第20話 I LOVE YOU

俺がこの場に居て良いのか分からないのだが参加する事になった。

それは佐藤愛花と佐藤彼方の話し合いであるのだが。

彼方さんは周りを見渡しながら「ふむ。片付けは出来ているんだね」と笑顔を浮かべている。

愛花は「お姉ちゃん程じゃ無いけど」と言って笑みを浮かべる。


「うん。...あ。愛花。そういえばお土産を渡すのを忘れてた。...春樹くん。貴方にも」

「...え?俺にもですかお土産ですか?」

「春樹くんはこの場に居たのがまあ少しだけ予想外だから別のものになっちゃうけどね」

「そこまで無理をしなくても良いですよ。俺の分なんて」

「いいや。そのうちには渡したかったからね。...愛花。それから春樹くん。どうぞ」


それから俺と愛花にそれぞれお土産が手渡される。

俺達は顔を見合わせながら開けてみる。

因みに俺のはスノードームだった。

中身が可愛い。


「私のは...これは...」

「愛花のは八つ橋。お菓子だよ。...とは言っても単純なもので御免だけど」

「...ううん。お姉ちゃん有難う」

「...しかし随分変わったよね。愛花も性格が。これも春樹くんのお陰だね」

「俺は何もしてないっすよ。全て愛花がやり遂げたんですから」

「またまたそんな謙遜な。アッハッハ」


そして笑い終えてから彼方さんは「それで、ね」と真剣な顔になる。

俺達を見てから苦笑いを浮かべながら愛花を見る。

愛花は無言で見つめていた。


「実は愛花を連れ戻せっていうあちこちからのお達しがね...」

「...お姉ちゃん...」

「だけど私は反逆した。だからこの場所に来たんだけど...愛花。引っ越そう。...この場所から」

「...でも私は春樹くんの元から離れたくはない」

「だよねー!分かるよー!!!!!」


彼方さんは目を==な感じにしながらけたけた笑う。

それから「その代わりと言っちゃなんだけど私がこの場所に暮らして良いかな。あくまで愛花を連れ戻すのを阻止したいから」と俺を見る。

俺達は「!」となる。

それから彼方さんを見る。


「あの毒親は激高しているから。何をしてくるかも分からない。だったら私がこの場所に居るよ」

「...でもお姉ちゃん...荷物とかは?」

「外にあるよ。...また昔の様に暮らそう。愛花」


そして彼方さんは俺を見ながら笑みを浮かべる。

「ねえねえ。王子様。貴方は...協力してくれる?愛花が連れ去られない様に」と。

俺は当然だが頷いた。

それから俺は彼方さんを力強く見る。


「俺は愛花が好きです。...だからそんな真似はさせない」

「ほほう?言うね!」

「...は、春樹くん...」


俺は愛花を見る。

そして笑みを浮かべた。

すると彼方さんがその様子に「ねえねえ。2人はキスしたの?」と言ってくる。

愛花が噴き出した。


「や、ま、それはまだ早いかなって」

「え?」

「だってまだデートもしてない」

「えぇ!!!!?」


絶句する彼方さん。

それから唖然とする。

「待って!?どういう事!?」と言いながら俺と愛花を交互に見る。

そして「デート無しで付き合うの!?」とビックリされた。

頷く愛花。


「...だって私は春樹くんが前から好きだったから」

「マジか!」

「...そうだよ。お姉ちゃん」

「そんなの羨まし過ぎるっていうか応援したくなる!」


そして彼方さんは悶絶する。

俺はその事にビックリしながら愛花を見る。

愛花は唖然としながらも「変わらないね。お姉ちゃん」と苦笑していた。

そうなのか。

昔からこうなのか...。


「ねえねえ!じゃあキスもまだなら今して?」

「...お姉ちゃん?流石にそれは」

「えー。じゃないと好きかどうか分からない」

「...あのね...」


俺も強く頷きながら愛花を見る。

すると何故か愛花はまんざらでもない顔をしていた。

それから俺に向いて四つん這いになる。

俺は「?」を浮かべながら「どうした?」と聞く。


「お、お姉ちゃんがああ言っているから」

「...おう?」

「キスしても良いかな」

「ま、待て。愛花!?」


何でだよ!!!!!

俺は唖然としながら愛花を見る。

すると愛花は俺の胸に手添えてくる。

それから見上げてきた。


「おお!本当にキスをするんだね!!!!?」

「ま、待ってくれ。愛花。流石にそれは冗談だろ!?」


と言ったのも運の尽きだった。

愛花は俺の胸倉を強く掴んでそのまま見上げた。

潤んだ瞳が間近に見えた。

それから俺は愛花とキスをする。

数秒間。


「はい!そのままエロいので!舌を入れて!」

「お姉ちゃん。流石にそれは無いんだから」

「...」


直ぐに離れる愛花。

唖然としながら俺は唇を撫でる。

甘い香りがした、というかこんな形でキスをするなんて思わなかった。

それから俺は愕然としたまま愛花を見る。

愛花は恥ずかしいのかこっちを全然見ない。


「...愛花。お前...」

「私は貴方が好き。だったらこれぐらいは...うん。範疇だよね」

「...」

「愛しいなぁ」


そう呟きながら><な目をする彼方さん。

俺は心臓がバクバクなり過ぎて話にならない最中だった。

ヤバイ。

更に愛花が好きになってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る