第6話 人たらし濃姫、竹中半兵衛を臣従させる
1570年1月2日 21時
信長・帰蝶寝室
「まずは2大宗教勢力、比叡山延暦寺と石山本願寺だな。
以前は延暦寺を来年9月焼き討ちしたがこれは取り止める。
史実だと1625年に"南光坊天海"という大僧正が江戸の上野という場所に、東叡山寛永寺という寺を建立したらしい。
天台宗総本山として宗務の実権はそこに移されたそうだ。」
「ですが殿、55年も先の話しになります。」
「ああそんなに待てんw
明朝、延暦寺と京都の中間地点にある宇佐山城を収納し、跡地に安土城宇佐山支店を出す。」
「まあ、あの場所は京への道中になります。
そんなところに御城が建てば延暦寺にとっては多いに邪魔な存在ですね。」
「既に未来兵器とAndroid兵士3,000は完成した。
後は収納から取り出すだけだ。
焼き討ちはしないが延暦寺には、収納した宇佐山城の瓦礫や土砂に岩等を天空からたっぷり馳走してやろう。
これで志賀の陣もなくなり弟2人に
「延暦寺には武装した僧兵はいかほど居るのですか?」
「偵察Androidによると4千人だそうだ。日々酒を飲み肉を食らい、麓の坂本から女や娘を浚い手篭めにする。
これが僧侶のやる事か!反吐が出る!」
「天罰ですね。」
「そうだ!土砂を降らせる前に"今宵比叡山に天罰が下る"とAndroid兵達に京、大津、坂本で噂を流させる。
決行は明日夜20時!京からも良く見える様に土砂瓦礫を全部光らせてやるわい。」
「流れ星ですね殿。」
「ああ、安土城宇佐山支店天守から見物だw」
「残り4ヵ所の築城は?」
「明後日いっぺんに終らせるぞ。各城にも3千のAndroid兵を配置に付かせる。
それが終ったら転移で家康に会いにいく。」
「?もしや武田対策ですか?」
「切れるのう帰蝶、余の参謀になるかw」
「お戯れを殿。
私は明日、竹中半兵衛殿の病を治し、殿の直臣にするべく恩を売ってまいります。」
「ふっ策士めがwこのままだとあ奴は、秀吉の配下になるからのう。」
「はいそれは許しません。三法師を傀儡にして織田家を乗っ取り、茶々を側室にする等もっての他!
罪深さは光秀と同等です。」
「猿の出世もここまでだ。権力を持つと平気で主家を乗っ取る。
才覚はあるから内政官として働かせるつもりだ。」
「それは良き考えです。所詮織田家への忠誠心の欠片もありません。
あのような者に軍勢を持たせると第2の本能寺が起こりますゆえ。」
「帰蝶はキンカンと猿には厳しいのうw」
「はい。2人とも神隠しにでもあった事にして、収納に一生閉じ込めておきたい程です!」
「ふははははは、それは新しい使い方だ参考にしよう。」
「では殿そろそろ出しますよ。」
「うむ、余が腰を抜かすほど凄いものと言うたな。どれ見せてくれ。」
「これです!」
光り輝き寝室に現れた物は
LIXILの最新高級ユニットバス
SPAGE(スパージュ)
「なんと!!これは風呂なのか…」
「湯船の中では肩湯・肩ほぐし湯・腰ほぐし湯で癒され、外ではアクアタワーなるものから打たせ湯やオーバーヘッドシャワーなるものが気持ち良いとのこと。」
「そ、そうか…帰蝶さすがに何を言っているか理解できんが、まずは体験せねばな。」
「はい殿。普通はもっと小さいそうですが、殿と2人で入ろうと思い♡ディアに無理を言って3倍の大きさにしました。」
「おお~そうか帰蝶♡近う寄れ♡」
「…はい信長さま~♡」
まあれっきとした夫婦ですからね。
令和日本の最新高級ユニットバスに信長も帰蝶も骨抜きにされたようです。
もっとも転移を使えば天然温泉にも一瞬で行けますが、まあ今日は夫婦水入らず家風呂って事で♨️
**********
1570年1月3日
竹中半兵衛を岐阜城に呼び出す事はせず、自ら半兵衛宅を訪ねる帰蝶。
「その方がより深い感謝と恩を感じるのが人というものですw」
「ははは好きにせい。表向きの護衛は30人付けるが隠密Androidが50体周りで守っておる。
労咳らしいが今ならまだ初期だ頼んだぞ。」
「はい、殿もお気をつけて。」
帰蝶は半兵衛宅へ信長は宇佐山城へ転移で跳んだ。
**********
「濃姫様コホッ。
乾いた咳が頻繁に出て口許も拭う半兵衛。
その様子をじっと見つめながら
「半兵衛殿、血痰が混じってませんか?」
「その様な事はございませんコホッ。」
『おかしいですね?肺結核で亡くなるのは、まだ9年も先のはず。
これだとそんなに持つとは思えない。鑑定してみましょう。』
竹中重治(半兵衛)27歳
【状態】
重度の肺結核により絶不調。
常人であれば余命半年。
幼少期より鍛え上げた精神力が、成人後スキルに昇進。
人の身において自己研鑽だけでスキルを獲得した稀有な存在。
スキル名
不屈の闘志レベルA+++
まとめ
肺結核でありながらスキル"不屈の闘志"で寿命を9年も延長。
今日の濃姫訪問に警戒心を抱いている。
『!!!凄い加護無しでA+++って化物ね』
「半兵衛殿、私の目は誤魔化せませんよ。
単刀直入に申し上げます。肺を患ってますね!」
「その様な事はコホッ、風邪を拗らせただけに御座います…」
強い眼差しで半兵衛を見詰めながら、懐から二つの薬袋を取り出す濃姫。
「これは労咳に効能がある伴天連由来の粉薬です。
まったく同じ物ですが、どちらかを選んで下さい。
残った方を私が飲みましょう。」
厳しい顔が少しだけ緩む半兵衛
「よもや濃姫様がコホッそれがしを毒殺する等と、疑ってはおりませぬ。」
右側に置かれた薬を手に取り、枕元の水差しで一気に飲み干した。
単なる砂糖に予めチート回復神力を込めておいた物。
「これは…良薬口に苦しの真逆に御座いますな。」
「胸元を開けてもらえますか。」
そういいながら濃姫は令和の湿布薬を取り出す。
「主の奥方様に胸をはだけ触れられ、いくら看病とは申せ見られたら斬首でしょうな。」
「竹中半兵衛ともあろうものが…こんな事で大事な家臣を斬首する程、殿は小さき男ではありませんよ!」
「はっ失礼致しました濃姫様。薬を飲んですぐに呼吸が楽になり、少々余計な事を口走りました。お詫び申し上げます。」
「さあこれを両胸に貼ります。ずれると困るので動かないように。」
「おおーこれは!」
チート回復神力が込められた湿布薬。
先ほどの内服薬で肺を蝕んでいる結核菌を殺し、湿布に込めた神力で身体全体を殺菌浄化。
清潔を保つ効果てきめん。
湿布独特のスースー爽やか感に
、今孔明の半兵衛も思わず声が漏れた。
「この湿布薬は交換が必要です。病状の経過観察も必要ですので明日この時間にまた参ります。」
「…いやそれは…奥方様にそこまで…余りにも…申し訳がなく…」
珍しく狼狽える半兵衛。
「何を言ってるのですか半兵衛殿!この期に及んで私に隠し立ては通りません。
貴方は肺を患ってる病人なのですよ。それを何としても救ってほしいと殿様に頼まれ、こうして参ったのです。
伴天連の者達に莫大な金子を支払い、これなる粉薬と湿布なるものを手に入れたのも殿です。
…今の話は他言無用…私も固く口止めされてますので…」
「殿が…そこまで某に…」
一世一代の大芝居をうつ濃姫様。
こっそり鑑定をかけた。
**********
竹中重治(半兵衛)27歳
【状態】
肺結核完治により絶好調。
スキル名
不屈の闘志レベルA+++
まとめ
肺結核は完治したが奇跡の所業に頭が混乱している。
濃姫への警戒心は跡形もなく消滅し、聖女様女神様と畏れ多い気持ちに絶賛激変中!!
信長への好感度も80%へ上昇した。
『よし!今日はこの辺りでいいわね。最後の仕上げはさりげなくよ。』
「では今日はこれで失礼します。伴天連の特効薬とはいえ、治療初日ですから出歩いたりしないように。
ああそれとこれを殿から預かってます。体力を取り戻し早く戻ってこいと仰ってました。」
正月の宴と同じ
"美濃吉"和風おせち三段重を3セット、フルーツタルトケーキ2ホール、ロールケーキ3本。
清酒八海山5本・醤油5本・味醂5本をそれぞれ一升瓶で。
砂糖と塩をそれぞれ10kgずつ。
コシヒカリも1俵(60kg)
濃姫侍従の者達が次々と運び込んで置いていく。
唖然としてそれをポカーンと見ている竹中半兵衛
「……濃姫様一体これは」
「御正月のお年玉だと殿からです。それと今日は間に合いませんでしたが伴天連由来の品を明日お持ち致します。
今日は養生して下さい。」
「は、はい。誠に忝なく有り難う御座いまする。」
護衛武士団と共に竹中邸を後にする濃姫。
『殿への好感度も80%明日で完全攻略ね。』
織田家No.1の人たらしは濃姫様ではないでしょうか。
ーーーーーーーーーーーー
冒険者ランクSSSタイセー・ヨミウリ人外記
39話まで投稿してます。
どうぞ宜しくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます