須崎シウ

第38話 THE MAID

☆横田春樹(よこたはるき)サイド☆


アイツは...というか。

坂本は敵なのか味方なのか分からない。

そしてシウも...信じて良いのか分からない。

俺はそう思いながら勉強をしていると坂本からメッセージが来た。


(今日は大変だったな。とち狂った女に絡まれて)

(お前のお陰で助かったけど。正直お前を信じて良いんだよな?)

(これが演出とか?それは無いな。流石の俺もそんな根性は無い)

(そうか。...で。今回の連絡は何だ?何かあったのか)

(...伊藤信孝ってのは知っているか)


俺は「?」を浮かべながら(そうだな。そいつがどうした。須崎シノンの浮気彼氏だった野郎だし俺の友人だった奴だが)と書く。

すると坂本は(ふむ。実はな。アイツボコボコにされて発見されたらしくてな)と書いてくる。

は?ボコボコって何だ。


(喧嘩して負けた様な感じですげぇボロボロになって見つかったって話だ。ただ違和感なのが...というかまあ何というか人に口を割ったらしくてな)

(...どんな情報だよ?)

(お前の居場所とかそういうの)

(...マジかよ)

(もう一度言うぞ。...佐藤愛花と付き合うならそれ相応の覚悟が必要だ。俺もお前らの事は祝福したいけど)


そう言いながら坂本は(すまん。用事があるから切る)と書いてきた。

俺は(...ああ)と返事をしながらそのままスマホを切る。

それから俺は天井を見上げる。

そして考え込む。

だけどどうあっても俺はアイツは棄てないだろう。

愛花を。


「...それ相応の覚悟、か」


そんな事を呟きながら俺はスマホを弄る。

それから愛花にメッセージを飛ばした。

すると愛花からは直ぐに返事が来た。

(どうしたの?)という感じで。

俺は(愛花。お前は...俺と付き合って後悔は無いか。今になって)という感じで震える指でタップする。

すると(もー。無いよ?)とメッセージが来た。


(今更だね。...だけどないよ。全然。春樹くんが居たからこそ私は心から変われたんだから)

(...実はな。...その。お前には伝えておく。...俺の事を探している奴が居てな。伊藤信孝を覚えているか?アイツがボコられたらしくてな)

(...そうなんだね)

(いつか俺の部屋にも来ると思うが。お前の身が心配だ)

(...私はお姉ちゃんが居るから大丈夫。きっと大丈夫。だけど...貴方が心配だね)


そう言いながら愛花は複雑な気持ちでだろうけどメッセージを送って来る。

俺はそのメッセージを見ながら顎に手を添えて考える。

それから(俺は大丈夫だ。坂本が居るから)と答えると。

次の瞬間にインターフォンが鳴った。

心臓がドクンと跳ね上がる。


「まさか」


俺はそんな事を一言呟きながら包丁を隠し持ってからインターフォンに答える。

「誰ですか」という感じでだ。

すると「...私です。須崎シウです」と相手は答える。

え?


「し、シウ!?」


包丁を置いた。

驚きながらドアを開ける。

そこに何故かシウが俺を見ながら居た。


メイド服を着ている。

う、うん?

俺は目をパチクリしながら「どうしたんだ。シウ」と聞いてみる。

するとシウは「お兄ちゃんから頼まれました。...暫くメイドとして活躍させてもらいます」と答えた。

へ?


「...待て。どういう事だ?」

「お兄ちゃんに貴方を守ってほしいと言われたので。だから来ました」

「...マジかお前は」

「戦うメイドさんです」

「...それはお前。マリンさんにも許可を?」

「はい。美海お姉ちゃんにも許可を貰っています。私は一応、空手の黒帯です」


マジかコイツ。

「それも姉の影響です」と答える。

俺は額に手を添えて考えた。

そして「確かにな」と答えた。

そうだ。マリンさんも相当に強かったしな。


「...空手黒帯ですがそれ以外にも柔道もしています。一応、護身術も学びました」

「戦うメイドにしては強すぎじゃね」

「...それぐらいしないとお姉ちゃんは守れません。そして世界も」

「...そうか。しかし姉貴以上に強いんじゃ?」

「本気でやれば一応、大男の首の骨も折れます」


マウントを取ったら負けるぞこれ。

思いながら「手出しをするなよ。俺に」と言う。

するとシウは静かに「はい」と答えた。

それから俺の部屋に入ろうとする。

その姿を見ながら「待ってくれ」と言う。


「一応、彼女の居る身分としては横の人に連絡したい」

「そうですね。私も連絡しに行きます」


そして俺達は佐藤愛花、彼方姉妹に挨拶に向かう。

2人は驚愕していたが彼方さんは「成程」と納得していた。

直ぐに受け入れてもらえた。

それからシウは「それではお兄さん」と言う。


「待て待て。俺をお兄さんと呼んだら坂本とお兄ちゃんが混合する」

「...では何と呼べば」

「...うーん」

「ご主人様?私にSM プレイをして下さい¿」

「...お前な。俺には彼女が居るんだぞ。冗談でも止めろ」


「まあそうですね」と言うシウ。

俺は顔を引き攣らせながら盛大に溜息を吐いた。

これは先が思いやられそうだ。

まさかシウと同居するとは...アイツというか。

コイツの姉の件があるから。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る