第34話 坂本斗真の素性

☆横田春樹(よこたはるき)サイド☆


須崎シウ。

俺は...というか。

愛花が彼女を知りたいと言っている。

その言葉に応える様に俺は頷き。

そしてシウの人生とかを調べる事にした。


それからの翌日の事。

学校に向かうと何故か人だかりが出来ている部分があり。

近付くととんでもない事実が判明した。

何故かといえばシウが囲まれていたからだ。


「シウ」

「...貴方は...」

「お前はこの学校に来たってのはマジだったのか」

「...この場所ならお姉ちゃん曰く安全と聞きました」

「...まあ確かにな」

「...そうですか。私は...あの学校は辞めたかったので丁度良かったです」


そう言いながらシウは周りをウザく見る。

俺は「みんな。解散してくれ」と群衆に一言話した。

すると「そうだぞ」と声がした。

それは...坂本だった。


「坂本」

「...解散してくれ。みんな。...困っている」


それから群衆は立ち退いた。

どうも坂本にはそういう権力があるらしい。

俺はその姿を見ながら「大丈夫なのか」と聞く。

すると坂本は「まあな」と肩を竦めた。

するとシウが何か顎に手を添えて考えていた。


「...ん?坂本?...坂本ってどっかで...」

「俺の事はどうでも良い。...アンタはシウだな?須崎の妹の」

「はい」

「...今日から宜しくな」

「オイ待て。坂本。お前シウと知り合いか?」

「知らないな。初めて見る」


そう言いながら苦笑する坂本。

愛花が「坂本くん。そういえばマリンさんと知り合いなんだよね。それって」と聞いたが坂本は肩を竦めるだけで何も言わない。

「俺の事はどうでも良い」と言いながら。

でも確かにその通りだ。

そうは言ってもマリンさんと知り合いだぞあくまで。


「...坂本。お前さ。何か隠してないか?」

「知らんな。...俺はそのままだぜ」

「...」

「そう怪しむなって」


言いながら坂本は俺の肩を叩いた。

それから学校に登校する坂本。

するとシウが考えるのを止めてハッとした。

「坂本一成(さかもとかずなり)の息子さんですよね」と聞く。

は?


「...オイ。坂本。坂本一成って...」

「有名な政治家の大臣さんの名前...」

「...知らんな。誰だ?坂本一成って?俺は初耳だ」


そう言いながら坂本は笑みを浮かべる。

それから「教室行こうぜ。それよりも」と話を逸らす。

シウが胸に手を添えて話を続けた。


「待って下さい。だとするならお姉ちゃんと知り合いなのも納得がいきます。...そうでしょう?...お兄ちゃん!」

「「お兄ちゃん!!!!?」」


俺達は更に驚愕しながら坂本を見る。

坂本は足を止めた。

それから坂本は「...そうだな。まあ確かに坂本一成は俺の親父だ。...だけど俺の素性なんてどうでも良い。...な?シウ」と話した。

信じられない。


「...お前...政治家の息子だったんだな。何でそんな高貴な野郎がこんな場所に居るんだ。意味が分からん」

「...まあ色々あるんだよ。色々、な」

「...そうかよ」


坂本は触れてほしくなさそうな顔をする。

顔を見合わせて俺はシウを見る。

シウは悲しげな顔をしていた。

まるで見捨てられた子犬の様な感じの目。

俺は耳打ちする。


「シウ。坂本は...知っているのか」

「...幼い頃にお世話になった」

「...マジか。だからお兄ちゃんなのか」

「そう」


俺は耳を放す。

それから考え込む。

だが答えは見えない。

まさかの事態が判明したんだが。

これは一体どうなるんだ。



「ちょっといいか」


そう坂本に屋上に呼び出された。

俺は坂本を見る。

坂本は風に吹かれながら「来てくれて有難うな。相棒」と言った。

いつから俺はお前の相棒になったんだ。


「...すまないけど俺の素性はマジに内緒にしてくれ。でないと俺はこの場から立ち去らなければいけなくなる」

「坂本。分かった。取引をしよう」

「そうか。取引ね。まあお前が知りたいのは俺の素性だろ」

「...そうだ。当然マリンさんの事も知っているなお前」

「そりゃそうだ。因みにマリンの内緒のスリーサイズも、好きな物も、苦手な物も知っているぜ俺は。言ってやろうか?」

「ジョークはいい。...お前は一体何者なんだ」

「...俺は坂本一成。七星党、政治家の息子。...そして俺は...スパイに似ているな。佐藤愛花や佐藤一族を調べている感じだな」

「...そんな真似をしてどうなる」


俺は少しだけもどかしい気持ちを抱きながら坂本を見る。

坂本は手すりを触れながら外を眺め見る。

それから「...1つ言っておく。...佐藤愛花はお前の元からいつか居なくなる可能性が高い」と言ってきた。


俺はまさかの言葉に「!?」と思いながら坂本を見る。

坂本は真面目な顔をしながら俺を見てきた。

おどける顔じゃない。


「...実は佐藤愛花は...佐藤一族に近辺の全てを知る為に泳がされている可能性があるんだよな」

「待て。どういう意味だ」

「...発信機を取り付けられた犬と言えばわかるか?それが自然界に放たれていると言えば」

「...分からんでもない。だが...」

「...俺からは強くは言えない。だがお前は佐藤愛花から離れた方が良いぞ。佐藤一族は...お前の身を、お前の家族を亡ぼすぞ」

「...お前...」


坂本は言いながら「ついでに俺はマリンの好きっていう感情も知っている。荒れはジョークじゃない。マジに俺を好いている」と俺に向く。

そして手を振ってから去ろうとする坂本。

俺は歯を食いしばった。

そして坂本を見る。


「坂本。...俺はお前を信頼していた」

「...ああ」

「...だがこれじゃ...」

「...すまない」


そう言いつつ坂本は歩き出した。

それから去って行く。

俺はその事に額に手を添えて崩れ落ちる。

愛花が...泳がされているとか。

だが。

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