第39話 ご主人様→春樹さん→春ちゃん?

須崎シウと一緒に暮らす事になった。

というかまさかこんな展開になるとは予想して無かった。

シウも「横田さんと暮らす羽目になるとは」と言っている。

俺は考えながら作業をする。


「お勉強ですか」

「そうだな。俺自身がアホだから勉強はしておいた方が良い。それに...彼女達を守れないしな」

「勉強熱心ですね」

「勉強熱心って訳じゃない。ただやらなくて後悔するよりかはやって後悔した方が言い的な感じもある」

「それを勉強熱心っていうのでは?」


俺は肩を竦めた。

それから「どうかな」と答える。

メイド服姿のシウは「まあどうであれ」と呟きながらはたきを取り出す。

そして掃除を続行する。

俺はその姿を見てから「シウ。少しだけ休んだらどうだ」と言う。


「お姉ちゃんの件もあります。...だから休んではいられません」

「だからといってお前が倒れたら意味無いぞ」

「...私は死んでもいい身分ですから」

「この世の中でお前は死んでは駄目だ


そう言いながら俺は驚くシウを見る。

そしてはたきを取り上げる。

それから更に驚くシウを見る。

「取り敢えず一服しようぜ」と俺は言う。


「一服とは」

「まあ俺が紅茶淹れてやるから飲め」

「...」

「俺はお前がぶっ倒れる姿は見たくない」

「...変な人ですね」


シウは呟きながら「分かりました。ご主人様の命令なら休みます」と言う。

あのな。

ご主人さまは止めろ。

俺は顔を引き攣らせながらそのまま「ご主人は止めろ」と言う。

するとシウは「いえ。ご主人様ですよ。私にとって貴方は」と言う。


「何故ならこの場所は貴方の家ですから」

「...」

「...どうしました?」

「俺はお前を妹として見ている」

「...???」

「義妹だな。...だから呼び名を変えてくれ」


俺は腕を組みシウを見る。

シウは顎に手を添えながら「なら...春樹くん=はーくんで」と言う。

ぶっ飛びすぎだろ。

俺は赤くなりながら「冗談は止めろ」と言うが。

シウは迫って来る。


「ま、待てシウ。どうした」

「春ちゃんはどうですか」

「そ、それもぶっ飛びすぎだろ。春樹くんで良いから」

「...私、男の人に耐性無いんで良く分かりません」

「ま、待て。だからどうした」


シウは迫るのを止める。

それから「何かします?」と言ってくる。

何をするんだ。

そう考えながら唾を飲みこむ。

この野郎。


「...男性に免疫をつけろ。お前」

「付けても...ろくな事無いですから」

「...お前誰かと付き合った事有るのか?」

「そうですね。絶望的でしたけど」

「絶望だったという事は...何かされたのか」

「...金目当てですよ。それから未熟な私の身体目当てです」

「...そうか」

「私は男性に耐性を作ってもそういう感じにしか扱われないので...」


そう言いながらシウは自嘲する。

俺はその姿に考える。

それからシウの頭に手を添えた。

そうしてから撫でる。


「まあ落ち着いてから考えていけば良いんじゃないか」

「...貴方は変な人ですね。本当に。...何か佐藤愛花さんがくっ付いたのが良く分かります」

「...まあな」

「私、佐藤愛花と貴方がくっ付くのを応援しています。だからこそ佐藤一族をどうにかしないとですね」


シウはそう呟きながら俺を見る。

俺はその姿に「...そうだな」と呟く。

そして俺は紅茶を淹れた。

そうしてからシウの前に持って行く。


「...私の彼氏。...元カレは最悪な人でした」

「...ああ」

「私達の会社を狙っていた御曹司ですよ。...でも私達の会社の経営が途中で上手くいかなくなったからこそ離れられましたけど」

「...お前の会社って何を作っているんだ?」

「...簡単に言えば化粧品に関わるものです。...ケースとか蓋とか」


そう呟きながらシウは温かい紅茶を飲む。

それからホッと一息した。

そして「その頃もあって私は逃げました。家から。お姉ちゃんも。だからこそですかね。お姉ちゃんがいかれ始めたのは」と呟く。


「...でもいずれにせよ犯罪行為を行った分。暫く出て来なくて良いです」

「お姉ちゃんの動向は知っているのか」

「...今の所ですがもしかしたら少年院行きにはならないかもです」

「...そうなのか?」

「良く分かりませんけどね。そこら辺は。願わくば少年院で生活してほしいです」


シウは呟きながらカップを震えさせる。

それから俯く。

その姿を見ながら俺は前を見た。

そして「確かにそうかもしれないけど」と呟く。

シウが「?」を浮かべて顔を上げた。


「...俺は須崎シノンは十分裁かれたと思っている」

「...甘いですよ。春ちゃん」

「春ちゃんは止めろ。...だけどな。...須崎シノンのお陰で全てが明らかになったってのもあるんだ」

「...佐藤一族の関係性とかですか」

「そうだな。...だから俺はもう裁かれたって思っているから」


言いながら俺は紅茶のカップを持つ。

それから紅茶を飲む。

どうか分からないけどそんな感じがする。

甘えとかじゃなくマジに。


「...はーくんは素敵ですね」

「はーくんも止めろ。お前な」

「ふふ。...でも有難う御座います。私の...仮にも血の繋がっている相手に」

「...ああ」


そして一服してからシウは「また動く」と言い出して動き始めた。

何とかこの日は何も起こらなかったが。

伊藤が情報を言ってボコられた。

これは痛恨の一撃だろうしな。

いつか俺の居場所もバレると思う。


どう立ち向かうか...だな。

そしてどう守るか、だが...。

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