第37話 愛花
☆佐藤愛花(さとうあいか)サイド☆
私達を狙う人達が居る。
それは佐藤...つまり私の父親と認めたくない人と母親である。
私と春樹くんは先程の事件後に家に帰って来た。
お姉ちゃんが迎えに来てくれた。
「...それじゃあまた明日な」
「そうだね。春樹くん。...また明日」
「春樹くん。今日は有難う。愛花の為に」
「...俺は何も出来ませんでした」
そう言いながら苦笑いを浮かべる春樹くん。
私はその姿に胸に手を添える。
それから見ていると「愛花も大変だな」と春樹くんが頭を撫でてくる。
その姿に「そうだね...」と返事をしながら唇を噛む。
「...春樹くん」
「...何でしょうか」
「坂本くんは元気そうかな」
「バリバリ元気っすよ。アイツ」
「...そうなんだね。...いや。それだったら良いんだけど」
「...彼方さんも坂本にお世話になったんですか」
「彼の親御さんにはかなりね。...いい人か悪い人かも分からない政治家の人だけど。お金を払ってくれてね。...多額の金額」
お姉ちゃんは「今それを返している状況でもある」と言いながら眉を顰める。
私はその姿を見ながら「早く働ける様になりたいな」と呟く。
するとお姉ちゃんは私の頭に手を添える。
それからポンポンと叩いた。
「有難う。そう思ってくれて愛花。それまでは私も頑張るよ」
「...うん。お姉ちゃん」
「...俺も頑張ります。貴方がたを必ず幸せにします」
「うん。だけど春樹くん。先ずは貴方が幸せになってね」
「心配には及びません。...愛花を幸せにするなら当然の事なので」
そう春樹くんは言いながら私を見る。
私はその姿に赤面する。
何というか本当に頼りになる彼氏だなと思う。
思いながら居ると目を丸くしていたお姉ちゃんがニヤッとした。
「お姫様を守ってね」
「...はい。当たり前です」
「ちょっとお姉ちゃん!?」
「お姫様だもん。愛花は」
「...いや...恥ずかしいって!もう...」
「でも彼方さんの言う通りだ。...お前は俺にとってはお姫様だよ。愛花」
「...恥ずかしいなぁ」
私は困惑しながら顔を赤くなって覆う。
だけど...悪い気はしない。
私はその思いに応えられる様に頑張りたい。
そう思いながら顔を上げた。
「...有難う。お姉ちゃん。春樹くん」
「...ああ」
「そだねぇ」
そう言いながらお姉ちゃんはニコッとしてくる。
私はその姿を見ながら居るとお姉ちゃんが「そういえば...シウが助けたって話だけどそれは本当?」と聞いてくる。
私達は頷きながら不思議そうにしているとお姉ちゃんが「そう」と言いながら苦笑しながら「あの子も変わったな」と言った。
「...お姉ちゃん?」
「...彼女は人を信じるタイプの人じゃ無い。そして...彼女は全てを排除しようとする人間だったから。...それがここまで変わるって凄い事だよね」
「...」
「...私は嬉しい」
「お姉ちゃん...」
「ただこの先もそうだけど彼女は孤独の身だから。支えてあげていかないとね」とお姉ちゃんは笑みを浮かべながら考える仕草をする。
私はその姿を見てから春樹くんを見る。
「じゃあまた明日ね」と私は春樹くんに歩む。
それから頬にキスをした。
「...また明日な。愛花」
「うん。また明日ね」
「じゃあね。春樹くん」
「はい」
それから私達は別れる。
そして私はお姉ちゃんと一緒に部屋に戻った。
そうしてからお姉ちゃんを見る。
お姉ちゃんはずっと考え事をしていたが私の視線に考えるのを止める。
「愛花。一緒にお風呂入らない?」
「...え?お姉ちゃんと一緒に?何で?」
「久々に一緒に入りたくなったから。...駄目?」
「い、良いけど。...不思議だね」
私達はそのままお風呂を沸かして2人で入る。
それから湯船で見つめ合う感じになる。
お姉ちゃんが聞いてきた。
「春樹くんとは上手くやっていってる?」とだ。
私はお姉ちゃんを見る。
「うん。幸せ」
「...そっか。とっても幸せそうだもんね」
「...でも何でそんな事を?」
「...気にしないで。...ただ聞きたくなっただけ」
それからお姉ちゃんは苦笑い。
私はその姿を見ながら「変なお姉ちゃん」言う。
そして会話が途切れる。
そうしてから数十秒した後にお姉ちゃんが「ちょっと疲れちゃっただけだよ」と切り出した。
私はお姉ちゃんに向く。
「...疲れたってのは現実に?」
「そう。現実にね。あっち行ってもこっち行っても非情な現実ばかりだから」
「...そうだね。それが人生だと思うけどきついから」
「だね。...だから疲れちゃってね。だけど貴方を守るまで死ねないね」
「...お姉ちゃん...」
「私はお姉ちゃんだから」と言いながら私を見る。
私はその顔につい姉なのに撫でてしまった。
それからお姉ちゃんを見る。
お姉ちゃんは心底ビックリしている。
「...泣いて良いよ。お姉ちゃん。私は...弱音を吐くお姉ちゃんも好きだから。大好きだから」
「...そうだね。はは。情けないね。妹に...そう言われて」
「世の中のお姉ちゃんがみんな強い訳じゃないよ。きっとそう。だって人は涙を見せずに大人にはならないから」
「...有難うね。愛花。貴方は...最高の子だ」
それからお姉ちゃんは涙を拭った。
そして笑みを浮かべる。
私をお姉ちゃんはゆっくり抱き締めた。
「元気出た」と言いながらだ。
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