第41話 裏切り
☆横田春樹(よこたはるき)サイド☆
「私は放課後まで時間を潰している。だから君達はそれまでの間、勉強したまえ」
という言葉を聞いて俺達は勉強をしていた。
手駒の様な感じがした。
だけどどっちにせよこのまま学校をサボるのは良くない。
それから俺達は勉強が終わって放課後になり待ち合わせ場所に向かう。
そして衝撃を受けた。
そこに...何故か伊藤紅葉が居たからだ。
それも丁度...愛花の父親の隣に、である。
待て。
どうなっている!?
「...待て。どういう事だ」
「ゴメンね。春樹くん。それから愛花ちゃん」
「...そんな...伊藤さん...!?」
俺は愕然としながら「伊藤。説明しろ。どうなっている」と聞くと。
伊藤は「母親が心臓の病気でね。...どうしても2億のお金が必要だった」と言う。
それから震える感じで言い出す。
「裏切りたくはなかったけどお金の問題だった」
「クラス委員をしているのに...何でそんな。スパイみたいな」
「...私はそういうつもりは無かった。でもお金の為だった」
「...じゃあ何か。情報を流していたのはお前か」
「...そうだね」
この野郎。
思いながら俺は歯を食いしばる。
すると愛花の父親が「まあそう言うな。彼女はかなり役に立ったのだから」と話しながら少しだけ笑みを浮かべた。
俺は拳を握った。
「...信じていた」
「...クラスメイトとしてだよね」
「そうだ。俺はお前を信じていた。クラスメイトとしてお前を。クラスが一丸になっていたから。どっかでおかしいとは思ったけど」
「...そうだね」
そう言いながら伊藤は目を伏せる。
全てを裏切られた様な気分だ。
思いながら見ていると「すまん。...遅くなった...って伊藤さん?」と声がした。
背後を見ると坂本とシウが居た。
「...身近な人が裏切るってのはよくあるけどまさか伊藤だったなんてな。...クラス委員だからありえないって思ったんだけど」
「...私、このバイトをしてから逃げる事が出来なくなってね」
「...簡単に稼げるのは完全に悪だぞ。...それなのに」
「分かってる。だけどお母さんの心臓はもうもたないから。お金が欲しかった」
「...その代わりに情報を売っちまったのか」
「そうだね」
そんな泣く様な感じを見せる伊藤を見てから俺は愛花の父親に向いた。
「アンタ鬼畜だな」という感じでだ。
すると愛花の父親は「これは鬼畜じゃない。取引だ」と言った。
それから笑みを浮かべる。
「だが母親は救ったんだ。これで良いだろう?」
「お陰で娘が不幸になったけどな。...彼方さんも不幸になったぞ」
「...そうだな。良い事を教えてあげようか。春樹くん。所詮女の子は女の子だよ。社会で通用するにはまだまだ足りない人材だ。だから私は男の子が欲しくてね。そうだ。君ならどうかね」
「アンタの会社で働くとか?ゴメンだわ。アンタは全てを裏切るからな。それだったら初めからある幸せに縋る」
「...そうか。残念だ」
そう言いながら愛花の父親は「その分だが君に接触していても役に立たない。そんな人物にこの役立つ娘は授けられない。娘は返してもらうぞ」と言った。
俺は「させると思うか。ふざけるな。娘をこんな状態で帰すとかさせない。絶対に!!!!!」と言う。
それから俺達は身構えた。
鞄を下ろして構える。
「いつまでも君達の様な子供の我がままには付き合ってられないのだよ。春樹くん」
そう言うと陰から数十人の黒づくめの男達が現れた。
それから愛花の手を引く愛花の父親。
そして愛花は嫌がるがそのまま連れて行かれる。
立ち向かおうとしたがスーツ姿の黒づくめのサングラス共に阻まれた。
俺は「離せコラァ!!!!!」と叫ぶ。
それから。
「愛花ちゃん!!!!!」
「愛花ぁ!!!!!」
絶叫するが愛花はそのまま連れて行かれた。
そしてそのまま車に乗せられてから連れて行かれる。
俺はその事に愕然としながら膝が折れた。
まさかの事だった。
「...おじさま...も大概ですね」
「そうだな。オイ。春樹。座っている場合か」
「馬鹿かお前はどうするんだよ連れて行かれてよ」
「そりゃ勿論対抗するんだよ」
「...は?」
そう言うと車が目の前に勢い良くやって来る。
それから「待たせたか!」という感じで窓が開く。
初心者マークがくっ付いている車。
それは坂本に似た様な人だった。
坂本の兄か?
「今から乗れ。とにかく追うぞ」
「馬鹿かお前は。何の対策も無いぞ!」
「このまま追わなかったら俺も心残りだわ。追うぞ!」
「待てよ!マジにどう対抗するんだ!」
「良いから乗れ!兄ちゃん!目標は目の前の車だ出してくれ!!!!!」
バンが発進する。
それから猛スピードで追う事になる。
車の群れを抜けてからそのまま黒いさっきの車が見える。
明らかに法定速度オーバーだ。
だけど今は警察が居ないのか捕まらない。
「私が居ます」
「...だが...」
「そして俺も居るしな。取り敢えず今から直ぐに追うぞ」
「初めましてだな。俺も追うぞ・自己紹介はまた後でな!」
「...」
オイオイ。
そう思いながら俺は苦笑いを浮かべる。
すると電話が掛かってきた。
その電話の主は彼方さんだった。
『もしもし!』
「もしもし!すいません。今めっちゃ忙しい...」
『知ってる。私も追っているから。車で』
「え!?仕事は!?」
『仕事なんかやっている場合かな。うちの父親が愛花を今、連れて帰っているんでしょ?』
「何でそれを!?」
『伊藤さんって子から電話があったから』と言う彼方さん。
俺は驚く。
そして電話がスピーカーになり『私も居るさー』と声がする。
それはマリンさんだった。
『もう後悔はしたく無いからねー』
「...マリンさん...」
『とにかく追うよ。じゃあ忙しいから』
それからそのままスマホは切れた。
そして俺は船が揺れる様な感じで動く車の中で転がりながらも目の前の座席に必死にしがみ付く。
すると坂本が「良かったな」と俺に向いた。
いや待て、何が良かったんだ。
「...仲間が沢山でな」
「確かに昔よりかはな。お前のお陰かもな」
「俺はなにもしてないぞ。ただ...お前との出会いは格別だった。それだけだ」
「...」
「お前は人の人生を元に戻す最高な野郎だよ。相棒」
「...!」
そして交差点をぶっちぎり道路を滑走する。
それから...やがて目の前の黒い車はビルの地下駐車場に入った。
俺は見上げる。
それは...マンションの様な場所だった。
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