第40話 佐藤愛花の父親

☆佐藤愛花(さとうあいか)サイド☆


気になる!!!!!

当たり前だけどシウが横のそれも春樹くんの家に居る。

それは気になっても仕方が無いとは思うけど。

「いつでも来ても良い」とは言われた。

だけど何か...うん。

うーん!


「そんなにあれだったら行ったら良いんじゃない?愛花」

「でも何だかそれって信頼を裏切った様な感じにならないかなぁ?」

「そんなものかな?私はこの状況は何か結構複雑な状況だって思うよ?」

「まあ確かにね」

「だから気になるなら行ったら良いんじゃない?」


そう言いながら苦笑いを浮かべるお姉ちゃん。

私は「...そうだね」と返事をしながら立ち上がった。

それからそのまま「行ってくる」と言ってお姉ちゃんに挨拶をしてから横の部屋に行ってみる。

そしてインターフォンを鳴らす。


『はい』

「...あ。シウ...私だけど」

『ああ。愛花さんですか。入って下さい。鍵は開いています』

「そうなんだね」


そして私はノブを動かしてドアを開ける。

すると何か...豆の良い香りがした。

豆というのは小豆だ。

つまり餅と小豆の香りがする。


「ぜんざいを作っていたんだ」

「え?春樹くん...この時刻から?」

「暖かくなるものが食いたくてな」

「そっか。...それで...」

「そうです。私のお手製です。食べますか?」


その姿を見て絶句する。

エプロンを着けているシウ。

家庭的な感じ。

何だか家庭っぽいから!!!!!

私は慌てながら「本当に好きじゃ無いんだよね!?シウは!?」と言ってしまった。


「私はあくまで春樹さんのお手伝いさんです」

「...そ、そうだと良いけど...」

「ハハハ。...シウは大丈夫だ。多分。愛花」

「...そうかなぁ?」


怪しげに言いながら見ていると「まあまあ。先ずはぜんざい食べてみて下さい」とシウが勧めてくる。

私はそのぜんざいを食べさせてもらう。

そして驚いた。

何せ滅茶苦茶美味い。


「小豆にもお砂糖にもこだわっています」

「...そ、そうなんだ」

「...お口に合いませんでしたか?」

「い、いや。違うよ。ゴメン」


私は劣等感を感じた。

それから落ち込んでいるとシウが「作り方は全てこの場所に。教えますよ」とシウがレシピを持って来た。

私は春樹くんを見る。

春樹くんはそんなシウに苦笑しながら私に向いてくる。


「じゃあ教えてもらっても良い?私、ぜんざいは作り方が分からなくて」

「とても簡単だと思います。全ては習えば。...だから私は全て余すことなく貴方に伝授しますよ」

「...良いの?シウ」

「...私の事を信頼してもらいたい為です」


シウはそう言いながら少しだけ笑みを浮かべる。

私はその姿を見てから手を差し出した。

シウは「?」を浮かべて見ていたがやがてその手を握ってくれた。

その事に私は笑みを浮かべる。


「有難う。シウ」

「私こそ感謝です」

「...私、貴方なら信頼出来ると思う。これからも宜しくね」

「...そう言ってもらえて光栄です」


そう言いながらシウは少しだけ恥じらった。

私はその顔を見てから「恥じらう事も出来るんだ」と思いながら少しだけ嬉しくなってからシウを見た。

すると春樹くんが「せっかくならこれ食った後に彼方さんにも渡したらいい」と言ってくる。


「...でもそれじゃ春樹くんの分が?」

「俺は大丈夫だ。...既に食っているから。そして...シウは要らないって言っている」

「え?シウさん食べないんですか?」

「味は分かっているから。それに今はそんな気分でもない」

「...そうなんですね。分かりました。じゃあお姉ちゃんにも渡します」


それから私は2人を見る。

するとシウが「それはそうとして」と私に真剣な顔を向けてくる。

春樹くんにも真剣な顔を向けた。

そうしてから「佐藤一族の件に関して。...私は...彼らはもう間近まで迫っているものと思います。...だから気を付けて下さい」とシウが言う。


「出来れば...何事も無く穏便に行きたいのですけどね」

「...それが出来たら苦労はしないね。...うん」

「...そうだな」


そして取り合えずこの日はそんな会話で終わった。

それから翌日になって...遂に物語が動き始めた。

何が起こったか。

それは簡単に言えば佐藤一族の長が春樹くんに接触した。

つまり私の父親だが。



「初めまして。私の事は誰か分かるかね」

「...アンタ...もしかして佐藤愛花の親父さんか」

「...いかにも。...私の名前は佐藤愛花の父であり佐藤幸信(さとうゆきのぶ)という名前だ。以後お見知りおきを」

「お見知りおきもクソも無い。...アンタに会うのはこれが初めてでこれで終わりだ」


歩いて登校していると幸信。

私の父親が私達に接触してきた。

髪の毛をオールバックで決めスーツ姿で決めている様な格好の中年の男。


黒い車で運転してやって来た。

それから私達に声を掛けて来たのだ。

私は春樹くんの指示で背後に隠れつつ様子を見る。


「おじさま」


すると背後からそう声がした。

その声に帝は背後を見る。

そこにシウが居た。

眉を顰めている。


そして別の方向からは「おじさん。お久しぶりです」と声がした。

その声は坂本くんだった。

同じ様に警戒心を出しながらも笑顔のまま。

まるでこの事を予言していたかの様に。


何か...嫌だ。

どうしたものか。

これはどうすれば良い。

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