第31話 システムダウン

☆横田春樹(よこたはるき)サイド☆


俺は須崎のアホを許した訳じゃない。

ただこのままのたれ死なれては酷く胸糞が悪いと感じたのだ。

俺が優しすぎるだけかもしれないが。

だから俺はシウさんに「アイツが死なない様にしてくれ」とお願いした。

ただアイツは彼女だったしな仮に。


「ねえ。春樹くん」

「どうした?愛花」

「私は貴方が心配で」

「心配ってのは?」

「春樹くんはあくまで優しいから。だから不安で...ね」


お揃いのスマホケースを買ってから俺達は帰宅する。

駅で降りながら愛花を見る。

愛花は「だけどきっと大丈夫だよね」と言う。

俺はその姿に頷いた。


「俺は大丈夫だ。きっと俺のやった事は間違いじゃない」

「うん。春樹くんが言うなら。ごめんね。心配ばっかりで」

「正直あんな場所で出会うって思わなかったけどな。シウさんに」

「...だね」


俺達は顔を見合わせながら笑みを浮かべる。

それから歩いて帰宅を始めた時。

不良っぽい野郎が肩をぶつけてきた。

そして「あ?いてーな。治療費寄越せや」とか言われる。

コイツわざとぶつけてきたな。

思いながら見ていると不良っぽい野郎の仲間が現れた。


「何だよ。女子の方可愛いじゃん」

「あー。なら襲うか」


そう言いながら俺達を見る不良。

4人も居る。

クソか?と思いながら不良っぽい野郎どもを見る。

すると不良っぽい野郎の1人が怯えている愛花に手を伸ばした。


「触んな!テメー!」


俺はそう言いながら不良っぽい野郎どもを見てみる。

すると不良っぽい野郎は「知らんがな。彼氏なら守ってみやがれ!」と声を出した。

多勢に無勢ってかこのポンコツ野郎が。

考えながら俺は見ていると「はいさーい」と大きな声がした。


「あ?何だオメェ?」

「は!?マリンさん!?」


帽子を深く被っているマリンさんが現れた。

不良っぽい野郎は「?」を浮かべてマリンさんに手を伸ばした。

(危ない!)と思いながらマリンさんを救おうとした時。

マリンさんは凄まじい勢いで不良を締め上げた。

というか護身術の様に見える。


「アンタらの事は警察に通報したさー。間も無く警察が来るからねー」

「このクソアマ!馬鹿力だ!」

「クソ!警察だ?!やっちまえ!」


そう言いながら不良達はマリンさんを襲う。

俺は慌てながら「クソッ!」と言ったが。

不良達は瞬時に一掃された。


俺は驚愕しながらマリンさんを見る。

マリンさんは余裕な感じで俺達を見てくる。

「大丈夫?」と言いながらだ。


「マリンさん?!何でそんなに強いんですか?!」


愛花はそう愕然としながら聞く。

するとマリンさんは「私はまあ空手を習っているからさー」と笑顔になる。

俺は唖然としながらマリンさんを見る。

マリンさんは「それはそうと逃げるよ!」と言ってくる。


「警察に知られたら面倒臭いしねぇ。多分大丈夫さー!」

「あ、は、はい」


それから俺達は立ち上がってから逃走する為に

走り出す。

すると後ろからサイレン音が聞こえた。

俺達はホッとしながら一目散に駆け出した。



取り敢えずは撒いた気がする。

それを感じながら俺はマリンさんを見る。

マリンさんはニコッとしながら俺達を見てから苦笑する。

「良かった」と言いながらだ。

周りを見渡しながら言うマリンさんに愛花が聞いた。


「何故あそこに居たんですか?」

「偶然って言ったら嘘になるね。私は実は愛花さん達に用事があった。だから後をつけていたんだけど声を掛けようとしたらこの状況になったからね」

「どういった用事ですか?」

「取り敢えず伝えるべきかなって。私、佐藤一族などから離れるつもりなんだ」


その言葉に俺達は「!」と浮かべる。

するとマリンさんは手を伸ばした。

それから俺達の手を左右から握った。


「私は...今日、君達に出会ってからこの場所に居るべきでは無いなって思ってね」

「...」

「信じるも信じないも貴方達次第だけどね。私は考えるきっかけになった。有難う」

「...」


そう言いながらマリンさんは俺達に頭を下げた。

それから俺達に苦笑してから「じゃあ今回は本当に帰るから」と笑顔で手を振った。

俺達はその姿に顔を見合わせる。

それから「待って下さい」と声を掛けた。


「ん?」

「マリンさん。もう少しだけ俺達の家で話が出来ますか」

「え?」

「私達、マリンさんともう少し話がしたいんです。情報が知りたい」

「しかし私は」

「俺も貴方の環境が知りたいです」


俺もそう告げた。

それからマリンさんを見る。

マリンさんは考える仕草をした。

そして盛大に溜息を吐いてから「分かった。じゃあ少しだけさー」と返事をしてくれた。


その言葉に俺達は頷きながら笑みを浮かべた。

そのままマリンさんと家に帰宅した。

正直このままではマリンさんと会えなくなりそうだから。

それなりに考慮する必要があると判断したのだ。

まあ何も情報は掴めないかもだが。

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