共に50mの垂直空堀で囲み、1ヵ所に幅15mの橋と大手門を設け鍵をかけた。その鍵を東寺・村井城の村井貞勝に預けたのち、
信長
「これより正倉院も江戸幕府織田城の敷地内に移動する。
その際、
江戸幕府創設の目玉とする故、大手門前に飾りとして置くぞ!」
帝
「香木天下第一の名香で御座いますれば、"使徒信長様"の織田初代将軍就任に相応しいかと愚考します。」
蘭奢待。正式名称・
全浅香と並ぶ香木で、時の権力者達に保護されてきた。
それを"半分も"切り取り、ましてや大手門前、大衆の面前に飾りとして置くなど。。許されざる暴挙に他ならない。
織田信長に心酔している正親町天皇と神の使徒・織田信長。
日本歴史上最強コンビ!もう何でも有りである。
信長
「良し、錦の御旗もコピーして多数準備出来た。
余はこれから日本全国の大名の寝所に五つの勅命、
「我も御同行致しまする。」
「よい!明日10月1日より、遷都による宮中行事の打合せ等々で多忙を極めるぞ。
余の収納の中で疲れを癒し回復に勤しめ。
これは"創造主"からの神託である。」
「はっ!ははあぁ~」
五か条からなる
写真と共に大量にコピーされたそれは、9月30日中にオスプレイ・アパッチ・ドローン等を駆使し、日本全国に空からばら蒔かれた。
全国の大名の寝所には、例のごとく信長自ら転移で配りまくる。
「ふむ、今度"黒い猫"のトラックでも創造するか。"ヤマト"の名称も日本に相応しいしな。。。」
と1人ぶつぶつ呟きながら、いよいよ最後の国へ降り立った。
「2週間ぶりだな、また気付かれるかな?」
兄弟の盃を酌み交わした
"越後の龍"上杉謙信が本拠地・春日山城である。
ーーーーーーーーーーーー
いよいよ江戸幕府(織田幕府)創立です!!
どんな幕府にするか?
まずは武蔵国と上野を平定し、北陸から一向衆の駆逐が最優先事項。
但し全ての一向衆が悪しき者達ではありませんので、チート鑑定持ちの濃姫様の出番が多くなるのかな?
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